メールを読んだだけで「あ、この人は仕事ができる」「さすが、A社の社員はメールの文章がわかりやすい……」「早く出世する人はやっぱりメールからして違うな……」と思ったことはないでしょうか?実際、その人が仕事ができるかは不明ですが、メールを受け取る側は実にあっさり、メール一つで相手を評価するものです。
逆に考れば、営業マンもメールの文章・タイミングに気をくばるだけで、お客様から好印象を持ってもらえるということになります。たかがメールとあなどらず営業メールを真剣に工夫するだけで、お客様から信頼され、営業成績が向上していくかも知れません。
本記事では、営業フォローメールを送る効果、送る際の注意点、フォローメールを効率的に送るためのノウハウをご紹介します。
営業フォローメールとは
営業フォローメールとは、お客様への営業活動のフォローのために送信するメールです。電話で話した後や商談後のフォロー、日時の確認、訪問のお礼、情報提供などさまざまな内容のフォローメールがあります。
送るシーン・目的
- アポ・商談のリマインダー
- 打ち合わせ・商談後のお礼
- 展示会・ウェビナー参加のお礼
- テレアポ後のおまとめメール(アポが取れたorある程度話ができたとき)
- お客様に再度電話したがつながらなかったときのフォロー
- アプローチ中のお客様へのお役立ち情報の提供
- 進捗報告のメール、etc
お礼、報告などの営業フォローメールは、現在のビジネスマナーにおいて基本となりつつあります。中には「送らなければ失礼」とまではならないケースもありますが、丁寧なフォローメールは人間関係をより円滑にします。フォローメールの本質とは、敬意や気配りであり、お客様の仕事を楽にすることだからです。フォローメールを上手に活用して、お客様との良好なコミュニケーションを実現しましょう。
営業フォローメールがなぜ大切なのか
ここでは、営業フォローメールが大切な理由を詳しく紹介します。
自身が伝えたい内容を整理できる
電話でも対面でも音声でのコミュニケーションはかなりの情報量をやりとりしているため、商談の後すぐにメモしないと話の中にあった重要な数字、お客様の言葉などを忘れ、ポイントを曖昧なままにしてしまうことがあります。
営業フォローメールを作成することで、営業マンはお客様に伝えたい内容を整理でき、さらに価値を感じてもらえるよう内容にまとめることができます。人は誰かに伝えるときに一番記憶が定着するので、営業フォローメール作成は営業マンにとっても価値のあることなのです。
相手の印象がよくなる
営業フォローメールの良さはさりげなさにあります。口頭では大げさになるようなお礼も、メールなら自然に伝えることができます。お客様もちょっとした連絡メールを読むのに1分もかかりません。さりげない情報提供メールやメールマガジンなら、売り込まれるというプレッシャーを感じずにいつでも自分の都合のよい時間に読むことができます。
ザイオンス効果で言われるように、人は接触回数が多いほど相手に良い印象を持ちます。営業フォローメールを送ることで「丁寧、マメな営業マン」という好印象をもってもらうことが期待できるでしょう。役立つ内容であればさらに信頼度が高まります。
- ザイオンス効果=接する回数が増えるほど印象UP
今ひとつだった商談のフォローアップ
今ひとつだった商談のフォローにも役立ちます。ピーク・エンドの法則と言われ、人は最後の印象を強く記憶する傾向があります。初めて訪問すると何割かのお客様は寡黙だったり、あまり話に乗り気でないことがあると思いますが、もし話が盛り上がらなかったとしても、当日にさわやかなお礼と議事録がわりのメールが届けば印象がアップするかも知れません。
仮に「わざわざ会うこともなかったかな……」とお客様が思っていても、簡潔なフォローメールを見て「とりあえずポイントは押さえている」「礼儀は正しい」「きちんとしている会社」という印象が加われば次につなげやすくなるでしょう。営業マン自身もフォローメールを送ることで後味の悪かった気持ちが切り替わり、前向きになれるはずです。
- ピーク・エンドの法則=最後の印象が全体の印象を左右する
自身が後日でも振り返りができるようになる
営業マンは複数の案件を抱えています。記憶にたよっていると次々と新たなお客様の情報が脳にはいってくるため、訪問から時間がたったお客様の案件の記憶が薄れてしまいます。
常に打ち合わせのあとに営業フォローメールを出しておけば、重要なポイントが時系列に記録としてのこるため、メールを見返せば仕事を振り返ることができます。自分が次は何をすべきかも見えてくるでしょう。
見込み客が再検討のタイミングで見直しができる
商談の内容を詳細まで覚えていられないのはお客様も同じです。お客様が営業マンと会うときはすぐニーズがあるわけではなく、ひとまず情報収集という場合が多く、話もざっくり聞いているだけだったりします。ところがニーズはしばしば急に発生します。再度検討を始めた際に、「そういえばメールもらっていたな」と思い出してもらえれば、メールを見直して再検討していただきやすくなります。
