優先順位を意識した仕事の進め方をするためには

仕事 の 進め方 優先 順位

営業マンは、新規開拓を続けているとコミュニケーションをとるべきお客様が次第に増えていきます。そのため、当初はすべてのお客様にしっかり対応できますが徐々にスケジュール調整がキツくなっていきます。

また、営業マンは営業活動のほかにも提案書や見積書作成、SFA入力、他部署・取引会社との調整、経費精算、社内の各プロジェクトへの協力など多岐にわたる業務をこなしており、実は間接業務に追われがちです。

一方、営業できる時間は有限です。営業マンにとって優先順位の低い仕事に時間をかけていると常に忙しくても月末の成果が今一つ……という事態も起こりえます。

パレートの法則(20:80の法則) にのっとり成果に直結する最重要な1~2割の仕事を優先し、それ以外は「ほどほどの労力をかける仕事」「後回しにしてもよい仕事」「必要最小限の労力でOKな仕事」に分類し、手際よくこなしていくことが大切です。時間とエネルギーを重要な業務に集中させるか分散させるかで、成果は大きく変わってきます。

本記事では、営業マンが優先順位を意識した仕事の進め方をするノウハウをご紹介します。

仕事の進め方とは

仕事の進め方とは、社内に存在するさまざまな優先順位・重要度の仕事を効率よくこなしていく方法を指します。

営業マンは職責が売上げ・利益を上げることなので、成果に直結する営業活動が最優先事項です。しかし、同時に組織人でもあるため、他部署から依頼される仕事、社内慣行やさまざまな調査への協力などにも対応する義務があります。

このようなタスクをすべてスムーズにこなしていくスキルは「段取りがいい」「要領がよい」「仕事が速い」とも表現されます。具体的には以下のスキルで構成されています。

  • 優先順位をつけるスキル
  • 所要時間を正しく見積もる力量
  • ムダな仕事、重要でない仕事をなくす・減らす能力
  • 重複した仕事をまとめられるスキル
  • スケジュール管理能力

なぜ仕事を進める際に優先順位が重要なのか

会社の中には手がけたほうがよい仕事は数多くあります。しかし、その中でもやるべき仕事とやらなくても大丈夫な仕事は存在します。優先順位をつけないとすべてに一生懸命取り組んでしまい、仕事に振り回されてしまいます。

営業活動でパレートの法則(20:80の法則)を使って顧客分析をすることもあると思いますが、パレートの法則は日々の仕事にもあてはまります。

おそらく、あなたの仕事で重要なのは数多いタスクの中のたった2割。他8割はまったくムダなわけでも、すべてなくしてよいわけでもありませんが、必要以上に力を入れても成果にそれほど影響しないので、短時間でこなしたり、空き時間にこなすなど工夫が必要です。

その他の8割の仕事の例:

  • 各種事務タスク
  • 社内の定例ミーティング
  • 提案書に必要以上にこだわる時間
  • 必要以上のリサーチ(原典にあたれば概ねOK)
  • 営業メール作成に時間をかけすぎる

戦略的な仕事に取り組む時間を確保する必要性

営業マンを取りまく環境はここ1~2年だけでも激変しました。営業マンはオンライン営業ツールの使い方を覚え、オンライン営業力を向上させるためのトークやプレゼン技術を日々学びながら業務を実践しているでしょう。

お客様にニューノーマルな時代に適した提案をするためには、各業界の現状をリサーチし変化を予測・分析することも重要。新しい環境においての優先順位をしっかり立ててお客様に大きく貢献できる仕事、自分の成長につながる仕事を見極めていかないと時代に取り残されるリスクがあります。

「今時点で注力するべき仕事か?」「営業成果に直結するのか?」を常に自分に問いかけてみましょう。お客様と相対する仕事、新しく仕掛ける領域の仕事はYESで、大半の社内仕事はNOとなるでしょう。

