営業成績が上がる予定管理とは?営業マンが実践するべき予定管理術

予定管理

営業マンの中には、多くの案件を抱えながらも上手に予定管理を行い、いつも余裕がある雰囲気を感じさせる営業マンがいます。一方で常に忙しく頑張っているわりに、数字はギリギリ達成あるいは未達で終わってしまう営業マンもいます。

予定管理のスキルは営業力と比例するとは限らないようで、営業力はあっても無駄な動きが多く、損をして結果的に営業成績に繋がっていない営業マンも珍しくありません。しかも、なぜか段取りの良し悪しは性格の問題だから仕方がないと割り切られがちであり、あまり改善しようとしない営業マンもいます。

予定管理はビジネススキルのひとつであり、基本的なノウハウやコツを学び、きちんと実践することで誰でも身につけることができます。

今回は、営業成績をあげるための予定管理の方法について解説します。

営業マンの予定管理とは?

営業マンの予定管理は、他の職種と比べると優先順位が非常にはっきりしています。あくまで、営業成績を上げるための予定管理を立てなければなりません。営業マンは自分の目標数字を念頭において、主に以下の業務の予定管理を行います。

  • お客様とのアポイント(商談、打ち合わせ等)
  • 訪問時の移動時間
  • お客様への報告、スケジュール調整、情報提供などの業務
  • 提案書類の作成時間
  • 新規開拓営業(電話、メール、飛び込み営業等)
  • 営業会議、 社内打ち合わせ
  • メール、電話、チャットなどによる社内の連絡業務
  • 日報作成や交通費の精算の事務業務
  • 予備の時間(空白の時間)

当然、優先順位の高い仕事は、お客様との商談や役に立つ情報提供などの業務になります。近年は、MAなどを導入し見込み客を営業マンに振り分ける企業も増えてきましたが、新規開拓を自分で行わなければならない企業は、新規開拓営業の時間も優先順位の上位です。

営業マンは当月の数字はもちろん、四半期、年間の予算から逆算して「商談を1日に何件入れるとベストか」「そのためには新規開拓をどのくらいしなければならないか」を把握し、予定を組み立てなければなりません。

さらに、近年の営業職には、高い専門知識や洞察力に富んだ提案能力が求められるようになっているため、リサーチしたり考えたりする時間も十分確保する必要があります。社内の営業会議、上司への報告、他部署との連絡業務もあります。すべて大事な業務ですが、売上げを上げるという目的のもと、優先順位つけて予定を組み立てる必要があります。

予定管理がなぜ大切なのか?

営業マンにとって予定管理はなぜ大切なのでしょうか?まず基本的なことですが、予定管理ができていないと、お客様とのアポイントの時間や納期が守れなくなったり、提案書や成果物の品質が劣化したりし、信頼を失ってしまうからです。

また、営業マンは顧客対応以外に、新規開拓営業を行わなければならない場合が多いはずです。新規開拓はアプローチしてから売上げが上がるまでに時間がかかります。今月の数字が好調でも、向こう3~6ヶ月の営業成績を上げるための種まきをする時間を予定に組み込まなければ、年間の目標数字を達成することは難しくなるでしょう。

既存顧客のみを担当している営業マンであっても、数多い顧客の中でどのお客様に自分がより集中すべきかを、パレートの法則なども参考にきちんと分析した上で予定管理を行わなければ、客単価は低いものの要望の多いお客様に振り回されてしまうことになり、あまり営業成績が伸びない可能性も出てきます。

予定管理が甘い時に起こること

予定管理で失敗する理由

とは言え、営業マンは誰でも予定管理を自分なりに行っているはずです。それなのに、なぜ予定管理で失敗する人が出てくるのでしょうか?

ここではその代表的な理由について解説します。

無理な時間配分をしてしまう

営業マンにとって、アポイントや商談の機会が入るのは嬉しいことです。商談件数が多いほど、営業成績が上がることを多くの営業マンが理解しているため、多少難しいなと思ってもお客様の希望を優先し、タイトなスケジュールで予定を入れてしまう場合があります。

しかし、商談先で待たされてしまうこともあれば、時間が延長になることもあります。緊急事態が発生し移動時間にどうしても別の取引先に連絡をしなければならないときもあります。

アポイントとアポイントの間には、ある程度余裕を持たせないとアクシデントに対応できなかったり、2件目以降のアポイントがドミノ倒しのようにずれこみ、その日の計画が破綻してしまう可能性があります。

