商談成立後が重要!商談成立した際に確認するべきこととは

商談 成立

「いいですね、これでいきましょう」「御社に決まりました」「稟議が通りました」等々、営業マンにとって商談成立の瞬間は本当に嬉しいもの。特に新規開拓でまったく面識のなかった段階からアプローチしていると、それまでの努力が報われた大きな喜びと達成感を味わえるでしょう。

しかし、商売は売って終わりではなく売ってからが始まり。古くは近江商人の「商売十訓」。近年は先端IT企業の経営者もさかんに強調する、いわばビジネスの鉄則です。

営業マンは、商談が成立したら速やかにマインドを顧客深耕モードに切り替えて、お客様の仕事が幸先よくスタートするように段取り・確認を徹底する必要があります。ここで「抜け・漏れ」があるとキャンセル、後々のトラブル、場合によっては売っても赤字でお互いが「こんなはずじゃなかった……」という結果になることもあるため、非常に重要なフェーズでもあります。

本記事では、商談が成立した際に営業マンが確認するべきポイント、商談成立後に行うべきことを解説します。

商談の成立とは

商談の成立とは、営業マンが提案した企画の内容や見積金額が認められて、お客様が発注することに合意したことを指します。

BtoCの低価格な商品・サービスであればその場で申込書を書いてもらえることもあるでしょう。大きな契約の場合は、さまざまな別書類を用意する必要もあるため、そこから本契約へのステップに進みます。

BtoBの場合、初回の取引では一旦口頭で発注 → 正式に書面での契約書提出 → お客様側での契約書レビューや審査などもあり、契約締結まで時間がかかることが少なくありません。

正式な「商談の成立」「契約の成立」はどの時点かと言うと、実は法的には口約束でも契約と見なされます。実際、日本では慣れ親しんだお客様との仕事は、口約束だけで受けているケースもあるでしょう。メールに記録が残っていればそれだけで発注があった証明にもなるので、小さな取引ならそれで問題はないかも知れません。

とは言え、日本語は曖昧な表現がたくさんある言語なため、口約束だと誤解が生まれることもあります。大型プロジェクトになれば、提案時に提出した内容だけでは収まりきらないほどの細かい合意事項も出てきます。やはり最終的には書面で契約した方が、後々のトラブルを防げるでしょう。

商談成立とは、口頭で提案内容に合意したレベルから書面での契約成立までの幅広い意味を含んだ言葉ですが、ビジネス上は「契約締結の一つ前の合意段階」が現実的な解釈だと言えます。

商談成立後が本格的なコミュニケーションの始まり

商談成立時点は、お客様にとっては新たな仕事のスタートラインです。自分が決めた商品・サービスを購入して思い描いていた成果を手にするために、まさに進み始めたところです。決める経緯もいろいろで「絶対ここしかない」と決めた場合もあれば、迷いに迷って1社に決めた場合もあるでしょう。

「バイヤーズリモース(Buyer’s Remorse)」と言って、人は高額な買い物を決断した直後に「後悔」がよぎる瞬間があるそうです。売る側に問題がなくても不安がよぎるのですが、もし商談成立後の対応が遅かったりすると「この会社、大丈夫かな……」「やっぱりB社にしておけばよかったかも……」と思うかも知れません。

実際、発注をもらったあとに他社営業マンが諦めずにディスカウントしたり、オプションをつけた見積もりを再提案したため、土壇場でキャンセルされるケースもあります。くれぐれも気をぬいてはダメなフェーズなのです。

また、一部の売り切り型の商品・サービスを除けば、日本のBtoB企業の売上は既存顧客からの売上がかなりの割合を占めます。それも最初の一年は大きな金額ではなく、時間をかけて顧客理解を深め段階的に大きな取引に発展していきます。商談成立とは、営業マンとお客様とが深くコミュニケーションをとっていくための入口にすぎないと言っても過言ではありません。

商談成立後がなぜ大切なのか

今のお客様は、インターネットやSNSの普及によって、昔のお客様像から大きく変貌しました。シンプルに言えば、企業や社会に与える影響力がかなり大きくなっています。

一人ひとりが強い発信力を持っています。いつでもスマートフォンからSNS、レビューサイトなどに購入した商品・サービスについて評価を書き込めるからです。

また、SNSなどで多くの人とつながっています。フォロワーの多い人はメディアのような存在に近いと言えるでしょう。レビューサイトは増える一方です。しかも、多くの人は何かを買う時に、企業や営業マンよりも口コミやSNSの評価を重視するようになりました。

NTTレゾナント社の2011年の調査では、口コミが購入に影響した人は約7割前後(グラフの茶色)にものぼります。当然、良い口コミで購入を決断する人もいれば、悪い口コミで購入を止める人もいますが後者は把握することがなかなかできません。

