ビジネスシーンに限らず私生活でも、人をほめる、叱るということはだれでも経験することがあると思います。
みなさんはほめ上手、叱り上手ですか?
伝え方によっては、より相手の方のモチベーションアップに繋げていくことができます。
今回は、モチベーションアップにつながる「Iメッセージ」話法についてご紹介します。
上手なほめ方叱り方はなぜモチベーションアップにつながるのか
“自然な欲求を追求し、満たすことは、決してエゴイズムにはならない。むしろ、低次の欲求が満たされると、高次の欲求が出てきて、それは自己実現、さらには自己超越にまで到る、人間成長につながっていく。”
―アブラハム・マズローの名言―
※アブラハム・マズローは、アメリカの心理学者。「人間性心理学の生みの親」といわれており、有名な理論として「人間の欲求の階層(マズローの欲求のピラミッド)」理論がある。人間の基本的欲求は「5段階のピラミッド」のようになっていて、底辺の欲求が満たされると、1段階上の欲求が出てくると説いている。
有名な理論のため営業マンのみなさんは既にご承知かと思いますがアブラハム・マズローが唱える、「5段階のピラミッド」のうちの一つに「承認の欲求(尊厳欲求)」があります。
人はだれかに認められたいと思う気持ちのことです。その気持ちを満たしてあげることによって1段階上の欲求である、「自己実現の欲求(成長欲求)」の段階に入ると言われているのです。
では具体的に、認められていると感じられるようなほめ方、叱り方とは一体どのようなものなのでしょうか。
「Iメッセージ」話法に関しての紹介と、「Iメッセージ」話法を使った3つのシーンを紹介します。
「Iメッセージ」とは?その反対の「YOUメッセージ」とは?
Iメッセージ:自分を主語にする表現のこと。主語は「私は~」と始まります。
例)「私はあなたの行動に悲しくなるの」
自分(I)を主語にすると、それはあくまで自身の感想であり主観のメッセージとなるため受け入れ易くなります。
YOUメッセージ:相手を主語にする表現のこと。主語は「あなたは~」と始まります。
例)「だから、あなたはダメなのよ。」
相手(You)を主語にすると、その時の相手の事情や状況などは関係なく、相手を「責めている」イメージが強調されて。
また、響きとしてもどこか客観的で冷たく、まるで自分の言っていることが一般的にも正しいと主張しているかのような印象になってしまいます。
シーン1 部下が休みの連絡をくれなかった場合
YOUメッセージでいうと…
「(君は)なんで連絡をくれないんだ?!連絡しないと仕事の進捗で迷惑がかかるだろう!」
これは、「おまえが悪い」と一方的にきめつけられているように感じてしまいます。このように言われれば相手は連絡が遅くなった言い訳をしたがるでしょう。
「こちらの状況も知らないのに!」、「ほっておいてくれ!」などと内心では思ってしまうかもしれません。
一般的に「YOUメッセージ」では話者が意図しなくても、「あなたはこうあるべきだ、こうすべきだ」という断定的な響きが生まれてしまいがちです。
Iメッセージで言うと…
「(私は)連絡が無いので心配していたのだよ。仕事の進捗の関係もあるから事前に連絡があると(私は)有りがたいな。」となります。
非難が含まれておらず「心配だった」という話者の素直な気持ちが表れていますね。
きっと相手は「心配をかけてしまい申し訳ないな。早く連絡をしなければ。」と思うでしょう。
シーン2 同僚が頑張って仕事をしていた場合
YOUメッセージでいうと…
「(君は)すごいね!いつもがんばっているよね!」
褒められているので悪い気はしませんが、本人がまだまだと思っていた場合は、うまく受け止めにくい傾向があります。
また、上から評価されているように感じてしまうかもしれません。
Iメッセージで言うと…
「頑張っている姿を見て、私も頑張らなきゃと刺激を受けたよ」
この「Iメッセージ」の言い方に関しては伝えた人の実際に感じた事実を伝えているので、受け取った人がYOUメッセージのように否定できないのです。
また、自分の行動によって影響を与えたということが充実感を覚え、達成感を感じやすいメッセージになります。
Iメッセージは相手の心に長く残りやすく、相手に与えるインパクトも大きいのです。
シーン3 部下が以前教えたことを何度も間違えてしまった場合
YOUメッセージでいうと…
「(君は)何度言ったらわかるのかな?」
君はダメなやつ、あきれたといった突き放した印象となります。
Iメッセージでいうと…
「今後仕事に取り組む上で重要なことだから,しっかり覚えてほしい(と私は思っている)」
こちらでは突き放した言い方というより、何故覚えるべきなのか、相手の今後を思って理論的に伝えてくれているという印象と感じられます。
今回は、「Iメッセージ」話法についてご紹介しました。
「Iメッセージ」は教育の現場でも使われている有効な話法です。
「Iメッセージ」「YOUメッセージ」をうまく使い分け、相手を認めてあげることによって、モチベーションアップを目指しましょう!
モチベーションアップについては「営業マンのモチベーションを保つ9つのポイント」でも紹介しています。