売上を今よりも上げるための具体的な方法

売上 上げる

営業部門関係者を日々悩ませるのは「どのように売上を上げるか?」ではないでしょうか。売上に関係する悩みは、現場、マネージャー、さらには経営者にも共通する悩みでしょう。

高度成長期とは異なり成熟している今の日本市場では、数えきれないほどの商品・サービスが存在します。競合他社も既に多く存在しており、ブルーオーシャンの業界業種を探す方が難しい状態です。レッドオーシャンが多い状態で、
既存の企業はどのように売上を伸ばし続ければよいのでしょうか。

そこで今回は、そもそも売上とは何なのか、売上を今よりも上げるための具体的な方法についてご紹介します。

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売上とは?

売上とは、自社の商品・サービスを顧客に提供することにより得られる対価の総額を指します。「売上高」とも呼ばれることもあり、企業の業績や経営状態を把握することのできる重要な指標のひとつです。

売上を構成する要素を知ることで、「売上を上げるために何をしたら良いか」と、より効果的に戦略を練ることが可能です。

売上を構成する計算式

ここでは、売上の計算式と売上と一緒に知っておくべき売上総利益(粗利益)の算出方法について紹介します。

売上=商品単価×数量で計算できる

売上は、以下のような計算式で算出できます。

商品単価×数量

例えば、10万円の商品が10個売れた場合、「10万円(商品単価)×10個(数量)」となり、売上は100万円と計算できます。

あるいは、

客単価×客数

例えば、1,000円の商品を購入したお客様が100人いた場合、「1,000円(客単価)×100人(客数)」となり、 売上は10万円と計算できます。

売上を上げるためには、上記の計算式のいずれかの項目を高める必要があります。

売上だけでなく売上総利益(粗利益)も意識する

企業の業績を上げるための一つの方法として、売上を上げることが挙げられますが、売上総利益のことも忘れてはいけません。売上総利益とは、事業年度中の「儲け」を表します。粗利とも呼ばれており、業績に直接つながる要素でもあります。

売上とどこが違うのでしょうか?
売上総利益は、売上から商品やサービスの原価を引いたものであることです。

売上総利益は、以下のような計算式で算出できます。

売上総利益

例えば、自社の商品Aと、競合他社の商品Bの売上が、同額の100万円だったとします。商品Aの原価は40万円であるのに対し、商品Bの原価は10万円でした。

この場合各商品の売上総利益は、

商品Aの売上総利益:100(万円)ー 40(万円)= 60(万円)

商品Bの売上総利益:100(万円)ー 10(万円)= 90(万円)

ということになります。同じ売上であっても企業の儲けである売上総利益には、30万円の差が出てきます。商品やサービスの原価が高い場合、売上だけを上げても売上総利益の向上にはつながりにくいということもあります。

しかし、薄利多売を覚悟でとにかく売る、あるいは商品やサービスの原価をできる限り下げることで、売上総利益を上げることができるでしょう。

売上を上げる方法

ここまで売上とは何かについてお伝えしました。では、実際に企業はどのような方法をで売上を上げていくことができるのでしょうか。売上を上げるための方法をご紹介します。

新規顧客の獲得

売上は、前述したように「商品単価×数量」、あるいは「客単価×客数」で算出することができます。

この計算式で売上を伸ばすためには、いくつかの方法がありますが、商品単価や客単価をこれ以上高い価格に設定できない場合もあるかと思います。その場合、商品の販売数量や客数を増やすため新規の顧客を獲得することが有効です。

新規顧客を獲得するための方法は、大きく分けて以下の2つが挙げられます。

1. アウトバウンドな手法

アウトバウンドとは、見込み客や顧客に対して、企業が売り込みたい商品・サービスに関する認知を拡げることを指します。企業から見込み客や顧客へ行うテレマーケティング(電話による営業)、ダイレクトメールの送付、展示会の出展などがこれに該当します。

アウトバウンドな手法をとる場合、企業側で見込み度合いを調整することは難しいため、見込み度合いに関係なく、リストに対してアプローチする必要があります。その中でも、アプローチするリストを自社の理想的な購買顧客にあっている層のお客様に絞り込んでおく必要はあります。

見込み客や顧客からの反応がないことが多いため、「数打てば当たるだろう」と思ってしまいがちですが、いかにお客様に自社のことを認知させて接点を持つことができるかを考えることが大切です。

2. インバウンドな手法

インバウンドとは、コンテンツを発信することにより、検索、ソーシャルメディアなどの力を使い興味関心を持ってくれた見込み客を惹きつけ、リードを獲得することです。

アメリカのHubSpot社が提唱した手法であり、アウトバウンドが多かった日本国内および国外でも注目を浴びている手法だと言えます。

インバウンドの場合、ユーザーが困っていることや知りたいこと、関心があることについて、企業のオウンドメディア内のブログや動画、Web広告、SNSなどで情報発信を行います。

それがSNSで拡散されることでユーザーから能動的な反応を集めて、最終的には自社商品・サービスの販売につなげるという方法です。インバウンドな手法では、上記のようにユーザーからのアクセスによって、ある程度興味・関心度合いの高い状態の見込み客に対して営業をかけることができるという大きな特長があると言えます。

