営業フォローにおける電話とメールの重要性とは

営業 フォロー 電話

見込み客に電話してつながらないと、何回で連絡することを諦めるでしょうか?米国では約4割が1回、約2割が2回で諦めるというデータがあります。ポジティブで押しの強そうな米国人営業マンのイメージとは違い、とても引きは早いようです。

営業マンは、売るために強気で迷惑かえりみずアプローチする印象を持たれがちですが、実は「しつこいと思われたくない……」「押し付けたくない……」と考える営業マンもかなり多いものです。

営業活動では初回だけではなく、2回目の接点も非常に重要なのですが1度面談したあとのお客様フォローが、驚くほどあっさりしている営業マンもいます。「ニーズがあれば連絡がくるだろう」とお客様任せだったり、自分の感覚で早々に「見込みなし」と判断してフォローを止めたりします。

もっとも対面営業の時代は、スキルの高い営業マンなら1回の対面で信頼されて、あまり営業フォローしなくても、後々お客様から連絡が来ることも多かったでしょう。しかし、今はコロナ禍となっため、1時間話して信頼関係を作ること自体が難しくなっています。

営業フローも「アポ → 商談」ではなく「メール → メール → 電話ミーティング→ メール → オンライン商談」という地味な流れになることが多く、山場が後半にくるため、営業プロセスの前半はメールや電話による営業フォローが中心になります。

本記事では、今一度、新規アプローチ中の電話やメールの有効性と重要性について解説します。

営業フォローとは

本記事における「営業フォロー」の定義は、新規アプローチ中のお客様へのフォローのことを指します。具体的にはWeb問い合わせがあった見込み客への営業フォローや、初回のコンタクトがとれてから契約に至るまでの営業フォローのことです。

フォロー例): 

  • Web問い合わせに対応する電話やメールによるフォロー
  • 見込み客に連絡してもつながれなかったときのフォロー
  • 初回のコンタクトの後のお礼メール
  • 商談後のおまとめ(議事録)メール
  • お客様の課題に役立ちそうなデータや情報の提供
  • お客様の関心がありそうなウェビナーの案内
  • 新サービスのオンラインデモのご案内

など、営業プロセスの中でお客様をフォローするシーンは多いものです。適切なタイミングで適切な営業フォローを適切な回数行うことは、見込み客との信頼関係をつくる上で必須だと言えるでしょう。

営業フォローは簡単そうに見えて、見込み客のニーズの度合いや担当者の個性に合わせる必要もあり、難しいシーンも多く、だからこそ上記の中にある一般的なビジネスマナーにそっているフォロー(お礼、報告、リマインダー)などの基本フォローを省かず徹底する必要があります。

いつも一方的な商品説明ばかりする営業マンは、例えて言えば自分のことしか話さない人のようなもので、ニーズが顕在化していない見込み客はそう話を聞きたいと思わないからです。感謝の気持ちや自分をおもいやるような情報を受けとっているからこそ、たまには商品案内にも耳を傾けると言えるでしょう。

営業フォローがなぜ大切なのか

そもそも、なぜ営業フォローは大切なのでしょうか?営業の場合、お客様から問い合わせがあったとしても、初回に契約にまで至る案件は余程タイミングが合わない限りありません。商品・サービスにもよりますが、3ヶ月、6ヶ月、専門商材になると1~2年かかることも珍しくないでしょう。

その間、営業フォローを継続することで信頼関係を構築し、何かと相談されるようになり、ここぞと言う時に提案の機会がスムーズにもらえ成約へとつながります。営業マンは短期の見込み、中長期の見込み、それぞれの予算規模をイメージしながら、見込み客の段階に合わせてフォローをしていく必要があります。そうすることで、見込み客との良好な関係を維持でき、成果につなげていくことができるのです。

