売上目標の正しい立て方とは?

売上目標

売上目標が達成できたら気持ちがいいものです。仲間とのチームワークを喜び、お互いの営業成果をたたえて、次の、より高い目標に向けた前向きな雰囲気がチーム内に漂います。

「達成させること」が最重要視される売上目標ですが、チームの売上目標や個人の売上目標は、適切に設定されていますでしょうか。

一見、単純に見える売上目標の設定ですが、適切な目標を設定するためには、いくつかのポイントを抑えながら立てる必要があります。「こんな高い売上目標、達成できるわけがない……」と現場の営業マンが感じてしまえば、取り組む営業マンのモチベーションが下がってしまいかねません。

本記事では、チームのモチベーションを保ちながら、営業マンが前向きに仕事に取り組むことのできる売上目標の立て方を解説します。

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売上目標とは

売上目標とは、企業や営業組織が特定の期間内に営業活動によって達成するべき、売上げ金額や販売数量などを決めた数字のことです。「特定の期間」は、まず上半期や下半期、四半期で設定されます。そこからさらに細分化されて、1ヶ月ごとの目標値や、部署や課ごとの売上目標が決まります。

最終的には、スキルや状況に応じて営業マン個人に売上目標が設定され、各営業マンがその目標達成に向けて営業活動を行っていきます。

売上目標設定の重要性

なぜ売上目標を設定するのでしょうか?

売上目標があると、営業マン一人ひとりがただなんとなく営業活動を行うのではなく「目標を達成するために自分は何をするべきか?何ができるか?」と考えることができ、行動の原動力となります。

もし高すぎる売上目標を設定してしまうと、「人数がこれだけしかいないのに、こんな大きな数字を達成することができるのだろうか……」「1日8時間の勤務で達成できるような数字ではない……」とモチベーションの低下に繋がってしまいます。

一方、低すぎる売上目標を設定してしまっても、「この程度の目標なら、既存の取引先との取引で簡単に達成できるだろう」「仕事に張り合いがない、自分の成長を感じられない」とモチベーション低下に繋がるでしょう。

各営業マンのモチベーションが保たれるような適切な売上目標が設定されることで、売上を上げるための創意工夫やアクションへと繋がり、チームの連帯感や協力が生まれやすくなります。

売上目標と売上予測の違い

売上目標と売上予測は異なります。売上予測は、過去のデータから導き出せる売上の予測のことです。既存の取引先からの売上高であったり、特定の商品・サービスから得られる売上高など過去数ヶ月の傾向から導き出すことができます。競合他社の動向や市場の動向、世論などの外部環境についても反映させることが大切です。

一方で売上目標は、営業組織や営業マンが目指すべき売上の数値です。売上目標は「目標」であるため、期待や希望値も含まれます。「このくらいの売上を立てたい」「この程度の数量を売っていきたい」といった部署としての希望や経営層や他部署からの期待も反映させる必要があります。

売上目標設定の課題

正しい売上目標の設定は、営業マンのモチベーションを高め、チームが目標に向かって一丸となって営業活動に取り組むことに繋がります。しかし、適切な売上目標の設定は難しいものです。適切な売上目標の設定を難しくしている課題を3つ紹介いたします。

1. 根拠のない売上目標を設定してしまう

売上目標を設定するにあたって、「今月は1000万円くらいかな……」「このくらい売っておけば、いいでしょ」と漠然とした根拠のない売上目標を設定する。あるいは「社長や上司から言われたから……」という理由で実現達成見込みの薄い、高すぎる売上目標を設定してしまう営業マネージャーや営業マンもいるかも知れません。

実際に、その目標数値を日割りで自分の行動に置き換えると「実現可能なのかどうか」「低すぎないではないか」がわかります。社長や上司から求められた売上げ目標を追求することも大切ですが、現実離れした数字を追うことは、モチベーションも下がって、最終的に売上げに結びつかなくなってしまします。

2. 現場のスキル・状況を考慮しない売上目標を設定してしまう

現場のスキルや状況を考えられることなく「高すぎる」目標設定が売上目標が設定されてしまうこともあります。

例えば、自社の営業組織の半数以上が新人の営業マンで、現実的には全員が全力を出して1,000万円程度を売り上げることができる実力であるにも関わらず、3,000万円の目標設定をしてしまうとどうでしょう。現場のスキルと状況が考慮されていません。

