サボりがちな営業マンを成長させる8つの方法

営業マン サボり

営業マンのサボリといえば社用車で昼寝、カフェでの一休み、ネットカフェや映画館、電車に乗り続けるなど、昔から色々な方法があります。新人の頃はほとんどの営業マンがやる気満々ですが、仕事に慣れてくると、手を抜いたりサボりが癖になる営業マンはどうしても一定層出てきます。

営業はスケジュールを自分で組めるところが魅力の一つですが、部下にのびのびと働いてほしい反面、自主性に任せすぎると楽な方向にながれる営業マンが増えるのが営業管理職にとっては悩ましいところかもしれません。

本記事では、サボリがちな営業マンを成長させる8つの方法をご紹介します。 

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営業マンのサボりとは

まず、日本の営業マンはどのくらいサボっているのでしょうか?転職サイトtypeの2017年「営業マンのサボり事情」によると、なんと76%の営業マンが「“サボり”経験あり」と回答しています。

どんな時にサボりましたか?

理由の1位は「次のアポまで時間が空いた」、2位が「寝不足」、3位が「達成が決まっている」であり、「売上げが上がらない」「モチベーションが上がらない」という理由よりも上位にきています。

サボった時間については1時間程度が最も多く、次が2~3時間程度です。中には5時間以上サボる営業マンもいます。「ほぼサボらない」「適度にサボる」「かなりサボる」の比率は「1:6:3」くらいのようです。

どれくらいの時間サボっていましたか?

(参考:type

もっとも1~2時間くらいまでのサボリは、適切な休息と解釈することもできるでしょう。

営業マンの仕事にはかなり集中力が要求される商談・プレゼンテーションもあれば、冷や汗をかくようなクレーム対応もあります。集中してお客様と相対した後は適切な休息をとらなければ、むしろ次のアポでのパフォーマンスが落ちかねません。

近年はオフィス内にジムやスポーツ施設を設ける会社が増えてきましたが、これは仕事中でも適度な運動や瞑想などをすると脳が活性化し、生産性向上につながるとわかってきたためです。同じような理由で社内カフェも増えています。一見、ムダに見えて批判されがちな営業マンの移動時間やアポの合間の休息時間も、ある程度の範囲なら生産性向上にプラスだと言えるでしょう。

ただし、この名目があるためついサボりすぎる営業マンがいるのも事実です。休みすぎるとかえって疲れるものですし、サボりが常態化してしまうと、その場は楽しくても不完全燃焼な日々を過ごすことになります。もちろん、売上げも下がっていきます。 

なぜ営業マンのやる気を高めることが大切なのか 

現代はとても変化が激しく、ヒット商品の寿命も短い時代です。ここ何年かを振り返っても、魅力ある新商品・サービスを出した企業が、後発の模倣に近い商品を出した営業力の強い企業にあっというまに追随された例を、思い出せるのではないでしょうか?

企業は商品力だけでなく売る力がないと、ライバル企業に勝つことはできません。営業マンは他社との競争の最前線にいます。営業チーム全員のやる気が高まっている状態でなければ、早晩他の企業にシェアを奪われてしまうのです。

また、近年の研究では「人のモチベーションが伝染する」こともわかっています。つまり、営業マンのやる気はお客様のやる気も高めるということです。ビジネスライクなBtoB営業の世界でも、担当者の感情が意外と発注に反映されます。お客様から見てやる気があって一生懸命自社に貢献しようとする営業マンは、やはり受注率も高くなるでしょう。

社内も同じです。やる気のある営業マンは、周りの営業マンをやる気にさせます。モチベーションが高く売上げがトップクラスの営業マンを見て後輩は「あのようになりたい」と思い、逆に成績が下位クラスでもやる気だけはあり必死に努力を続ける営業マンを見れば、「抜かれるかも知れない」という危機感から、やはり仕事に真剣になるでしょう。