しかし、フォローが続けられるかどうかは営業マンの心理面も大きく作用します。本人とつながれなかったり、1度電話で話したけれど、そのあと電話がつながらないと「気が変わったかもれない」と判定してフォローしなくなる営業マンもいれば、相手の状況に配慮せず押せ押せで営業してしまうタイプもいます。

いずれも失注につながりやすいと言えるでしょう。見込み客は営業マンがプッシュしかしないと辟易するものですが、早々にフォローを止めてしまうと「まったく音沙汰ないな」と思い、他社営業マンに気持ちが移ってしまいがちだからです。

ワークフローに営業フォローをきちんと組み込むことはとても重要です。フォローのタイミングや頻度、例えば、つながらな場合1日の連絡は2回まで、しつこくならないように次のフォローは1日あける、情報提供メールは月1回など、自社なりのルールや目安を決めておくと、営業マンも一般常識的なモラルに沿っているという安心感をもってアプローチすることができます。

営業マンの営業フォローの実情

営業マンのフォローの実情については、国内の調査データがあまり公開されていないので、ここでは海外の統計データをご紹介します。

  • 最初の面談で売上げが発生する率はわずか2%である(Marketingdonut)
  • 営業担当者の44%が1回、22%が2回のフォローアップ後に諦める(Marketingdonut)
  • 営業担当者の92%は4回目の電話で売り上げがないと諦める。顧客の60%が「YES」と言う前に4回「ノー」と答えている(Nugrowth
  • 41.2%の営業パーソンが、電話はいまだ自由に使える最も効果的な販売ツールであると回答している(Marcwayshak
  • テキストメッセージを送信された見込み客のコンバージョン率は40%高くなる。しかし、電話で連絡する前にテキストメッセージを送信すると見込み客にコンタクトをとれる率が39%減少する。連絡後にテキストメッセージを送信すると、コンバージョン率が112.6%高くなる(Velocify
  • 売上の35-50%は、見込み客と最初に話せたベンダーが受注する(HubSpot)

国は違えど日本の営業マンでも肌感覚で「わかる」と感じるデータがかなりあるのではないかと思います。初回ではほとんど成約しないこと、一番早く見込み客と話した企業が成約しやすいこと、いまだ電話が有効なことなど、文化や言語が違っても、お客様の購買活動における心理は似ているのかも知れません。

主な営業フォロー手段のメリット・デメリット

ここでは営業フォロー手段の種類について解説します。近年は電話、メール、対面、ビジネスチャット、オンライン会議システムなどコミュニケーションツールが増え、いろいろな方法で営業フォローができるようになりました。 

2020年の日本ビジネスメール協会の調査を見ると、仕事のコミュニケーション手段は「メール」「電話」「対面」が圧倒的ですが「Web会議システム」や「ビジネスチャット」を活用する人もかなり増えてきました。ツールごとのメリット、デメリットをきちんと理解して、フェーズごとに適したコミュニケーション手段を使っていきましょう。

仕事のコミュニケーション手段

出典:「ビジネスメール実態調査2020」|一般社団法人日本ビジネスメール協会

訪問のメリット

訪問による対面営業は、五感を使って見込み客とコミュニケーションを取ることができるため、知識やスキルだけでなくお互いの人間性、個性、相手を通した企業の社風までわかりあえる、とても優れたコミュニケーションス手段です。

  • 表情、声のトーンで本当の気持ちやニュアンスをつかめる
  • 担当者同士の相性がよければ一度で意気投合する
  • 1時間しっかりとヒアリングできる
  • 新たなサービスや世界観などを感化させやすい

訪問のデメリット

2020年以降はコロナ禍で対面=リスクとなってしまったため、対面営業が難しくなった現実があります。Withコロナ向け新サービスが次々と生まれており、もしかしたら商談を可能にするサービスも出てくるかも知れませんが、コロナ感染リスクについて不明なことが多い状況で、営業する側から対面営業をもちかけることは危険です。また、さまざまな調査で指摘されるように移動時間のムダもあります。