所要時間を甘く見積もりすぎる

プレゼンテーション用の書類などの提案書類の準備には、リサーチしたり構想を組み立てたりする時間、実際に書類上にまとめる作業時間など十分な時間が必要です。所要時間を甘く見積りすぎると、割り込みの仕事が出てきたときに時間が足りなくなり、内容が薄く説得力のない提案書になってしまう場合があります。

予定管理の下手な人は、その業務にかかる時間を短く予測しがちです。最も調子のよかったときの経験などから、「無理をすればできる」という自信のもと予定を組むこともあります。しかし、企画系の業務は、その日の頭の冴え具合によって時間が左右されます。案件の内容によっても所要時間は変わりますので、最短時間で見積もると危険です。

先延ばしする

予定を完璧に立てることができても、実行できなければまったく意味はありません。しかし、予定管理の下手な人はするべきことをつい先延ばしするクセがあります。ギリギリのタイミングで着手し間に合わせることができたとしても、品質が十分でないという結果になりがちです。また、ムダにしている時間が長く非効率的です。

ズルズルと先延ばししてしまう悩み……実はこれは世界の多くのビジネスマンが抱えている悩みであり、いろいろな本で対策方法が紹介されています。

比較的簡単な方法に仕事へ着手するハードルを限りなく低くするために、仕事を細分化する「If then プランニング」という手法があります。細分化という表現はよくビジネスで使われますが、If thenプランニングは驚くほど細かくタスク分けするところに特徴があります。

If thenプランニングの例

予定:A社への提案書類の構成を考える 10:00~11:30

タスク:

  1. A社のファイルを開く
  2. 提案書類の定型フォーマットを出す
  3. 提案書類の過去フォルダを開く
  4. A社と似た課題に提案した成功事例がないかさっと探す
  5. A社の抱えている課題についてネットサーチする
  6. 気になったデータやトピックスをメモする
  7. 提案書に日付を入れてみる

というふうに、一般的な予定管理では具体的に書かないような簡単なタスクまで書き出します。そして、実行したら完了した印をつけていきます(〇、済など)。最初のタスクが簡単なため、抵抗をあまり感じないで始めることができます。簡単なタスクでも完了マークをつけると達成感があります。

経験のある方も多いと思いますが、仕事はとりあえず取りかかってしまえば手を動かしているうちにだんだん集中することができます。これは作業興奮と呼ばれる状態であり、心理学的な研究でも証明されています。先延ばしのクセがついている人はIf thenプランニングを活用し、まず予定どおりに業務に着手する習慣を身につけましょう。やる気はあとからついてきます。

予定管理を実践する際のステップ

ここでは予定管理を実践する際のステップを解説します。

やるべきことを明確にする

営業マンの仕事には幅広い業務がありますが、まず、その中で優先すべきことを明確にします。営業マンの場合は何よりもお客様との対応になります。

一度すべて書き出すとわかりやすいでしょう。年間を通しての優先順位は同じでも、その月ごとに多少変動するはずですので、毎月、優先順位を確認して予定管理を行います。

営業マンが優先すべき業務

・お客様の対応(電話対応、メール返信等)
・お客様への訪問(商談、打ち合わせ)
・納期の決まっている提案書作成業務
・自分の営業活動(新規開拓活動)
・自分の営業戦略の見直し、調整

自分の作業時間を把握する

次に自分の業務にかかる時間を正確に把握します。商談などは一般的に1時間~2時間程度で終わります。新規開拓のテレアポ、飛び込み営業などもある程度時間を決めて実施することができます。

メール作成、企画書や見積書作成、リサーチ業務などは意外に時間がかかります。1週間ほど業務を行いながら所要時間を記録し、業務ごとの作業時間を把握すると、予定を立てるときに正確な時間をイメージできるようになります。

実現可能な予定を落とし込む

次に、普段の自分の作業時間を踏まえて実際に予定表に落とし込みます。まず、アポイントなど他社が関わる予定から落とし込みます。また、朝一番に行うお客様との連絡業務など、決まっている予定を優先的に予定に組み込んで、その後に提案書類作成時間、自分の営業活動の時間を確保します。

予定管理が苦手な人は、最大限に上手くいった場合の時間で組み込むことがクセになっている可能性があるため、当初は1時間かかると予測しても1.5時間で予定を組むとよいかもしれません。