クチコミが購入に影響した経験の有無

(参考:NTTレゾナント株式会社

このような環境になると、商品のブランド力を高めるには、商品・サービスを購入してくれたお客様の満足度を高めることが早道になります。

満足度は必ずしも商品・サービスの品質だけではなく、購入後の営業マンの対応や、何か不具合があったときのカスタマーサポートの対応も大きく影響します。商談成立後の企業姿勢が重要になってきているため、営業マンの商談後の対応の重要性も増しているのです。

商談成立した時に確認するべき点

ここでは、営業マンが商談成立した際に確認すべき点について解説します。

契約内容の確認

商談が成立したら、次は正式に書面で契約を交わす必要があります。「契約書なしで仕事をする」「覚書」あるいは「簡単な契約書」だけ交わして仕事をすることもありますが、後々トラブルになるケースが実際にかなり起きているものです。

いかに法律的には口約束も契約であっても、言った言わないになってしまえば、第三者は確かめようがありません。何より争いになると時間と費用がかかるばかりです。交渉や裁判でこちらの言い分が認められたとしても、お客様との関係は途切れてしまうのでプラスの面はないのです。

経済産業省がソフトウエア取引のトラブル事例を紹介していますが、「口頭だけの発注だった」「契約書の内容が不明瞭だったため、お互いが追加費用を請求する事態になった」など、最初の確認が甘かったがゆえにトラブルになったさまざまなケースが出ています。

普段の人間関係が良好なゆえに、つい手続きを省いてしまったり、お客様が悪気なく丸投げしてきたことを何でもYESといってしまったりすると、ときにとんでもない事態になることがわかります。

商談成立の後は、できる限り契約内容を「見える化」し成果に合意して正式に契約書を交わすことに留意しましょう。

トラブル例:契約内容があいまいだった

契約が曖昧だったトラブル例

(参照:経済産業省

契約締結時に気をつけるポイント:

  • できない約束は口約束でもしない
  • 支払いサイトは適正なスパンにする
    ※中小企業は、「下請法」で発注者側にあらかじめ支払期日を定めることが義務づけられていたり、支払期日の限度も決められているなど法に守られていることを知っておきましょう。
  • SLA(サービスレベル合意書)も交わす
    ※システム開発、クリエイティブ、アウトソーシングなどはお互いの期待値がずれやすいため、成果の水準、追加修正の限度、お客様に協力してもらう必要のあることなどを事前に合意することが大切です。

双方の担当者の確認

商談成立後は営業マンが窓口にならず、違う部門のスタッフが窓口になることもあると思います。また、お客様の側にも新たな担当者が増えることがあります。

お互いに、新しい担当者との相性などは心配な面もあるもの。営業マンが間に立って、誰がどのような役割でどのような方法で連絡すべきなのかを整理整頓して共有します。必要に応じて顔合わせ(最近だとZoom顔合わせ)をしてもよいでしょう。

昨今はSNS、チャットなどのテキストのみのやり取りが誤解を生んだり、相手の感情が見えづらいため無駄に心配するなど、これまでなかったコミュニケーションコストが発生しています。先に人となりを理解しておいたほうが、その後の仕事がスムーズかも知れません。

今後の流れの確認

商品・サービスを導入にあたって設定作業・初期対応が必要な場合は、今後の流れを事前に伝えておきます。フローがあればどのように進めていけばいいのかが明確になり、お客様も困惑せずにスムーズに活用を開始できます。

プロジェクトの場合も、事前にスケジュール案を提出していたとしても、商談成立時点で改めて具体的な日程を共有するとよいでしょう。稀に、スタートが多少遅れたにも関わらず、提案時点での納期で頼み込まれることもあります。スケジュールについてもお互いに再度確認しましょう。

Web上にも契約後のスケジュールの一般的な例、オプションの無料サービスや、困ったときの連絡窓口がわかりやすく説明されているとよりよいでしょう。

誠意のあるお礼の連絡

営業マンは商談が成立したら、その日に帰社してから契約してくれたことに対してお礼のメールを送ることが大切です。もちろん、既に口頭で伝えてあるでしょう。ただ、お礼は対面では長々と伝えられないものです。

メールでお礼とあわせて自身の心意気なども伝えると、お客様も改めて「ここに発注してよかった」という安心感を持てますし、その後の関係構築を強化することもできると思います。

商談成立後に鍵となる役割

商談が成立した後は、営業マンだけでなく社内の各部門が協力してお客様をサポートします。ここでは、お客様の満足度を高める鍵となる部門を紹介します。

カスタマーサポート

カスタマーサポートはお客様が商品・サービスの不明点、不具合などについて問い合わせたときにアドバイスなどを行う部署です。

プライベートで他社のカスタマーサポートに連絡した経験がある人はイメージしやすいと思いますが、カスタマーサポートの電話番号がわからない、電話をかけてもなかなかつながらない、延々と自動アナウンスが続き時間をとられる、Webサイトからの問合せフォームも選択肢が限られていたりすると、なかなかストレスフルです。

しかも、ようやくつながった担当者の回答が解決につながらなかったりすると、「次は絶対に違う会社にしよう……」と思ってしまうものです。2016年にアメリカン・エキスプレス・インターナショナルが世界9市場を対象に行った調査では、日本は「一度でも悪い顧客サービスを受けたら企業を離れる」と答えた率が各国より抜きんでて多く、50%を超えています。

世界一シビアな日本人顧客

(参考:アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.

