作ったスーツは1000着以上。日本初の女性テーラー勝友美さんがその目で見てきた、優秀な営業マンの共通点とは

スーツ 優秀な営業マン 共通点

from 営業type ※この記事は2017/5/15に営業typeに掲載された記事の転載です

芸術家、池田 満寿夫は言った。「全ての創造は模倣から出発する」と。
手っ取り早く売れる営業マンになるには、売れている営業マンをまねればいいというのは、どの会社でもまず最初に教えられることだ。
そのまねた中から自分に合う営業手法を選択し、自分なりにアレンジした「型」を作ることで営業マンは成長していく。
では、売れている営業マン、特にエグゼクティブクラスの営業マンの行動にはどのような特徴があるのだろうか。
これまで600社以上、1000着を上回る数のトップビジネスマンのスーツを作ってきたという、オーダーメードスーツ専門店『muse style lab』を立ち上げた勝 友美さんに、これまで接してきた来店客の特徴を聞いた。

営業スキルチェックシート

【売れている人の特徴①】自分の生き様を自信満々に語れる

営業マンの肝とも言える「人との接し方」について、トップ営業マンには「自分の生き様を自信満々に語れる」という特徴があると勝さんは言う。
「優秀な方と接していて、会話の特徴として最初に思いつくのが、自分の生き様を語れるということがあります。商品を売る場合、最低限、商材の良いところを語れなくてはいけませんが、差が付いてくるのって、それ以上のこと。例えば、なぜその商材を売る仕事についているのか、その商品を何のために売っているのか、それらの想いを語れるかどうかが、その人の営業の“付加価値”になるんです」
モノが飽和している今の時代、ある意味で買う側も「買う理由」を求めているといえる。そんな現状で大義を語れ、それに共感することが買う側の背中を押すことになるのだという。
「ただし、生きざまを語る上で、人生のストーリーの辻褄が合いすぎるのもまた違う」と勝さんは続ける。
「どうしてもその仕事がやりたくてスムーズに今の仕事に就いている人って、非常に少ないです。ですから話の辻褄が完璧に合うのはよほどラッキーか、考えられたストーリーだからかの二択しかない。「売る」ために考えられた生き様は付き合っていくうちにはがれていきます。そういう人たちは短期的には売れるかもしれないですけど、“愛される営業マン”にはなれないですよ」

【売れている人の特徴②】時間を惜しむ生き方をしている

また、優秀な営業マンは時間の使い方が他とは圧倒的に違うと勝さんは話す。
「まず第一に早口であることが多いです。なぜならそれだけしゃべってきたから。同じ説明をすればするほど早口になるのは当たり前。何度も何度も同じ話をしてきたからこそ話はどんどんシンプルになり、整理されていく。つまり、場数が話すスピードに現れるんです」
さらに、話の組み立て方もうまいという。ストーリー構築がうまいと信頼の構築につながる。それが相手にとっての「買う理由」になるのだという。
「時間の使い方で言うと、歩くスピードも早いですね。目的地に早く着こうという気持ちの現れと、単純に引っ張りだこなので忙しいです。売れる人とそうでない人の差を分かりやすく言うなら、横断歩道を渡りはじめて車が右折して来たとします。その時、相手の事を考えて、走って早く渡り、道をあけてあげるよう努められる人は売れます。それだけ他人の事を思いやれるからです。小さな事柄でもそう言った意識で普段から生きているかどうかで差が付くんですよ」

【売れている人の特徴③】悪コンディションを補う術を持っている

できる営業マンの見た目といえば、「ビシッとしたスーツを着ており、清潔感がある」とイメージする人も多いだろう。
自分をよく見せ、売るためのツールだと思われがちなその「ビシッとしたスーツ」だが、その効能はそれだけではない。
オーダーメードスーツの専門店を経営する勝さんだが、彼女自身は意外にも「スーツを売っている」という感覚ではないと話す。
「スーツはあくまで『ビジョンに近づくため』のツールだと思うんです。だから私もお客さまにもスーツの話をあまりしません。人生のビジョン、つまり、この先どうなりたいかの話しかしないんです」
また、トップ営業マンが高級なスーツにこだわる理由は他にもあると勝さんは考えている。
「どんなエグゼクティブな営業マンにもバイオリズムがありますので、365日毎日がベストコンディションを保てるわけではありません。そのコンディションの悪い日でも服装や身だしなみさえきっちりと整っていれば、見た目で補える部分は多いです。スーツにはそんな効果効力もあるんですよ」

目指すべきは「また買いたい」じゃなく「また会いたい」と思われる営業マン

現在では、テーラーという仕事を通じてトップ営業マンと接している勝さんだが、実は彼女自身もアパレル業界に入って一日でトップセールスになった経験がある。
そんな彼女に若手営業マンへのアドバイスは?、と聞くと「相手を観察すること」という答えが返ってきた。
「私もアパレル入社から数時間は、お客さまに声を掛けても断られ続けていました。理由は明確で、お客さまに声を掛ける時に『気になったら試着できますので』のような意味のない言葉を掛けていたからです。そこで私は、お客さま一人一人を観察し、『お探しなのは●●ですか?』という、『自分のことを考えてくれている感』を相手に与えるような声の掛け方にしたんです。それで効果が出始めてからは、商品を持って声を掛けるようにしたり、最終的にはコーディネートを作って声を掛けるようになりました」
20代の若手営業マンが営業のテクニックで年長者に勝るのはかなりの労力を要するだろう。
しかし、人の観察をすることにおいては、年齢は関係ない。信頼を勝ち得やすくする近道なのだ。
また、「自己投資」もそのひとつであると勝さんは言う。
「営業力というソフトの面ではすぐに追いつけないでしょうが、身だしなみや着こなしというハード面からなら追いつくことは可能です。『まだ自分には高いスーツは早い』と尻込みしている若手営業マンの皆さまにも、ぜひ一着は勝負スーツを持って欲しいですね。スーツは『なりたい自分に近づくため』のツールなのですから」

取材・文/佐藤 健太
写真提供/muse style lab(2017年8月より店舗名『Re.muse』に変更)

株式会社muse 代表取締役/フィッター 勝 友美さん
短大卒業後、2005年にアパレルメーカーに入社。入社1日でトップセールスを経験、1ヶ月後には副店長に抜擢される。10年より縫製業界に転職し、13年、オーダーメードスーツ専門店『muse style lab』を大阪淀屋橋で立ち上げる。16年には六本木店をオープンし、代表でありながら自らもスタイリング・採寸を行う日本初の女性テーラーとして活躍している。5月31日に著書『営業は「バカ正直」になればすべてうまくいく!』が発売

muse style lab(ミューズスタイルラボ)六本木店
(2017年8月より店舗名『Re.muse』に変更)

住所:〒106-0032 東京都港区六本木5-2-1 望月ビルB1~3F
TEL:03-6434-5712  FAX:03-6434-5713
営業時間:11:00~20:00(LO19:30)
定休日:月曜日 ※定休日・営業時間外のご予約も御相談下さい
HP:https://re-muse.jp/shop

※こちらの記事は『営業type』より転載しております。>>元記事はこちら

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