内勤営業は辛いのか?今後重要になっていく内勤営業の価値

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Googleで「内勤営業」と検索をすると、「内勤営業 きつい」「内勤営業 楽」というサジェストワードが表示されます。相反するキーワードが登場しており、「結局どっちなんだ?」と思ってしまうものですが、特にこれから転職を考えている方や、これから内勤営業に携わる方にとっては「実際、内勤営業は辛いのだろうか?」と気になる部分もあるかと思います。

内勤営業の検索

本記事では、内勤営業とはどのような仕事なのかを踏まえた上で、内勤営業が辛いと言われるポイントを7つ紹介します。そして、それでも内勤営業が企業にとって非常に重要な役割を果たすことや、内勤営業の営業マンが辛さを感じないようにするための企業としての対策についても解説します。

新型コロナウイルス対策によりテレワークや内勤営業を本格的に導入しようとしている企業や、導入してみたもののメリットよりもデメリットを感じてしまっているマネージャーの方は、是非参考にしてみてください。

内勤営業とは

内勤営業の仕事の辛さについて考える前に、そもそも内勤営業とは何かについて説明します。内勤営業とは、内勤(社内や在宅)で営業活動をする営業職のことです。営業職と言えば、かつては「外回り」とも言われたように、外出して客先へ足を運ぶ外勤営業が一般的でしたが、2010年頃から少しずつ内勤営業を導入する企業が日本国内にも増えています。

内勤営業は「インサイドセールス」とも呼ばれており、もしかするとインサイドセールスの呼び方の方がなじみ深いという方も多いかも知れません。

内勤営業の具体的な営業手法は企業や業種によっても異なりますが、主な具体例は以下の手法が挙げられます。

  • 電話でのアポイントの取得
  • ITツールを使ったマーケティングナーチャリング(DMやメールなどを使って顧客と関係性を構築したり、購買意欲を高めたりする活動)
  • 休眠顧客の掘り起こし作業
  • 契約後の顧客のフォロー
  • オンライン商談

外勤営業との違いとは

内勤営業と外勤営業の違いについても明確にしておきましょう。明らかに異なる点としては勤務場所(内勤は自社内や在宅・外勤は顧客先が中心)がありますが、勤務場所以外にも異なる点がいくつかあります。

外勤営業は、主に顧客先に訪問して商談やクロージングを行います。商談の準備として資料の作成をしたり、メールなどで顧客とやり取りをしたりすることはありますが、仕事の中心は対面での仕事が中心です。また、クロージングまでを担当するので、購買に最も近い場所を対応するという点も特徴的です。

これに対して内勤営業は、メールやITツールを用いて顧客の購買意欲を高める働きが中心です。大半が社内の業務になるため、顧客対応の大半は非対面です。クロージングまでを内勤営業で行う営業方法と、アポ取得までを内勤営業が担当し外勤営業スタッフに案件を引き継ぐ形式があります。

内勤営業の現状

内勤営業は、リーマンショック後の2009年頃からアメリカで急速に普及しました。リーマンショックにより、コストの削減と営業成果の両立が求められる中、インサイドセールスの導入が進んだということです。また、国土の広いアメリカでは、顧客先への移動時間や長くなってしまったり、交通費が高くついてしまったりするため、インサイドセールスのメリットがより効果的だったという背景もあります。

アメリカのInsidesales.comの2017年の調査によると、アメリカのインサイドセールス導入率は47.3%とされています。対して、日本のインサイドセールス導入率は、HubSpot Japan株式会社の調査によると11.6%、Mtame株式会社の調査結果を見ても、インサイドセールスの導入率は7.8%となっており、まだ現状としてインサイドセールスの導入が進んでいるとは言えないのが現状です。

非訪問型営業の導入率

(出典:日本の営業に関する意識・実態調査

とは言え、2020年の新型コロナウイルス対策により、内勤営業を導入する企業が急増しているというニュース も報道されています。同ニュースの中では、新型コロナウイルスをきっかけに内勤営業を導入した企業の60%が、新型コロナウイルス対策後も内勤営業を続ける、としており、コロナ後の新たな働き方の一つとして内勤営業が再び注目を集めています。

内勤営業の7つの辛さ

ここまで紹介したように、内勤営業は新たな働き方の一つとして注目されています。しかし、その一方で内勤営業独自の仕事の辛さがあることも指摘されています。

内勤営業の辛さとはいったいどのようなものなのでしょうか?また、内勤営業ならではの辛さに対して企業や上司として対応できる点はあるのでしょうか?この章では、内勤営業の7つの辛さについて詳細を解説します。

お客様のリアルな雰囲気を掴むことができない

内勤営業の辛さの一点目は、お客様のリアルな雰囲気を掴むことができないという辛さです。内勤営業では、多くの場合メールや電話、オンライン商談などを通して営業活動をするので、対面でお客様と接する機会が持てないまま、提案することになります。