やる気のある人材、頑張り続ける人材は、全体の生産性を上げてくれる貴重な存在なのです。できれば、個々の営業マンが自分の売上げを達成すればよいという思考だけではなく、自分がチームの生産性にどのくらい影響を及ぼせるかという大きな視点を持てることが理想です。

サボりがちな営業マンにみられること 

ここでは、サボりがちな営業マンにみられる傾向について解説します。

遅刻や欠勤が多い

仕事に集中できなくなっている営業マンは、遅刻や欠勤が多いことがあります。本人が会社や仕事に対して不満があったり、営業に向いていないと感じているなど、自分でも意欲のなさを自覚している場合もあれば、「頑張ろう」と思っていても朝起きられないという場合もあります。

遅刻や欠勤はメンタル不調の予兆のときもあります。レアケースですが、単純に本人の性格的特性の場合もあります。仕事はそれなりにできるのに、提出書類の締め切りにいつも遅れるようなタイプです。 

意欲が減退しているだけか?心身の不調か?個性によるものかを見極めるには、仕事ぶりの変化、顔色、周囲との人間関係などもあわせてチェックすることがポイントです。

外出の時間が長い

サボっている営業マンは商談や打ち合わせなどで外出し、なかなか帰ってこない傾向があります。一仕事終えたので今日はもう終わりにしたいという場合もあれば、サボったうしろめたさから上司と顔を合わせる時間を短くしたくなりギリギリに帰社する場合もあります。 この場合の日報は、虚偽の内容も含まれているかも知れません。

ただし、本当に頑張っていたため帰りが遅くなる営業マンもいます。商談が終わったあとにそのエリアで飛び込み営業をしていたり、忙しくてなかなかアポがとれない経営者と商談するために、遅い時間にいわゆる夜討ち朝駆けをしていることもあるので、決めつけないことが肝心です。 管理職の方はとりあえず遅く帰社した営業マンにも明るく声をかけ、対策は個別に考えていきましょう。

成果が上がらない 

サボりがちな営業マンは、営業活動が十分にできておらず打ち手も少ないため、だんだん成果が上がらなくなります。一見、売上げが上がっているように見えても、売上げ数字を細かく見るとまったく新規のお客様が増えていない、既存のお客様の中でも一部のお客様しか売上げが上がっていないという状況が目立ちます。

フォロー不足になっているお客様が増えている可能性があるので、実際に時間的余裕がないのか、実はサボっているかを見極めて、対策を考える必要があります。

業務中もボーッとしている 

モチベーションが下がっている営業マンは業務中も上の空であったり、業務に関係のない情報収集をしているなど、仕事に集中していないことが多くなります。新人営業マンだと何に手をつけてよいかわからない場合もあるため、多少の手ほどきで改善するかも知れません。

一般に、要領のよい営業マンならサボりながらも会社にいるときは頑張っている風情を出せるものです。社内でボーしている状態は、営業への意欲そのものが低下していたり、もう転職することを決めていたり、プライベートで大きな悩みを抱えているなど、相当問題が進行している可能性もあります。

サボりからやる気へと変える8つの方法 

営業マンは数字で評価されるため、サボる営業マンであっても「サボれて楽しい」と思うタイプより、サボり過ぎてはいけないと思いつつ、自分を変えられないことにジレンマを抱えている営業マンが多いのではないかと思います。

ここでは、サボる営業マンがやる気になるためにマネジメント側ができる8つの方法を紹介します。

仕事に集中できない理由のヒアリング

営業マンがやる気が出ない理由は実にさまざまです。

「営業が合わない」「マンネリ化してきた」「体調不良」「人間関係」「プライベートの問題」「理由がわからないがやる気が出ない」など一人ひとり異なるため、本人の問題と決めつけずにミーティングの機会を利用して、1:1で集中できない原因を事実ベースで確認することが大切です。

意外に周囲との人間関係など、本人が頑張ろうと思っても人のやる気を削いでしまう要素はあるものです。 家庭の問題や体調の問題などはプラベートに関わることなので、深くは追求せずに上司や会社ができることをヒアリングし、対応してあげることが大切です。 