- お客様の議事録がわりになる
1:1のコミュニケーションが深まる
ふっと思いついた「この情報、このアイデアは、お客様のAさんに役立つかもしれない」という内容をメールでお送りするとけっこう喜んでもらえます。今は検索すればなんでもわかる時代ですが、ビジネスマンは忙しいので、情報収集にそうそう時間をかけておられず、すべてを知っている人はあまりいないからです。
また、営業マンはいろいろな業界の人と話すため一般のビジネスマンより広範囲な生の情報を得ているものです。定期で送る情報提供メールは気軽さが長所ですが、たまに営業マンが自社だけにあてて送信してくる情報提供メールは「当社のことを考えてくれているな……」と感じられ、1:1のコミュニケーションが深まるきっかけとなるでしょう。
CM効果、新規見込み客、既存顧客フォローにも最適
フォローメールは、ザイオンス効果に照らし合わせればCMのような効果があります。withコロナの時代となったため「近くまできましたので……」という理由でふらっと立ち寄れなくなりましたが、さらりとフォローメールを送ればコミュニケーションの数を増やすことはできます。フォローメールは内容とタイミングを工夫することで、宣伝にも新規や既存のお客様のフォローにも活用できます。
営業フォローメールを送る際によくある課題
今のビジネスマンの基本コミュニケーションツールはメールです。メールにはすでにビジネスマナーが確立されています(例えば、ビジネスチャットなら絵文字がOKでもメールでは不適切ととられがちです)。営業フォローメールもその枠を超えず、以下の点に留意して送るようにしましょう。
誤字脱字が多い
せっかく良い内容のメールを送っているのに、初歩的なミスをするとマイナスの印象につながります。特に誤字脱字は読んでもらう方に失礼ですし、適当な営業マンと思われてしまいます。また、助詞の「が、を、に、の」などに誤字があると、意図したことが伝わらないどころか意味が変わったり無礼な表現になってしまうことがあるので注意しましょう。
メールを読む側はミスに気づきやすいものです。2020年の日本ビジネスメール協会の調査でも、以下の調査結果が発表されています。
参考:「ビジネスメール実態調査2020」|日本ビジネスメール協会
メールを送る時間が遅くなる
ビジネスマナー上、メールを送信する時間は勤務時間の前後1~2時間までです。9時~17時が勤務時間なら8時~19時が目安ではないでしょうか。もちろんお客様個人によって感覚は違うのですが、営業マンとしては極力マナーを守っていたほうが安全です。
とは言え、電話後にメールを送るつもりでもその後すぐに商談があったり、外出が入っていたりすると対応できず、翌日以降になってしまいます。たくさんの営業マンと会う見込み客だと土日をはさんで3日目くらいに届いたメールを見て、「この営業マンといつ会ったか思い出せない……」となるかも知れません。
対応漏れがある
多少遅れても対応できればよいのですが、場合によってはメール送信すること自体忘れてしまい、対応もれになることもあります。フォローメールなので送信しなくても失礼とまではあたらない内容もあります。少なくとも致命傷ではありません。
しかし、何かと比較されジャッジされるのが営業マンの立場です。日本の古い大手企業の中には取引企業および営業マンのスコアをつけている企業すらあります(対応のあり、なし、速さ等)。そこまではしなくても、フォローメールを送信しない営業マンより送信してくれた他社営業マンに、お客様の気持ちが傾くことはありえるでしょう。
内容がお客様に沿っていない
せっかく営業フォローメールを送っても、メールの内容がまったく見込み客にあてはまらないいかにもテンプレート通りのメールだと、もらった側にとってほぼ読む意味はありません。メールにめくじら立てて怒ったりがっかりする人もいないのでクレームにもならないのですが、少し残念な気持ちは持たれているかもしれません。
あいさつ文などは定型でよいのですが、「メールの要所:お客様の業界、企業の情報や見込み客と電話で話した内容、自分が考えていること」などは、ほんの2~3行でも営業マンが手動で書くことが基本です。
送信頻度とタイミングが適切ではない
今は訪問が難しい時代なので、気を付けないとメール送信数が増えすぎてしまいます。例えば、情報提供メールもあまりに多すぎると「もっと役に立つ情報を絞り込んで送ってほしい」と思われるかも知れません。たまに届くレアな情報のメールだから新鮮さや価値を感じるのです。
メールマガジンにしても毎日届くと「明日読もう」とどんどん先延ばしして結局週末まとめて読む読者もいるはずです。それはそれで読んではもらえるのですが、伝えたい内容を流し読みされてしまったり、かいつまんで読まれてしまいがちです。毎号読んでもらいたいのであれば、コンテンツに合わせた送信頻度や時間帯にも気を配ることがポイントです。お客様との「間合い」を測りましょう。
営業フォローメールを効率化させるためには