継続的に実行していくためには

予定管理は1~2日で上手くなるものではありません。1週間、1ヶ月単位で振り返りを行い、上手くいった点といかない点を把握して改善していくことが大切です。予定より時間がかかってしまう業務は、効率化するか、違う手法を考えるか、その業務に割り当てる時間を増やすかを選別するなど対策を考えて、次に予定を立てるときに実行します。

反省点と対策例 

  • 課題:お客様と連絡する時間がなかなか捻出できない
    対策:内容によって訪問だけでなく、オンライン商談(Web会議)、メール、チャットなどを有効活用する
  • 課題:日中にテレアポや飛び込み営業をする時間がない
    対策:メールやDMなどで反応が合ったお客様だけ対応する
  • 課題:連絡業務に時間をかけすぎている
    対策:メールやビジネスチャットに使用する定型文のひな型を活用する
  • 課題:提案書類作成に時間がかかる
    対策:フレームワークごとに提案書のひな型を用意しておく
  • 課題:A社では商談が長引きがち
    対策:予定時間を1時間から1.5時間に見積る

予定管理が上手くなると、自分でも効率的に動いていることを体感できるようになります。定期的に振り返ることで「すきま時間を〇〇に活用しよう」「この時間はもっと短縮できる」「この時間はもっと増やすべき」など、新たな発想も出てきます。

継続的に予定管理を実行していくためには振り返りを行い、改善していくことを習慣にしましょう。

すぐに活用できる予定管理ツールの紹介

近年は、予定管理を行うためのITツールがたくさん登場しています。無料や低価格のツールが多いので気軽に活用できます。営業マンは移動することが多いので、PCと連動しているスマホアプリのある予定管理ツールを使うと効率的です。ここでは初心者でもすぐに活用できる予定管理ツールを紹介します。

Googleカレンダー

Googleカレンダー
  • Googleの提供するグループウェア「G Suite」の機能の一つ
  • Googleアカウントがあれば無料で利用可能
  • スマホアプリもあるので、移動時間に利用可能

Gmailの内容やGoogle Mapと連動しているため、予定を立てるときに訪問先などの情報が自動的にカレンダーに反映され、リサーチしたり入力する必要がなく便利です。Googleカレンダーを使っているビジネスマンは多いため、外部の人との予定の共有もスムーズです。

TimeTree(タイムツリー)

TimeTree
  • 各予定画面がチャットルームなので、複数人でのコミュニケーションが簡単
  • 複数のカレンダーをプロジェクトごとに利用可能
  • ITが苦手な人もスマホで気軽に活用できるほど操作が簡単
  • 無料

「共有とコミュニケーション」を前面に出しているアプリだけあって情報の共有が簡単です。複数のカレンダーを使い分けることができるのでプロジェクトごとの予定管理だけでなく、プライベートの予定管理もTimeTreeで行えます。TimeTreeを使っていない人に対してLINEで予定を共有することもできます。

Lifebear(ライフベア)

Lifebear
  • カレンダー、ToDo、ノート、日記の4つの機能が使えるアプリ
  • ノートにはメモ、資料、画像などを保存可能でノート数に制限なし
  • パソコン、スマホ、タブレットから利用可能
  • 無料または有料

カレンダー、ToDoリスト、ノート、日記の4機能があるため、いろいろな使い方ができます。カラフルな色分けができ、1500種類以上のスタンプもあるため、楽しみながら自分の手帳のような感覚で予定管理が行えます。

まとめ

営業マンが業務に使える時間は1日8時間×5日であり、どの営業マンもほぼ同じです。営業成績を向上させるためには、予定管理のスキルを向上させて時間を有効に使うことが重要です。

また、営業マンは目標数字から逆算して予定管理を行うことが基本ですが、成果を上げるためには自分の強みを活かす予定管理を行うことも意識すると良いでしょう。営業マンによって既存顧客の深耕が得意、新規の大型案件獲得が得意、メールでのアプローチが得意、オンライン商談が得意などそれぞれ強みは異なります。

自分はどの業務の時間配分を多めにするか、どの業務を効率化することがベストかを考えて、自分が営業成績をあげやすくなるような予定管理を行いましょう。
基本的な営業スキルに関しては「営業スキルチェックシート」で確認することができます。ぜひご活用ください。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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