一度の悪い対応で2人に1人が去ってしまう、世界でも稀な厳しいマーケット。日本でカスタマーサポートを担当する人たちは、常に高いサービスレベルを求められているということです。逆に考えれば、業界内でカスタマーサポートのレベルが高いと、他社から移ってきたお客様が、長く継続利用してくれる可能性もあると言えるでしょう。

カスタマーサポートは売上を上げる部署ではありませんが、実際にはお客様の維持に大きく貢献しており、さらにカスタマーサポートの対応に好感を持ったお客様がリピート利用や追加利用をするため、売上にかなり貢献している部署だと言えます。営業マンとしても、商談成立後もっともお世話になるところかも知れません。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスとは、受動的なスタンスのカスタマーサポートとは異なり、お客様に商品・サービスを活用してもらうために、能動的にアプローチしていく役割を持ちます。

カスタマーサクセス=顧客の成功であるように、そもそもお客様が商品・サービスを購入した目的を達成することをサポ―トすることが目的です。例えば、SaaSなどを活用するためには、お客様にもある程度のIT知識や学びが必要です。

カスタマーサクセスが商談成立後に必要なトレーニングを案内したり、お客様のシステムの利用状況に沿ったアドバイスすることは役立つはずです。必要に応じてお客様に適した新たな機能を提案することもできます。

ただし、カスタマーサクセスのスタンスは企業によってかなり多様なようです。カスタマーサクセスプラットフォームを提供するTotango社の「2019 State of the Customer Success Industry and Salary Report」によると組織形態も以下のようにCEO直轄(33%)であったり、営業部門に属していたり(14%)、サポート部門に属していたり(14%)とさまざまです。

日本でもまだ事例が多くはない部門なので、営業マンも自社のカスタマーサクセス部門が試行錯誤段階であることを理解して協力しあうことが大切かも知れません。

顧客体験を意識したフォローを行う

商談が成立したあとに営業マンが一番真剣に考えるべきことは、お客様に購買後も心地よく自社の商品・サービスを活用してもらうことです。

そのためには前述のように自分だけではなくIT企業ならカスタマーサポート、カスタマーサクセス、メーカーであれば工場のスタッフ、制作会社であればクリエイティブ部門など関連各部門と協力しあって顧客体験を高めることを意識できるとよいでしょう。

商談成立後は購入後のお客様のカスタマージャーニーを改めて描いてみて、自社とお客様が接するポイントで、どのような顧客体験があれば喜んでもらえるだろうかとイメージし、その上で関連部門とのチームワークを良好にしていくことが大切です。

■カスタマージャーニー

カスタマージャーニー

(出典:「The 5 Must Have Customer Success Processes」-Totango

顧客体験(CX)の向上は業績との相関関係が高いという調査結果も出ています。長い取引になるだけでなく、活用するサービスの種類も増え、お客様の好意的なレビューによって他のお客様が増加するなどよいサイクルが回りだすからです。

営業マン自身お客様と接する顧客接点そのものなので、商談成立後もお客様へ丁寧なフォローを心掛けていきましょう。

まとめ

営業マンにとって商談成立は嬉しいもの、キャンセルは残念なもの、お客様とのトラブルは辛いものです。仕事が大きくなればなるほど、商談成立時に確認しなければならないことは増えます。

また、良いお客様は事前に合意することを面倒がりません。売上を上げたいという思いからつい簡略化してしまいたくなるフェーズですが、しっかりお客様と向き合い、できることとできないこと、最大限目指したい成果と最低限保障する成果、お客様に協力してほしいことなどをきちんと合意しましょう。商談成立後の確認と段取りをしっかり行うことが、最終的なお客様の成功にもつながります。

こちらから「営業スキルチェックシート」がダウンロードできます。営業活動は現場が何より大切ですがときどき基本を見直すことも大切です。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

関連記事

  • 営業ツール

    営業提案に役立つ競合他社比較表の作成ポイントとは

  • 特集

    商談の議事録の書き方と活用方法とは

  • 営業スキル

    “オンライン商談が苦手”な若手営業パーソンが抑えるべき5つのポイ...