優先順位をつけて仕事を行う際の課題

優先順位を立てた方がいいことはわかっていても、なかなか実行に移せない人も少なくありません。

よくある原因は以下の2パターンです。

優先順位の付け方がわからない

そもそもどのように優先順位をつけたらいいのかわからなかったり、どれも優先順位が高い仕事に見えてしまう状況の人もいると思います。

そのような人は、営業以外のタスクの自分の処理能力をあいまいにしか把握していない可能性があります。そのため仕事の所要時間を短く見積もりがちであり、仕事がきた時点では「なんとかなるだろう」と良くも悪くも積極的に受けます。しかも、依頼された仕事はすべて迅速に対応しようとする姿勢があります。ところが計画があまいので、一つでも仕事の負荷が大きくなると目論見が一挙に崩壊します。

一度、こなしきれないほどの大量の仕事を工夫してこなしきった経験がないと、自分では優先順位をつけていると思っても、それほど明確につけられていないことはよくあります。

途中で仕事が割り込んできてしまう

営業マンは計画を立ててもいろいろな仕事や相談が舞い込んでしまい、優先順位どおりに進められない状態になりがちです。ただ、これはある程度は避けられないと想定しておくべきです。

お客様からの相談は、次の仕事につながることが多いのでもちろん優先順位上位。ちょっとしたクレームをないがしろにすると、お客様は失望して他社に気持ちが移ってしまう可能性があります。仕事自体は小さくても取引に影響する事柄の優先順位は高いのです。

新規の問い合わせは、スピードがものをいうのでもちろん最優先。米国の調査ですが問い合わせに1番早く対応したベンダーの受注確率は約50%です。

だからといって、優先順位を立ててもムダなわけでは決してありません。むしろ、すべての仕事の優先順位を立てているからこそ、予想外のことが起きてもスケジュール調整が容易なのです。もちろん、最初からある程度バッファをもたせて計画をたてる必要はあります。

仕事の優先順位を決めるための基準とは

ここでは、営業マンが優先順位を立てて仕事を進める際に基準となる4つのポイントを解説します。

仕事の期限(緊急度)

社内外問わず大切な基準は、仕事の期限です。

まず、締め切りの決まっている緊急度の高い仕事を軸にスケジュールを決めていきます。日本では、仕事の中身よりも「期限を守る」ことが重要視される文化があります。

営業成績がよくても遅刻が多く提出物の期限を守らない営業マンは、社内で「仕事はできるけどルーズ」「いい加減」とレッテルをはられ信頼を得られません。昇進・昇格に影響することすらあります。社外からはなおさらシビアに評価されます。締め切りは何よりも優先すべき指標です。

クレーム、重要クライアントからの急な相談も、対応の早さ次第で成果に与える影響が大きいので優先順位は高です。

仕事の難易度

難易度が高い仕事も優先順位は高にしておく必要があります。なぜなら想定外に時間がかかることが多いからです。

営業マンはお客様から「こんなことできる?」「〇〇は対応可能?」と新しい仕事を打診されます。新たな売上の糧なので積極的にとりにいくべきですが、ときに自社の能力ではキャパオーバーの仕事を安易に受けてしまうときがあります。

仕事の計画倒れを防ぐには、想定時間の3倍を目安にすべしといわれます。難易度の高い仕事は予想の数倍かかることもあるかもしれません。仕事を受ける前にしっかりヒアリングし、自身のスキルで簡単にできるのか、それとも調査やスキルの向上が必要となるものなのかを把握することが重要です。

仕事を受注したあとは仕事の難易度を踏まえて慎重にスケジュールを組んで取り組みます。難易度の高い仕事を後回しにすると惨事になりかねないため、優先順位を高くしてタスクを粛々と進行していく必要があります。

仕事の複雑さ

お客様と自分だけで完結する仕事はコミュニケーションさえ良好ならリズムよく進みます。ところが1~2名でも関係者が増えると仕事のプロセスは一挙に複雑になり、コンセンサスを得るのに時間がかかります。

人が3人集まると派閥ができるといわれるように、人間関係が複雑になることもあるでしょう。お互いが「それは別な人の仕事」と思い込み、プロジェクトがスムーズに進行しないことも起こりえます。

関係者が多い仕事(特に新しく一緒に仕事をする人がいる場合)は、最初からある程度ミスコミュニケーションが発生すると想定して所要時間を見積もったほうが安全です。そして、何かあったときにすぐ軌道修正できるように優先順位を高くしておきます。