ここでは、営業フォローメールを効率化させるノウハウを解説します。メール業務は、かなりの部分が同じ作業なので、効率化できるところは極力効率化させましょう。
メールをテンプレート化させる
メールをテンプレート化させると、一からメールを書かなくて済むので大幅な時間の節約になります。誤字脱字のリスクも減らすことができます。
見込み客に合わせて、カスタマイズする箇所を決めておき、その部分だけを変更すればよいテンプレートを用意しておけば、営業活動のいろいろなシーンですぐに見込み客に合わせたメールを作成することができます。
基本テンプレート:
- 商談お礼メール
- 電話打ち合わせの後のおまとめメール
- アポ獲得後のお礼と日時確認メール
- テレアポ後の資料送付メール
- クレーム対応のメール
- 情報提供メール(個別・定期)
- 契約お礼メール、他
営業マンは、クレーム対応のメールは気が重く手が止まりがちです。契約お礼のメールは嬉しさのあまり、失礼がないようにしようと気が張ってしまい、これまた時間がかかることがあります。いずれも作成中迷うのが原因なので、型ができあがっているテンプレートを活用して速やかに作成しましょう。
自動的に送られる仕組みを作る
今では、ITツールが普及したため、営業マンが自分で設計したフローにそって自動的にメールを送ることができるようになりました。テンプレートと組み合わせれば、来年の送信予定も楽々と組むことができます。
配信には既存メールソフト、無料メール配信ツール、有料メール配信ツールをはじめ各種営業支援ソフトの機能を活用することができます。
既存メールソフト(Outlook、Gmail)
OutlookやGmailでも自動返信や、自動送信が可能です。
- 日時予約送信メールの設定:〇月〇日〇時と送信時間を細かく設定
- 自動返信メールの設定:一定期間あらかじめ作成したメールを自動返信
- 自動返信(特定の内容):特定のキーワードを含むメールにだけテンプレート文を自動送信
無料メール配信システム
メール送信数があまり多くない場合は、無料のメール配信ツールを活用する方法もあります。配信数に制限があったり細かい分析はできないシステムが多いのですが、単純なメールマガジン配信、フォローメールに活用するのであれば十分です。有料メール配信システムの無料プランを活用することもできます。
・まぐまぐ:無料のメールマガジン配信システム
・acmailer:サーバー設置型CGIタイプメール配信システム。無料、送信数、登録数無制限。
・める配フリー:月500通まで無料配信可能。期間制限なし。
・オレンジメール:無料期間6ヶ月、無料プランは1日100配信まで。
※海外ベンダーのメール配信システムにも、無料プランで大量配信や細かい分析ができるシステムもあります。
・MailChimp:無料プランは月10,000通まで配信可能、登録アドレス2,000件以内まで。
・BENCHMARK :月250通まで無料。ドラッグアンドドロップエディター、サインアップフォーム、Googleアナリティクストラッキングなどの機能を利用可能。
有料メール配信システム
本格的に営業部門としてメール活用に力を入れる場合は、有料メール配信システムや営業支援システムを活用することをお薦めします。大量の配信が可能なだけでなく、メールユーザーを分析して有望見込み客をリストアップしたり、営業活動と連携したフォローメールの自動設定をすることで、営業マンの活動をバックアップすることが可能です。
機能例:
・高速で大量のメール配信
・ターゲットの絞り込み、リスト管理
・メールの開封率測定
・ステップメール(複数のメールをステップを踏んで配信する)
・営業フローに沿ったフォローメール自動送信、他
メール配信についても多種多彩なツールが登場していますが、営業フォローメール送信に活用する場合は営業マンの動きと連動できるツールを選ぶことがポイントです。
営業マンが、どんなときに自動メールが送信されれば営業活動がスムーズと感じるのかを、現場からヒアリングしてツールを選びましょう。
営業フォローメール例の紹介
ここでは、営業フォローメールの例を紹介します。一度プレゼンしてから時間がたったお客様へのフォローメールです。自業界向けにアレンジしてご活用ください。
まとめ
近年は優れたITツールが増えてきたため、営業部門でも手軽にメールマーケティングができるようになりました。メールはあまりコストもかからず、作成もテキストだけと簡単ですが、工夫次第で大きな成果を生み出す費用対効果に優れたツールです。
営業の世界もオンライン化が進んでいるため、これからは、いわゆる報連相もメールで行うことが増えていきます。もらったときに気持ちのよいお礼メール、簡潔で好感が持てるおまとめメール、ピンポイントでお客様にお届けするお役立ちメールなどを、ツールを活用して適切なタイミングですぐ送れるようにしておきましょう。こちらから、「営業マンの営業活動をより楽にする営業シーン別営業自動化のヒント」をダウンロードできますのでご参考ください。