営業活動の時間を確保するために営業マンが行うべきこと

営業 活動 時間

みなさんは週にどのくらいの時間を営業活動に割けていますでしょうか?マイクロソフトの最近の調査によると営業マンは働く時間の約33%、週あたり1.5日しか営業活動できていないそうです。日本能率協会コンサルティング社の調査でも日米の営業マン有効活動時間は約30~40%となっています。

もちろん営業マンがサボっているのではありません。それどころか多くの営業マンは「こんな雑務は誰かにお願いして営業したい!」「会議長すぎる……」「既存のお客様のフォローに追われて新規開拓の時間がとれないじゃないか……」などさまざまなことを思っているでしょう。会社も営業マンも営業活動に集中したい気持ちは同じです。

しかし、営業マンは多くの雑務に追われています。営業にとって優先順位が低い社内業務も他部署の誰かにとっては重要業務。ITツールが導入されたらされたで、操作を覚えるのに時間がかかったりします。「ムダを削減しよう」と思ってもそうは問屋がおろさず、なかなか改善できなくてこまっている営業マンも多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、営業活動の時間を確保するためにできることを紹介します。

営業活動の時間とは

本記事での営業活動の時間とは、「営業マンが電話やメール、商談で営業アプローチをするなど売上げに直結する営業活動を行うための時間」を指します。

営業マンの仕事の領域は多岐にわたっています。業界によっても異なりますが主要なものだけでも、以下のように幅広い業務があります。

営業マンの仕事の領域

どの仕事も重要であることは間違いありませんが、営業マンがもっとも時間を割くべきは成果に直結する営業活動。次が間接的に成果に影響する業務の順です。とにかくお客様と向き合う時間、お客様と会うためにアプローチする営業活動時間を増やすことが大切です。

  • 成果に直結する業務
    ・新規見込み客に対するアプローチ
    ・既存顧客に対する深耕営業
  • 間接的に影響する業務&成果に関係ない業務
    ・会議、ミーティング
    ・日報作成(SFA入力業務)
    ・社内の事務
    ・移動時間
    ・朝礼、他

営業活動の時間を確保する理由

なぜ、営業マンにとって営業活動の時間を確保することが大切かというと、単純に売上げを上げるためには営業アプローチの「量」が不可欠だからです。

一般に電話、メール、飛び込みなどは何十件かアプローチしないと、そうそうアポは取れません。アポが取れてからも、商談の準備をする時間やフォロー時間がセットで必要。対面営業なら移動時間もとられます。計画的に真剣にタイムスケジュールを練らないと、1日2件くらいの商談で終わる日も出てくるでしょう。

営業マンが1日2件しかお客様と商談できていないのと、1日4~6件できているのでは年間でみると相当な差になります。例えば、稼働日年間240日でシミュレーションすると以下の差がでます。

  • 1日2件の商談なら → 1年で480件 
  • 1日4件の商談なら → 1年で960件 
  • 1日6件の商談なら → 1年で1,440件 

一人の営業マンだけならそんなには問題ありません。これが、営業マンが20人いる企業で平均件数に上記の差がある場合、企業同士の差は9,600件と28,800件となり、なんと年間で1万件以上の商談件数の差になります。営業マン数が同じであれば人件費はさして変わらず交通費、通信費などの経費が多少増えるくらいなので、利益には相当な違いが出るでしょう。

当然、数をこなせば営業マンのスキル・能力も向上。できる営業マンが多い会社と少ない会社になっていきます。怖いのはその差がぱっと見わかりづらいことです。社内にはたくさんの業務があり、多くの営業マンは真面目に何かをこなしているので、みなしっかり働いていることは確かだからです。

営業活動の時間確保の実情

「営業マンが営業時間を確保できない…」これはここ何年ずっと言われ続けてきたことです。国内では2019年のHubSpot Japanの調査で、営業担当者自身が「営業活動の25.5%をムダ」、特に「社内会議」「社内報告業務」「再訪問」「移動時間」をムダと感じていることがわかりました。

グローバルでも似たような状況です。調査する企業によって多少割合にばらつきはあるものの、概ね営業マンが営業活動に30~37%くらいしか割いていないという結果が出ており、よく問題視されています。ここでは海外の2社の調査結果を紹介します。

外勤営業の営業活動時間の内訳(1週間あたり)

カナダに拠点を置く知識労働者の生産性調査を行うPace Productivity Inc.による調査では、社外の営業担当者の週あたりの時間配分は以下の通りです。

  • Selling(営業)=23%
  • Client Admin(顧客対応の事務)=11%
  • Admin(社内の管理、事務等)=22%

なお、こちらは問合せ対応のインサイドセールス、リテールセールスなどを含まないデータです。たった2割しか営業活動に時間をさけていないようです。

外勤営業の営業活動時間の内訳

(出典:Pace Productivity Inc.

インサイドセールスを含む営業担当者の時間内訳は?