特に、外勤営業から内勤営業に配置転換をした営業マンや営業経験が少ない営業マンは、感触がわからないまま営業活動を続けることに不安を感じてしまったり、自信を無くしてしまったりすることがあります。対面の営業の際には雑談などで円滑にアイスブレイクできている営業マンでも、非対面では話題が見つかりにくいということもあるようです。

対策として意識したいのは、以下の点です。

  • 精度の高いトークスクリプトや資料を活用して、商談の質を高めること
  • 上司から内勤営業の営業マンに対して小まめにフィードバックを行うこと
  • 内勤営業に慣れるまで経験を積むこと

モチベーションの維持が難しい

内勤営業では、モチベーションの維持が難しいという特徴もあります。その原因として挙げられるのは、以下の点です。

  • 勤務時間の大半をオフィス内で過ごし、メールや電話など同じ業務を繰り返すことになるため、変化に乏しく感じられること
  • 営業の案件化からクロージング(あるいは外勤営業への引き渡し)まで、長期的な案件になることが多く、成果が出るまでに時間がかかること
  • オンライン商談では、顧客からどのように評価されているのかわかりにくいこと

内勤営業では、常に室内にいなくてはいけなかったり、業務に大きな変化がなかったりする場合があります(主に電話営業を行うなど)。そのため、その中でも目標となるものを見付けることができるようになるまでは、モチベーションの維持が難しいという点が挙げられます。

これらの対策としては、上司から内勤営業の営業マンへのフィードバックを小まめに与えることが大切です。モチベーションアップのための会議や研修を開催したり、成果を共有して営業マン同士で意識を高めあったりすることも効果的です。 

キャリアアップが明確でない場合がある

企業の評価制度にもよりますが、キャリアパスが明確に見えないことから不安やモチベーションの低下につながることもあります。

そもそも内勤営業のポジション自体がまだ生まれて年数があまり経過していないポジションなので、3年後・5年後・10年後を考えた時に、どのようなポジションに就いているのか不安に感じてしまうケースがあります。

対策としては、成果を上げた場合のキャリアプランを営業マン一人ひとりに提示することです。そして、内勤営業者も他の社員と同様に公正に評価できる仕組みを整えておくことが大切です。また、内勤営業部門のマネージャーなど、実績を活かせるポジションを設けるように守って正直に伝えておくことも効果的です。

他部署からの認識・評価が低い

さらに、他の部署からの認識や評価が低いケースも、内勤営業者の辛さの一因になります。

インサイドセールスは、そもそも業務の内容が誤解されてしまったり、他部署から「何をやっているかわからない」と思われてしまったりしがちであるという難しさもあります。

対策としては、まず経営者や直属の上司が内勤営業の重要性を強く認識し、本人に対しても業務の重要性をしっかりと伝えることです。そして、他部署に対しても内勤営業の役割や重要性を正しく伝えることです。

テレワークや在宅勤務制度などについても同様のことが言えますが、新たな社内体制を導入する際には、社員全員が意図や重要性を理解できるように情報を共有することが大切です。

なかなか見込み顧客と繋がらない

内勤営業は、主に電話やメールを活用して営業活動を行いますが、電話がなかなかつながらなかったり、メールの反応がなかったりすることは珍しくありません。そのような手応えがない状態で業務を続けるのは辛いものです。

対策として考えたいのは、電話やメール、ITツールを組み合わせていかに案件獲得につなげられるかを意識することです。具体的には、次の対策が考えられます。

  • マーケティング部門において、精度の高いリードを必要数しっかりと確保すること
  • 営業支援ツールを用いて、内勤営業の精度を高める(例えば、開封率の高いメールを送付できる仕組みを整えるなど)
  • マーケティングと営業との連携をしっかりと取り、互いの要望をしっかりと伝える

成果が上がるまでに時間がかかる

内勤営業は、そもそも成果が上がるまでに時間がかかるという特徴もあります。特にBtoBの案件の場合には、見込み顧客の創出から成約までに半年以上かかるケースが一般的です。目に見える形で成果が見えない時には、どうしてもモチベーションが低下しやすくなってしまいます。

効果的な対策としては、次の点を意識すると良いでしょう。

  • 上司や経営者が、内勤営業では成果が出るまでに時間がかかることを理解すること
  • プロセスを評価できる仕組みを整えること(例えば、メールの開封率など、小さな「達成」項目を数多く設定することで受注にはつながらなくとも「成果」を可視化できるようになります)

情報伝達の手段が限られている

内勤営業は、電話やメールなどの限られた手段でしか顧客と連絡が取れないケースが一般的です。これらの情報伝達手段は業務を遂行する上では不自由しない場合であっても、コミュニケーションを深めにくいという点では辛さを感じてしまうこともあります。

例えば、メール・電話だけではなくWeb会議の使用頻度を多くすることで、対面営業に近づけるなどが大切です。

内勤営業の重要性

内勤営業の営業マンにとって、辛い部分があるのは前章で紹介した通りですが、一方で内勤営業の重要性が非常に高まっていることも確かです。また、内勤営業の辛さについては前章で紹介した通り、体制の整え方や仕組みの作り方などによって大部分が軽減できます。