目標の設定を正しくする

営業目標が高すぎたり、低すぎたりするとモチベーションが上がらないことがあります。

目標が高すぎると早々に達成は無理だと判断してしまい、「もう今期はいいや」という開き直りや、諦めに近い気持ちを持ってしまうかも知れません。

逆に、目標が低すぎると簡単に達成できてしまい「自分は責任を果たしているから、サボっても問題ない(キリ)」となる可能性もあります。 営業目標は、営業マンが頑張れば達成できそうな範囲で設定してあげることが大切です。 目標の立て方については「SMARTの法則」を参考にするとスムーズです。

会社やチームへの影響力を考えてもらう 

営業マンは個人に目標が割り振られているため、サボる営業マンの中には成果が出ても出なくても「自分がよければそれでいい」と考えている人もいます。あるいは「今月は落としても年間は達成できる」という算段からかなりマイペースで動くこともあります。 

しかし、営業チームは毎月の売上げ目標を抱えています。1人の営業マンが落とした数字は誰かほかの営業マンがカバーして売上げており、その営業マンも無理をして埋め合わせている実態をきちんと伝える必要があります。また、企業は売上げが好調でもキャッシュフローが悪ければ倒産しかねないこと、現在の雇用を守るために、月々の売上げが重要であることもあわせて理解してもらいましょう。

会社がきっかけを提供する 

一度サボる習慣がついてしまうと、自分ではなかなか元に戻せない営業マンもいます。定期的に「頑張るきっかけ」を提供できると営業マンも気持ちの切り換えがスムーズにできるようになります。

例えば、最強の営業会社として知られるキーエンス社では社内でテレアポをする日がルールとして決められているそうです。各社体制が違うためそのまま真似することはできませんが、新規開拓営業への取りかかりのきっかけに「テレアポタイム」を導入するのも一つの方法かも知れません。 

例えば、月に1回2時間程度「テレアポタイム」と決めてチーム全員でコールします。リストは成長業界、休眠顧客リストなどを用意してもよいでしょう。新規開拓ができない場合は、心理的なハードルができてしまっている可能性があるのですが、一度取りかかってみれば案外「簡単にできる」と再認識する営業マンも多いものです。

先延ばしをなくすテクニックを教える

営業マンに実行力を高めるテクニックを教えることも効果的です。お薦めは米国コロンビア大学の社会心理学者が提唱する「if  thenプランニング」です。「A(if)という条件下ではB(then)をする」ことを決めるだけの簡単な手法ですが目標達成率が2~3倍になることもある「最強の行動計画」として知られています。

ポイントは「計画の解像度」を高くするところです。計画段階で細かくタスクを分解することで脳が着手すべきことを強く認識し、実行力が高まります。

例):

  • 目標:月曜の10時からテレアポをする
  • 計画:
    ・月曜の10:00になったらスマホをoffにする
    ・営業リストとトークスクリプトを出す
    ・営業リストをさっと見て1社目の社名を確認する
    ・トークスクリプトをさっと黙読する
    ・受話器を持手につ(ヘッドセットをつける)
    ・1社目の番号をプッシュする
    ・相手が出たら「お世話になります。〇社〇と申します」と名乗る

という感じで手順を細かく言語化しておくと、一つひとつの作業は簡単なため、リズムよくタスクが完了し苦手な仕事もスムーズにやり抜くことができます。意志力だけに頼らず、脳の特性を利用した科学的なテクニックも活用してもらいましょう。

新たな役割についてもら

前述のtypeのアンケートを見ても、仕事をサボってしまうのは売上げが不足している営業マンよりも、ある程度ゆとりのある営業マンに多いことが伺えます。頑張らなくても困らない状態でモチベーションを高く持つ方が、かえって難しいのでしょう。

仕事がマンネリ化している可能性もあるので、新しい顧客を担当してもらったり休眠顧客の掘り起こしを依頼したりするなど多少仕事量を増やしてもらうのも一つの方策です。 忙しくなるとかえって疲れず仕事にリズムができ意欲がわいてくるものです。新たなお客様との出会いで気持ちがフレッシュになる効果もあるでしょう。