もう一社、Insidesales.com(現XANT)の調査によると以下の通りです。

  • Selling(営業)=37.1%
  • Lead Generation, Reserch(見込み客開拓、リサーチ)=21.7%
  • Post Sales Tasks/(既存顧客対応)=17.1%
インサイドセールスを含む営業担当者の時間内訳

(出典:copper

インサイドセールスを含んでいることもあってか、商談+営業アプローチ + 既存顧客対応の合計が約75%にもなります。「37%しか営業していない」という言われ方もされるのが現実ですが、営業マンの視点で見れば「いやよくがんばっている……」「営業活動に集中できてうらやましい……」とうつるのではないでしょうか?

コロナ禍で営業のデジタル化が進んでいるため、これからは日本でもインサイドセールスが営業のスタンダードになる企業が増えるかと思いますが、少なくとも営業活動時間は増えることになるでしょう。

営業活動の時間を圧迫してしまうもの

ここでは営業活動の時間を圧迫してしまうタスクについて解説します。

急な顧客対応

新規開拓営業と既存のお客様のフォローを兼任している営業マンの場合、どうしてもお客様から質問や相談、クレームがくると時間をとられます。お客様は会社の資産。自分の売上の柱。蔑ろにすることなどは決してできません。顧客満足度に大きく影響するので重要です。

お客様は商品・サービスを購入してよかったと思いたいものなので期待にこたえて迅速に行動すべきでしょう。しかし、さして重要でない業務でも呼び出す古い付き合いのあるお客様がいて、人がよく何でもYESというタイプの営業マンが顧客対応を優先しすぎて、本来の営業活動に時間がさけないということもあります。

素早いレスポンスができ、何かと相談されやすい雰囲気をもっているのは営業マンの長所ですが、すべてに迅速に対応していると時間はいくらあっても足りないのでできるだけABC分析などで仕事の優先順位をつけること。そしてレスポンスは早くしながらも、実際のスケジュールは自分でコントロールする意思を持つことが大切です。

見積依頼、提案の依頼、打ち合わせの依頼……実はお客様も今日明日でなくてもよい場合は少なくないはずです。案件の緊急度を察しながらでも「〇曜日の●時、もしくは〇曜日の●時はいかがでしょうか?」とある程度自分都合で提案する習慣をつけていきましょう。

資料作成の時間

営業の提案書や見積書などの資料作成も時間がかかってしまう要素の一つです。提案書はある程度のクオリティ以上であれば、職人のようにあまり作り込みをしないでも成約には影響しないでしょう。ここぞという時のの提案であれば別ですが、日常的な提案であれば時間をかけすぎないことが大切です。

パーキンソンの法則

英国の学者が提唱した有名なパーキンソンの法則を覚えておきましょう。

つまり、提案書の提出がかなり先だとしても、その日まで時間をかけて作りこんでしまう習性が人にはあるということです。いつでも忙しい人はこの法則を意識していれば、沼にはまることを避けられるかも知れません。

移動時間

コロナ前までは、お客様先への移動時間も営業活動を圧迫してしまう大きな要素の一つでした。お客様のアポイントを同じエリアにまとめてとることができればベストですが、そこは相手あっての営業職。こちら都合で効率的に入れられないこともあるからです。

それでも近場ならまだよいのですが、全国展開しているお客様を担当していると飛行機や新幹線での移動となりさらに大きく時間を取られてしまいます。

ある程度の移動時間は、アポで緊張した頭や精神をリラックスさせるのによいのですが、あまりにも移動時間が多いのは問題です。もっとも、移動時間についてはコロナの影響で強制的に削減することになり、その経験から「今までムダに移動していた」と気づいて改善できる企業も増えるのではないかと思います。

報告書の作成

営業日報や週報、月報作成、CRMやSFAの入力、他部門に出すあれやこれやの提出書類作成などの時間も、かなり営業活動を圧迫してしまいます。特に紙の報告書だと最近は手書きになれていないビジネスマンが多いので、1時間くらいあっと言う間に経つかも知れません。

フォーマットがないと何を書いたらいいかわからなかったり、必要以上のことを書いて時間がかかりすぎてきしまう営業マンもいます。このような事務タスクは1日の商談が終わってややリラックスした時に、恐らくはムダだと思いながら作成するため油断すると時間を使ってしまうのです。以下はチームスピリット社の2019年の調査ですが、営業マンだけでなくみんなの悩みのようです。

普段の仕事で無駄だと感じる作業

(参照:Corp teamspirit

社内会議

社内会議が多すぎたり、長すぎたりしてしまっても営業活動の時間を圧迫してしまいます。前述のHubSpot Japanの調査でも、営業担当者が営業に関する業務の中でムダだと感じるNo.1が「社内会議(33.9%)」です。

コロナ禍になったため営業マンの移動時間はどの企業も少なくなっていると思いますが、ミーティングはどうでしょうか?オンライン会議やチャットなどのコミュニケーションでは温度感が伝わりにくいことから、よりミーティングに力を入れている場合もあるかも知れません。

新しい環境に慣れるまではいたしかたないものの、ある程度みながテレワークに慣れてきたら、オンライン会議であっても営業活動の時間に支障がないように時間や回数に気をつけましょう。