ここでは、内勤営業の価値について5点解説します。

非対面の営業活動の必要性が増した

最初に紹介したいのは、非対面型の営業活動の必要性が高まっていることです。

新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴うコスト削減により、多くの企業が対面での接触を控えるようになりました。2020年9月現在の先行きは不透明な部分がありますが、今後景気が悪化した場合には、さらに緊急性の低い対面型の商談が行われなくなる可能性があります。

内勤営業は基本的に非対面型での対応になるため、顧客側の抵抗が少ない営業手法です。そして、Web会議ツールを用いることで、非対面のままクロージングまで完結できるという特徴も持っています。緊急事態宣言が発令されたり、テレワークが推奨されたりするような、現在の特殊な状況においても優れたパフォーマンスを維持することのできる内勤営業の必要性は、非常に高いと言えます。

デジタル化により内勤営業でも外勤営業と同等の営業活動ができる

内勤営業では、Web会議ツールや営業支援ツールなどのさまざまなツールを用いて営業活動を行います。

これらのツールを活用することにより、リモートでもPC画面や資料の共有、ビデオ通話など、外勤営業に近い内容の商談を進めることができます。ICT技術やWi-Fiを始めとした高速インターネット通信環境が整備されたことにより、内勤営業でも外勤営業と同様の活動ができるようになりました。

無駄な訪問を防ぐことができる

営業活動をしていると「決まりそうなのになかなか最終的な良い返事をもらうことができず、結局時間を無駄に費やしてしまう」「相手方のニーズが薄いにも関わらず、他に行く営業先がないからついアポをとってしまう」といったことが少なくありません。このような状態の案件が多いと、時間や交通費などを無駄に費やしてしまいます。

営業マンによっては、事務所に居づらいから無理にアポを取って商談を設定するということもあったかも知れません。

内勤営業の場合は、どの顧客にアプローチをするにせよ少なくとも移動時間はかかりません。また、顧客リストの中で、ニーズの強い順にアプローチをすることができるので、見込みの低い案件にわざわざアポを取ることもなくなります。

遠方の顧客や多忙な顧客にもアプローチしやすい

営業活動を行う上では、上の例とは逆に「訪問したいけどなかなかアプローチ出来ない」という案件も存在します。具体的に考えられるケースは、以下になります。

  • 継続的に注文をもらっている顧客ではあるが、事務所が地方にありアクセスが悪い(移動に時間とお金がかかることに加え、訪問しなくてもこれまでのところは継続的にリピーターとして注文をしてくれている)
  • 相手方の担当者が非常に多忙で常に事務所に居るわけではないため、商談のアポを依頼しても断られてしまう

オンライン商談の場合は、双方にインターネット環境さえ整っていれば場所の問題は解決できます。国内はもちろんのこと、海外の顧客であってもオンラインで簡単につながることができます。

また、一般的にオンライン商談の場合には対面での商談よりも商談時間を短縮化できます。と言うのも、オンライン商談では本題を中心に商談が進行するケースが多いためです。このように商談時間が短縮されることで、商談を受ける側の心理的な負担も軽減され、多忙な顧客に対してもアポを取得しやすくなる効果が期待できます。

これらのメリットにより、これまではアプローチが難しかった顧客に対してアプローチしやすくなります。

低いコストで定期的にフォローができる

内勤営業では、低コストで定期的にフォローができる点も大きなメリットです。

訪問営業では、移動コストや時間がかかってしまうことから頻繁にアプローチするのが難しい場合でも、電話・メール・オンライン商談であれば、ほとんどコストはかかりません。こまめにアプローチすることで、顧客の状況の変化をいち早く知ることができ、顧客の課題に対する対策を取ることができます。

まとめ

リーマンショック後にアメリカなどで注目されていた内勤営業は、日本でも少しずつ注目が高まっています。日本国内での内勤営業の導入率はまだ一部でしたが、2020年の新型コロナウイルス対策により注目度が大きく上がりました。

そのような中で、内勤営業として働く営業マンにとっては、主に7つの辛さを感じる要因があります。

  • お客様のリアルな雰囲気を掴みづらいこと
  • モチベーション維持が難しいこと
  • キャリアパスが描きにくいことがあること
  • 他部署から評価されにくいこと
  • 見込み顧客となかなかつながらないケースがあること
  • 成果が上がるまでに時間がかかること
  • 情報伝達手段がメールや電話などに限られてしまうこと

しかし、これらの辛さ以上に内勤営業を導入することによって得られる価値は大きなものがあります。そして、企業が対策をすることにより、これらの辛さの大部分を軽減することができます。内勤営業導入のメリットは、アフターコロナの営業体制を考える上でも非常に重要なポイントになりうる点です。

営業スキルチェックシート」では内勤営業の営業マンが身に付けておくべき営業スキルをチェックリストとして公開しています。ぜひ自身および組織の営業スキルの向上にお役立てください。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。