「後輩を指導する役割」についてもらうのも一案です。新人の見本になろうという意識から、仕事に改めて真剣に取り組むことが期待できます。 

成果に対する報酬を設定する 

営業職の場合はインセンティブもモチベーションの一つです。受注に対してのインセンティブなどを設定して、成果に対しての報酬を設定することは大切です。type誌が2014年に行った「営業マンのマネー意識調査」によると23歳~35歳の営業職ユーザーは「仕事内容」より「給与・収入」を重視する結果が出ています。

「仕事内容」より「給与・収入」を重視する

(参照:type

昨今の日本は年収が上がらないわりに税金は高くなっており若年層に余裕がない状態です。固定給は上げられなくても成果を上げた分を多少はリターンするようにしないと、サボるどころか転職してしまうかもしれません。

多様な角度からの評価指標を持つ 

教育心理学の分野で有名なピグマリオン効果や米国のホーソン実験という研究で証明されているように、人は「誉められること」「認められること」「注目されること」で生産性を上げるものです。

営業が強い会社では営業マンの成果を多角的に評価します。年間売上げ1位や年間達成率1位という大きな括りでの評価だけでなく、半期、四半期、短期キャンペーン、新規開拓件数、新規売上げ金額、既存顧客の成長率、斬新なプロジェクトの提案ほかさまざまな切り口で順位を公開し、できるだけ多くの営業マンにスポットライトを当てています。

人は何かで1位をとると勝ち癖がつきます。「ここだけは負けない」という自負が芽生え次も1位を取ろうという意欲が湧きます。評価指標が多いと、営業マン同士もお互いの強みが分かるため、認め合えるようになります。上司が誉めなくても社内で認められれば、自然にモチベーションは上がっていくでしょう。

各営業マンと向き合って解決していくことが大切

サボっている営業マンに「サボるな」と言えば一生懸命働くようになるならば、管理職の仕事はどれほど楽でしょうか。上司・部下の相性が良ければ真摯に受け止めてくれるかもしれませんが、大抵は「自分だって頑張っているのに……」「わかっていない!」と思われてしまうでしょう。

上司の行動や言葉

実際、年代問わず誉められたらやる気になる人が圧倒的に多く、叱られてやる気になる人は僅かというのが現実のようです。

(参照:マイナビ

注意する時は「サボっていることを正す」ために面談をするのではなく、現状の確認と今後の営業方針についてのミーティングをしながら、ついでに持ち出すことが望ましいと言えます。ネガティブなテーマを伝えるときもポジティブな話も交えながら指導やアドバイスをして、ピークエンドの法則を踏まえて、最後は誉めて終わりましょう。

なお、営業マンによってモチベーションを高めたり維持するための方法は違います。はっきりと「〇〇したほうがいい」と指導したほうがよいタイプ、気持ちに寄り添いながらソフトにアドバイスしたほうがよいタイプなどの個性の違い、スキルや潜在的能力の違いによっても言い回しは変えた方が望ましいと言えます。何より大事なのは、一人ひとりに期待しながら接することです。

まとめ

新型コロナウィルスの影響により、2020年以降はこれまでの営業スタイルでの成功体験が通用しにくくなっています。前例がないことが多いため、経営層や管理職よりも現場の変化を速くキャッチできる営業マンの重要性が、ますます増してきたと言えるでしょう。

外勤営業から、インサイドセールス主体になるはずなので、よくも悪くも営業マンがサボりづらくなり、これまでサボっていた営業マンの成績が伸びる可能性もあります。反面、適切な休息がとれず営業部門が疲弊する可能性もあります。
新しい環境にあわせた営業のリズム、評価指標、インセンティブなどについては営業マンの意見も積極的に取り入れて構築していきましょう。自分の意見が反映された仕事の手法であれば納得度も高く、モチベーションも高くなりやすいはずです。

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