1日の労働時間を3倍にしたり、営業マンの人数を3倍に増やすことができれば、目標達成をすることができるかも知れませんが、現実的には不可能です。営業組織は人によって構成されています。全ての新人営業マンを、すぐに優秀な営業マンに育て上げられるわけではありません。

現場のスキルや状況の実力を理解した上で、売上目標の設定を行うことが大切です。

3. 自社の営業課題を把握できていない

営業課題を把握していない、もしくは把握しようとしないままの目標設定も危険です。

例えば「アポイント率は高いけれど、商談からの成約率が低い」という営業活動上での課題があるにも関わらず、アポイント数に重点を置きながら、売上目標を設定してしまうとどうでしょう。アポイント数を上げれば、それに伴い成約数もあがります。しかし、依然として成約率が低いままであり、商談後にフォローをしていたら成約に繋がったお客様を見落としてしまっているかも知れません。

ここで、成約率の低さという課題に気付き問題を解決できれば、アポイント率が変わらなくても契約数を上げることができます。もしくは、アポイント率も向上させることができれば、さらに契約数が上がるため、高い売上げの向上を見込めるようになります。

正しい売上目標の立て方

では、正しい目標設定はどのように行えばいいでしょうか。ポイントは5点あります。

正しい売上目標の立て方

1. 事業で必要な売上を確認する

まず、売上目標として必要な売上高はどのくらいなのかを明確にしましょう。売上が高ければ高いに越したことはありませんが、継続的に事業活動を行い、拡大していくために必要な売上高について理解しておきましょう。

この数値より下がってしまうと、実質赤字になってしまいますので、最低限必要な売上高として目標設定の参考にしていきます。

2. 過去の売上実績のデータを確認して傾向を捉える

次に、事実を元に過去の自社の営業組織や営業マンが獲得してきた売上高と、その傾向を明確にします。

売上実績の傾向を捉える際に考慮する点としては、時期による変動です。これは業界によって異なります。例えば、不動産賃貸業界であれば、2月以降から春にかけて需要が急激に伸びます。そのような、売上が変動する波を捉えることで、必要な営業マンのリソースを配分することができ、円滑に対応することができるようになります。

また、営業マン個人の売上実績の傾向を掴むことができます。ベテランの営業マンであれば、営業効率を上げることでさらに売上を上げることができる可能性はありますが、経験の浅い新人営業マンであれば急激にスキルをあげることはなかなか難しいことです。

そのため、新人営業マンはどのような売上げの推移をたどっているのかを把握し、現在何が課題となっているのかをマネージャーと共に考えていく必要があります。さらには、実際にどのくらいの目標を立てられそうかということを一緒に決めていくことが大切です。

3. 会社として必要な売上と現場の傾向とのギャップを明確にする

「現場が全力で営業活動を行って、ようやく会社として必要な売上を確保できる」状態なのか。それとも「現場が8割程度の稼働率でも会社として必要な売上が確保できるため、さらに売上を上積みできる余力がある」状態なのか、それによって対応策は異なります。

自社が以下のどちらになっているか、確認してみてください。

現場が全力で営業活動を行って、ようやく会社として必要な売上を確保できる

現場が全力で営業活動を行っており、余裕がなく疲弊しているのであれば、この状態を改善して、多少の余裕を持って仕事ができている状態にすることも大切です。

こうなってしまう原因は、

  • マネージャー自身が数字ばかりを追求しすぎてしまっている
  • マネジメント不足により必要なケアやサポートが行き届いていない
  • マネージャーが最前線のプレイヤーになっており部下や組織のフォローができていない

などが挙げられます。

この状況の短所は、会社として必要な売上さえ必死で確保していますが、業務に余裕がないために、変則的な事態に対応できないことです。

SNSなどで予期せぬ盛り上がりを見せることもある現代です。他にも、マーケティング部門が打った広告やCMがヒットして話題になり、需要が増加することがあります。すると、急激に需要が増えているにも関わらず「新規開拓の機会が一気に広がったのに、既存取引先の対応で手一杯で、新規取引先を回る余裕がない」と機会の損失が起きることもありえます。

そのような際には、例えば1名新規営業マンや営業事務を採用して一時的な対応を担ってもらったり、既存のデータ管理をやめて新しいITツールを導入することで効率が上がり、余裕が生まれることもあります。