営業活動の時間を確保するためには

営業マンの実働時間は一般に8時間。営業時間を増やすとなったら、代わりにどこかの時間を減らさなければいけません。

減らすためには「時間ができたら営業アプローチする」ではなく、先に必要な営業活動時間を確保して「残りの時間で雑務をどうにか終わらせる」という発想がポイントになります。

営業活動に集中する時間を決める

社内には気が散る要素がたくさんあります。何かを質問されること依頼されることもあるでしょう。既存のお客様のメール対応からこなしているうちに、すぐ時間が過ぎていきます。

マルチタスクが得意で頭をパッパッと切り替えられる人は少ないので、普通の営業マンは事前に営業活動をする時間を決めておき集中することがコツです。営業アプローチする時間あるいは曜日を決めてもよいでしょう。集中してその時間は営業活動以外のことは行わずに取り組むと一挙に仕事がはかどります。

参考までに、以下は最強の営業会社といわれるキーエンス社の営業活動のパターンです。

  • 1日社内でアポをとり、2日外出のルーチン
  • 外出日は1日6〜7件訪問
  • 社内日には1日60件程度の電話をかける

(参照:現代ビジネス

営業プロセス、営業ワークフローの見直し

営業プロセスや営業ワークフローを定期的に見直すことで、売上げにつながらないムダな時間を発見することができます。営業プロセスも新しいITツールや社会の変化、お客様のスタンスの変化で変わっていくものです。常に最適化していくことが大切です。

営業活動で使う資料はすべてテンプレート化します。成約につながった提案書、見積書、アポがとれた際の営業メールなどを元にしたテンプレートがあれば、営業チームの全員のレベルアップになります。もちろん、営業マン個人で行ってもかなりの効率化になります。

営業活動で使う資料のテンプレート化

オンライン商談を活用する

2020年11月のエン・ジャパン社の調査ではオンライン商談ツール導入率は43%にまで増えています。オンライン商談の魅力として「新型コロナウイルス感染拡大防止」「移動・出張のコスト削減」「顧客対応のスピード」が上がっています。

コミュニケーションが難しいという課題はありますが、オンライン商談ツールを活用することで移動時間をかなり削減できます。コロナ禍になり「とりあえず1回来て」と言われることもなくなったので、日本全国どの地域の企業にも営業をかけて場合によってはすべてオンラインで受注できることもあるでしょう。

オンライン商談の利点

(参照:エン・ジャパン

他部署にも業務を依頼する

最近は営業の分業体制をとる企業も増えていますが、新規開拓も既存顧客フォローもすべて一人で対応している営業マンであれば、おそらく分業したい筆頭は「事務タスク」。次あたりが「簡単なアフターフォロー」「アポイント取得」ではないかと思います。

事務については営業マンよりはるかにテキパキこなせる人材が社内に豊富なはずなので、上司に動いてもらって他部署に応援を依頼できるのであれば、人件費はアップせず理想的です。見積書作成などを協力してもらえるだけでも助かるでしょう。

重要な顧客との折衝は営業マンが対応せざるを得ないのですがアポ取り、フォローなどは代行会社に委託したりアルバイトに任せても、それなりの結果が出るものです。

自分でできるけれど誰かに任せたらより生産性が上がるなら、そうするのがビジネスマンとして正しい判断です。「Do Notリスト」を作って、自分ではしない、まかせるべき業務を決めてしまってもよいでしょう。その分を営業活動時間にあてることができます。

ITツールを活用する

ITツールを活用することによって、顧客の情報管理やタスク管理などを効率的に行うことができます。

エリア営業であれば数多く件数を回るので、訪問後すぐプルダウンで見込み度を選択してそのまま日報となるツールもあります。地図上に顧客がマッピングされるSFAツールも営業マンにとってはとても便利です。

新規開拓の営業活動全般を一元管理しアプローチするべき見込み客がレコメンドされるITツールもムダな時間を削減します。「この会社って電話をしてよいのか?メールがいいのか?」「今のタイミングでかけていいのか」などと営業マンが迷わずにアプローチできるからです。

ITツールは自社営業マンの負担にならないツールがベストです。ITリテラシーが高くない営業マンが多いのであれば、できるだけ直感的に操作できるツールを選びましょう。ツールはあくまで道具。しかもこれからもどんどん良いツールが登場してくるはずです。まずは営業マンの時間をうばっている業務を効率化できるツールからスタートし、将来的に高度な活用を目指すスタンスでよいと思います。

まとめ

業務改善のフレームワーク「ECRS(イクルス)」では「なくす」「くっつける」「入れ替える」「簡素化する」思考がポイントとされています。一般社員である営業マンは会社のタスクをなくすことまではできないかも知れませんが、業務を簡素化したりITツールで代替したり、細切れだった時間をくっつけて半日営業アプローチに集中するなどの工夫はできるかと思います。

自分の営業活動時間をいかに増やせるかという視点で時間配分をきめて動くと、自分も楽になりますし、結局は会社・同僚に貢献することになります。こちらから「営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》」がダウンロードできます。時間を60%削減して商談数を2倍にした事例なども出ていますのでぜひご覧ください。

    営業ワークフローと営業ツール標準化《実践ガイド》

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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