  • コロナ感染リスク
  • 無駄な移動時間、非効率さ
  • 交通費などのコスト 

電話のメリット  

電話のメリットは、短時間で見込み客に内容を伝えられることです。「話せば早い」という言葉どおり、テキストで何回も往復するより、一度電話で話すと理解が進むことは少なくありません。見込み客の興味・関心の変化に合わせて、その場でリアルタイムに相手にとって価値のある内容を伝えることもできます。 

  • 短時間でポイントを押さえた話ができる
  • テキストよりは温度感のあるコミュニケーションができる

電話のデメリット

昨今は、電話嫌いを公言する有名人が増えたり、SNSなどに慣れた若い世代が電話を苦手とする傾向があります。営業マンにとっても、企業に電話をかけると受付や若い方がまず出ることが多く、本人につながるまでの関所が多いアプローチ手法です。席を外していたり外出していることもあり、タイミングが合わないことも少なくありません。 

「今、いません」という言葉も本当なのか断り文句なのか判別が難しいですし、あまりかけすぎても迷惑になってしまうため、やや緊張感が伴うコミュニケーション手段だと言えるでしょう。

  • つながるタイミングが難しい
  • 電話嫌いの人にとっては迷惑
  • 記録がのこらない

メールのメリット

メールはメールアドレスさえ正しければ、ほぼ確実に見込み客の元に伝えたいメッセージが届く優れたツールです。受けとる側も要・不要の判断がすぐでき、都合のよいときに読むことができます。時間もとられず、過去のメール履歴も検索すればわかり、やりとりが記録として残る、シンプルかつ効率的なツールです。 

2020年の日本ビジネスメール協会の調査では、もっとも仕事でよく使われるコミュニケーションツールはメールであり99.1%の人が使っています。しかも、部長クラスほど使っているため決裁権者(キーマン)とつながりやすいツールとも言えるでしょう。

  • あまり迷惑にならない
  • 内容が記録として残る
  • 役職者、年配者ほどメール好き

メールのデメリット

メールを営業フォローに活用する場合、見込み度合いが高くない段階では開封されなかったり、読み流すだけになったりすることも多くなります。開封されないとメッセージを読んでもらうこともできません。また、テキスト情報が中心になるため、メッセージの印象自体は強くないと言えます。

  • 開封してもらえないことも少なくない
  • 行動喚起(次のフェーズに進んでもらう)力は弱い
  • 他のメールに埋もれて気付かれない場合がある

オンライン相談のメリット

オンライン相談とは、商談ではなくオンライン上での軽いミーティングのことを指します。訪問営業におけるヒアリングや情報交換のイメージに近いと言えるでしょう。オンラインなので訪問するコストもかからず、営業マンと見込み客がお互い に負担なく、対面に近いコミュニケーションをとることができます。

  • オフィスや自宅でもオンラインで対面できる
  • 話がそれにくくテーマに集中できる
  • 短時間(20~30分)で十分なコミュニケーションがとれる 

オンライン相談のデメリット

オンライン相談は事前の時間設定が必要になります。既存顧客ならば快諾してくれる可能性は高いのですが、新規アプローチ中だと、まだあまり検討が進んでいない状態で会ったこともない営業マンとの時間を確保して、オンライン上で顔を合わせる意義を感じないお客様も多く、設定までのハードルはやや高いと言えます。

  • 慣れていない人が多く初回のハードルが高い
  • カメラ越しなので相手の表情から関心度、気持ちが読みにくい 

その中でも電話とメールが効果的で重要

見込み客のフォローの手段はいくつかありますが、対面が難しい現状では電話とメールの組み合わせがもっとも多くの人に受け入れられやすく、手軽で効果が見込めると言えるでしょう。2種類ともビジネス上のコミュニケーション手段であるという、社会的コンセンサスがすでにできているからです。 