現場が8割程度の稼働率でも会社として必要な売上が確保できるため、さらに売上を上積みできる余力がある

現場に余裕がある状態で「会社として必要な売上」が確保できているのであれば、素晴らしいことです。この状態の長所は、メンバーの配置や方法の見直しなどでさらに、短い期間で売上を伸ばすこともできます。

ただし短所は、売上構成を冷静に確認すると、一部の優秀な営業マンによる活躍が起きていることもあります。営業マンによってパフォーマンスや成果に差が出ていないか、丁寧なヒアリングや1on1ミーティングを通して個人別の成果と営業手法を確認しましょう。

「一部のメンバーは上手く立ち回って結果を残せているが、その陰で何ヶ月も目標が達成できていない社員がいる」のはもったいない状況です。一部の優秀な営業マンが転職や引き抜きで転職してしまうとすぐにバランスが崩れてしまいます。

他にも、数字上では余裕があるように見えても、意外とふたを開けると既存取引先に頼りきっていて、新規営業先が増えていないこともあります。つまり、もし数社の既存取引先との取引がなくなれば、一瞬で数字が変わる危険性をはらんでいます。

4. 現実性を考慮して営業組織の売上目標を設定する

現場で稼働している営業マンの話を聞いて、「営業マンたちの努力で変えられること」を明確にし、現場が自主的に動いて目標達成に向けた行動を起こせるよう、目標の設定にも現場を巻き込みましょう。

現実性を考慮する方法は管理者や経営者の傾聴、営業組織の売上目標を設定して実現させるのは管理者や経営者の最終的な判断です。

多くの管理者や経営者は「語る」ことに注力します。過去の、偉業を語る方が多いことも特徴的です。しかし、売上目標は、これから何をしてどのように実績を残こしていくかを考えることです。過去を生かせることもありますが、時代が経るにつれて、営業の現場を取り巻く環境や結果の出し方は変わり続けています。

電話とFAXの時代、情報を持っている人だけが持っていた時代に結果を出してきた管理職と、チャットやメールを駆使して、情報がインターネットでいつでも検索できる時代では手法も変えていかなくてはいけません。

現場の社員が「Aのままでは売れない、しかしABにしたら売りやすいうえ、この売り方であれば売上高がこのように変わると試算できる。そうすれば営業目標はこのような指標でいけるのではないか」とアイデアを抱えているとします。

その意見を吸収して「営業部や会社にとって有益な意見か?この部下の意見は正しいか?」と仮説をたて、全体に落とし込んだりオペレーション変更の決断を下すことができるのは決裁権限がある人だけです。

一平社員には、意見を上げることはできても、全体のオペレーションを変更することは難しいでしょう。上司が、営業の最前線で営業活動をしている営業マンの意見に耳を傾けることで、新しい営業目標や指標を設定することができます。

5. 現場に売上目標を落とし込む

さまざまな角度から検証して、決定した売上目標を現場に落とし込みましょう。その際には、なぜそのような目標値になったのかを営業マンに解説する必要があります。若手に向けて、力強く「これが目標なんだから、いいから黙ってやれ」と説いてついてくる時代ではありません。

20代〜30代はしがらみも少なくフットワークは軽いため、簡単に離職・転職します。総務省統計局の労働力調査(2019年11月8日公表)によると、25〜34歳の男女共に、2019年の1〜3月、4〜6月、7〜9月の各四半期において転職者総数は上昇し続けています。

部下に媚びる必要はありませんが、理不尽さのない説明や、論拠・根拠のある説明をすると同時に、個人それぞれの力が集まって1つのチームとして成果を出せる、営業もチームプレーであると部下に理解を求めましょう。

まとめ

売上目標の設定は、ただ漠然と設定するのではなく、現在会社や組織として必要な金額を求め、実際の自身のチームのスキルレベルと照らし合わせ、適切な目標設定をおこなうことが大切です。

もし売上目標が高すぎると感じた場合は、今一度自身のチームのどこが売上拡大の生涯になっているのかを明確にすることが大切です。営業プロセスが非効率であれば、効率的に営業活動を行えるようにする必要がありますし、営業スキルが不足していたら部下の教育にも力を入れる必要があります。

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

B2Bマーケティングを幅広く経験。外資系ソフトウェア企業の日本支社立ち上げを行い、創業期の全マーケティング活動を責任者として行う。現在、東京と海外を行き来しながら場所にとらわれない働き方を通じ、日本企業のマーケティング支援の戦略立案から実行までの支援を行なっている。

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