効果の高さ

営業マンにとっての優先順位の基準は、なんといっても仕事でどのくらい売上げが見込めるかです。あまりニーズのないお客様、自社の商品・サービスを導入しても良い成果が出そうにないお客様、予算が自社の商品の価格帯とあわないお客様にアプローチするよりも、ニーズがあり予算もあるお客様に営業するほうが優先順位は高くなります。

短期的に効果が出なくても、将来有望であれば優先順位はもちろん高。営業活動で優先順位を見極めるにはBANT条件(予算、決裁権者、ニーズ、期限)を活用するとよいでしょう。

コスト(お金や労力)

仕事にお金と労力がどのくらいかかるかも大切な指標です。テレワークが普及したので最近は少なくなりましたが、遠隔地のお客様に訪問すると交通費もかかりますし、1件の訪問に半日を使ってしまうこともあります。

最近はオンライン経由で見積もり依頼、提案依頼が気軽にできるようになったため、問い合わせが増えているかもしれませんが、これも安易に受けてしまうと時間を使ってしまうだけの場合もあります。

コンペの参加要請となると、コストだけでなく社内外の関係者の労力も使います。得られる利益や勝率を考えるとやみくもに参加するより一定の基準で線引きすることが大切です。これまでに「すでに御社に決めているが形だけコンペをする」と言われたことがないでしょうか?おそらく、逆の立場になっていることもあるはずなので、注意が必要です。

もちろんこれもバランスが大事で、長年の取引がある、有望見込み客であり、かつ担当者の性格によってコンペ辞退が信頼関係を壊しかねないのであれば、今後の取引のための「投資」として参加する判断もあります。なかなか杓子定規にはいかないのが営業の世界ですが、それでも可能な範囲で仕事の費用対効果を意識して優先順位をつけましょう。

優先順位の高い仕事の進め方のステップ

ここでは、優先順位を立てた仕事の進め方を実現するための手順を解説します。

やるべき仕事をリストアップする

現在やるべき仕事をすべてリストアップ。難しい仕事から簡単な仕事まですべてをリストアップすることが大切です。とにかく、頭の中にあるものを一度外に出して可視化しましょう。

自分の脳内は見えないので、頭の中で10件以上のタスクの優先順位は描きにくいものですが、箇条書きにしてみれば全体の量がわかりますし、仕分けもスムーズにできます。

順不同で思いつくものから書き出してみましょう。会社によって営業の業務内容に差はありますが、一般に、以下の項目が出てくるのではないかと思います。

営業マンのやること例):

  • メールチェック
  • お客様とZoom打合せ
  • お客様への資料・事例送付(メール)
  • メール営業
  • テレアポ
  • オンライン営業
  • 製造現場への顔出し、進捗確認
  • 提案書、見積書作成
  • 契約書類の作成
  • 新規訪問予定企業のネットリサーチ
  • 営業リスト作成
  • ウェビナーの新企画立案
  • ミーティング
  • 営業日報作成(SFA入力)
  • 交通費精算
  • 各種社内サーベイ回答他事務業務

特定の基準を決めて、各仕事がどこに当たるかを考える

前項で紹介した基準をもとに、その仕事がどのような優先順位の仕事に当てはまるか考えます。

例えば、4つのマトリックス(縦軸は効果の高さ、横軸は必要コスト)にして、それぞれの仕事を当てはめていくとわかりやすくなります。

マトリックス

仕事の優先順位マトリックス

着手する領域の順番を明確にする

上記の図で仕分けする場合は、優先順位は以下の順番となります。

  1. コストが低く効果が高い → 最優先
  2. コストは高く効果も高い → 優先順位(中)
  3. コストは低く効果も低い → 優先順位(低)
  4. コストは高く効果が低い → 優先順位は低く中止も検討すべき

2、3の優先順位は同じくらいに思える場合もあると思いますが、迷ったら想定している売上・利益総額やお客様との信頼関係への影響度で判断するとよいでしょう。

コストが高いわりに効果が低い仕事は、会社が先行投資している場合や営業マンが将来的に大きな売り上げにつながると予測できている場合をのぞき、優先順位は低くなります。場合によっては中止を検討しましょう。