SlackやLINEなどのチャット、メッセンジャー、オンライン相談などは、まだツールを使い慣れていない見込み客も多いですし、現状ではどちらかと言えば信頼関係ができたあとのコミュニケーション手段だと言えるでしょう。 

特にメールは電話より抵抗感を持つ人が少ないため、幅広いシーンで活用できるツールです。電話は敷居こそ高いもののメールよりもぐっと相手との距離を縮めるツールです。前述のように、最新のコミュニケーション用ITツールがあふれている米国ですら、今なお営業マンの40%が電話を有効と考えています。

基本的な営業フローは電話とメール、SMSの組み合わせで作っておくことがお薦めです。例えば、前半の重要な用件は電話、その合間にクッションのようにメール、SMSが入る。さらに後半のフローにおける重要なシーンでは、オンライン相談や対面営業が入るイメージです。

忙しい営業マンが営業フォローで成果を出すためには

営業マンは毎月の数字だけを追っていると、その月はギリギリ達成できても有望な見込み客が増えていかず、次第に営業成績が下がっていきます。営業フォローをしっかりしていれば常に見込み客がいる状態となり、安定した受注を確保することもできるようになります。 

もちろん、それを誰よりもわかっていながら、目の前にある売上目標を達成するために、すぐに契約に結びつく見込み客の対応を優先しなくてはならないこともあるのが、営業マンのリアルでもあるでしょう。

忙しくかつ数値目標というプレッシャーに向き合っている営業マンが、営業の質と量を両立させるためには営業フォローもできるだけ自動化する必要があります。                      

メールフォローの自動化を行う

メールフォローとは、会社もしくは自分が設定した営業のワークフローにそって、フォローメールを自動的に送信できる仕組みを作ることです。メールテンプレートを複数用意し、少しだけ修正していつでも送信すればよい状態にしておくと、営業フォローがとても楽になります。

既存のメールソフトでも簡単な自動送信はできますし、ITツールを活用すれば、営業マンの行動に合わせて、ツールが自動でメール送信する設定もできます。メールの作成・送信時間を短くできるため、営業マンは見込み客との打ち合わせや商談に集中できるようになるでしょう。

見込み客と繋がるタイミングを自動的に知る

営業マンが営業フォローを苦手とするのは、見込み客の動きがわからず、「本当にこの見込み客はアツいのかどうか」の判断ができないからでもあります。対面だけの時代であれば何となく勘所が掴めたものが、オンライン営業が主流になると、さらに見込み客の気持ちが読みづらくタイミングを測ることが難しくなるでしょう。

近年は、米国をはじめ日本でも、ITツールによる見込み客の行動分析、データをもとにした営業活動が増えています。見込み客の動きを分析して「連絡するタイミング」を営業マンに通知できるAI搭載型ツールも増えてきました。

もちろんAIと言っても100%の精度ではありません。あくまで「勘+データ」、「勘+AIレコメンド」の世界です。それでも手探りでアプローチするより、メールを見返してくれている見込み客、Webサイトに頻繁に来てくれている見込み客を知ったほうが、優先順位を立ててアプローチしやすいはずです。

営業はタイミングが重要なので、つながるタイミングがよくなることで成果につながりやすくなります。さらに、営業マンが「今、電話しても大丈夫だろうか……」と迷ったり考え込んだり、場合によってはあきらめたりする行動が減るため、かなり生産性にプラスとなることが期待できます。

まとめ

営業フォローの一つひとつの業務自体は、それほど難しくないことが大半です。むしろ、非常に小さなことなのですが、この営業フォローのプロセスを手を抜いて、ショートカットしないことがとても重要です。2020年においてはメールと電話を中心とした営業フローのシナリオをきちんと組み立て、かつ見込み客の世代や好みに合わせてコミュニケーション手段を使い分けながら、営業フォローをしていきましょう。

こちらから「営業マンの営業活動をより楽にする営業シーン別営業自動化のヒント」がダウンロードできますので、あわせてご参考ください。

    営業シーン別 営業自動化のヒント

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