優先順位をつけた後仕事を進める際のポイント

ここでは、実際に仕事を進めるにあたって気をつけるポイントを紹介します。

簡単な仕事から進める

日々の仕事について、世の中には「まず、朝一番に重要な仕事から片づける」「朝一のメールチェックは生産性を下げる」という説もあれば、「朝のメールチェックをしたほうがいい」という説があります。

しかし、自分は特に立ち上がりが遅いタイプと感じている場合は、まず「簡単な仕事から着手」することがおすすめです。それにより勢いがつきそのまま難しい仕事へ着手できます(作業興奮といわれる現象です)。

もちろん、簡単な仕事に朝の1時間をかける必要はありませんが、例えばメールやチャットチェックを10分以内で終える(返信時間は別途決めておく)、本日のスケジュールをまず見直す、机周りを綺麗にするなど、何か一つタスクを短時間で完了すると仕事のリズムにのれるでしょう。

時間を区切る

仕事ごとに目標時間を作ると能率がアップします。時間を区切ることで集中力が増し、だらだら仕事するのを防ぐことができるからです。

脳科学の研究で有名な東京大学の池谷裕二教授と株式会社ベネッセコーポレーションが中学生対象に行った実験では、60分学習の対象者は集中力に関与している前頭葉のガンマ波が40分以降に急激に低下する(右下のグラフ)とわかりました。

一方、左下のグラフは「15分×3 (計45分)学習」グループですが、15分で1度休憩を入れることでガンマ波が再び上昇し集中力を維持できています。実験では、長時間学習より短時間学習を繰り返すほうが効果があること、集中力が40分程度しか持続しない可能性を示唆しています。

脳波計データ

(参照:PRTIMES<勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験>

営業も、クライアントの業界知識、商品知識、提案のための分析、新しいシステムの活用法など学ぶことがかなりある仕事です。集中力は長時間持たないことを理解し、難しい仕事なら15分、深く考える仕事なら30~40分と、一区切りつけるタイミングを決めておくとよいかもしれません。

完璧を目指さず区切りをつける

どんな仕事も完璧を目指そうとせずに、80%の段階で区切りをつけることも大切です。前述のように人の集中力は時間とともにうすれるため、完璧にしようと頑張っていても実は脳は良いアイデアが出せる状態でなくなっているかもしれません。

また、提案相手に確認が必要な内容を100%作り込んでしまうと、再度作り直すことになってしまった際に、無駄な労力がかかってしまいます。

提案資料のデザインや図などを100%作り込むことによって受注につながればよいのですが、多くの場合そんなことはないので、80~90%の作り込みに押さえて、提案内容のストーリーに時間をかけた方が受注につながる可能性が高くなるでしょう。要は、お客様に提案メリットを伝えることが大事なのです。

提案書作成にはテンプレートを有効活用しましょう。一から作成せず、見本を参考に土台の部分をさくさくと計画的に書き進めます。社内テンプレートがない場合は事例豊富なこちらの本をお薦めします。

まねして書ける企画書・提案書の作り方

(画像出典:Amazon「(はじめの1冊!) まねして書ける企画書・提案書の作り方」

振り返りの時間を確保する

習慣を変えるのには時間がかかります。優先順位もいきなりスムーズに見極められるものでもありません。計画を立てて進めながらも、実行しながら段取り力を高めていく心づもりでいると、「予定通りできなかった、ダメだ……」とむやみに反省することを避けられます。

週に1度ペースで自分の仕事を振り返り、優先順位の立て方に問題はないか、所要時間をあまく見積もりすぎていないかなど振り返りましょう。「未来のために今何をすべきか」という視点で、優先順位の高い仕事を見つけていきましょう。

まとめ

スマートに仕事を進める人は、個々の仕事のスキルがすごいというよりも、重要な仕事を見極めてそれ以外の仕事を効率よく終わらせたり、人にふったりすることが自然にできています。誰に何を頼めばいいか(Know who)にもたけています。

要領が悪く、すべて自分で仕事を完遂しようとするために何かと遅れるクセのある人は、仕事の優先順位を分類した上で、まず短時間で仕事を一区切りすることから始めてみましょう。また、テンプレートを活用したり、誰かに振ったりツールを使ったりと、最短距離を探す習慣をつけることを意識するとよいでしょう。

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