既存顧客の離脱防止

売上を上げるための、新規顧客開拓による市場拡大の重要性はお伝えしました。一方で、既存顧客にも継続的な購買や現在以上の購買をしていただくことも理想です。

キャンペーンの実施や、優良顧客になってもらうためのマーケティング施策を実施することによって、既存顧客の離脱は防ぐことができるでしょう。

特に低価格で、かつ継続的に使用してもらうような商品・サービス(たとえば月額数百円で利用できるグループウェアやNetflix、Huluといったサブスクリプションビジネス)の場合は、解約を阻止することが重要となります。なぜなら、ビジネスモデル自体が継続的に使っていただくことを前提としており、さらに新規顧客を獲得することによって売上を拡大していくものになっているからです。

上記のようなシステムは、「登録初月のみ月額料金無料」といったキャンペーンによって、新規顧客の獲得には成功しやすいものです。ところが、キャンペーン期間後も契約が継続するとは限りません。既存顧客の離脱を阻止するために、新たな機能やコンテンツを追加するなどの策を講じています。

また、既存顧客の離脱を阻止するには、購入・利用し続けるとユーザーにポイントがつく、割引が適用されるといった特典をつけることも方法の一つです。

特典も、新奇性の高いコンテンツ・商品も、すべてはお客様のためのものです。お客様が商品・サービスに求めているものを見失わずに、適切な商品・サービスを提供することで、既存顧客の離脱を防止でき、継続的に売上を維持させることにつながるでしょう。

既存顧客へのアップセルとクロスセル

既存顧客の離脱を阻止するだけでは、売上は維持できても、拡大することはそれほど期待できません。売上を上げるためには、既存顧客の客単価を上げるか、販売個数を上げるかというどちらかの方法が考えられます。

アップセルでより高い商品・サービスを提供する

アップセルとは、既存顧客が新たに購入しようとしている商品・サービスよりも、より高額な商品・サービスの購入を促すことです。これは、客単価をあげるための営業手法と言えます。

たとえば、サブスクリプションビジネスであれば、一部コンテンツが利用可能になる月額500円のプランを利用しているお客様に対して、すべてのコンテンツが利用可能といった、より付加価値のある月額1,000円のプランの契約を促すということです。

クロスセルでより多くの商品・サービス購入・契約を促す

クロスセルは、現在商品・サービスの購入を検討している、あるいは既に購入しているお客様に対して、さらに別の商品・サービスも販売することです。これは、販売個数を上げるための営業手法です。

例えば、PCを購入したお客様に対して、PCのキャリーケースや周辺機器のセット購入を促すという方法です。1人の既存顧客に対し、PCの売上に加えて、キャリーケースや周辺機器の分の売上も上乗せできるため、販売個数を上げながら、同時に客単価も上げることにつながります。

アップセル・クロスセルは「カスタマーサクセスのため」が鉄則

アップセルとクロスセルは、どちらも売上を上げるための有効な手段です。どちらの手法もより深いお客様のニーズに答えたり、お客様の役に立つ範囲を拡大するといったことができます。

近年、「カスタマーサクセス」という概念が話題になっています。カスタマーサクセスとは、従来のカスタマーサポートと比べて、お客様のビジネスの成功(成果と経験)を第一の目的としています。自社のお客様がどのような状態にあるのか、自社の製品・サービスをどのように利用しているのかをデータで把握し、お客様に対して積極的に働きかけて、より良い状態に導くことです。

これまではお客様の課題解決をするために、商品・サービスを販売することが企業の目的でした。しかし、カスタマーサクセスではお客様に売って終わりではなく、実際に自社商品サービスでお客様の課題は解決されたのか、それにより良い効果が出ているのかまで見ていくことが必要になりました。

直接的に売上の向上を意識するよりも、どうしたらもっと顧客満足度を上げられるのかという意識を持つことで、アップセルやクロスセルの意味が明確になり、売上に結びつくでしょう。

既存顧客からの紹介案件の増加

既存顧客の満足度が高い場合、自社商品・サービスを長期的に使用してくれるでしょう。この既存顧客の顧客ロイヤルティ(いわば自社商品・サービスの「忠誠」度合い)を高めることで、顧客が自社商品・サービスをさらに継続して購入してくれるばかりではなく、他社へ宣伝・紹介してくれる場合もあります。

では、どうしたら既存顧客の顧客ロイヤルティを高めることができるのでしょうか。具体的な方法としては、クーポン、景品、値引きなどの金銭的還元(ハードベネフィット)や、特別イベントへの招待といった特権の提供(ソフトベネフィット)が挙げられます。

顧客ロイヤルティの高まった既存顧客は、信用が醸成されるだけではなく、より多くの人・企業に自社商品・サービスをお薦めしてくれるはずです。このような経緯で紹介案件をもらえるようになると、新規顧客を開拓するコストを下げることもできます。

製品価格の増加

売上を上げるための方法として、あえて高価格に設定し、利益の「上澄み」を吸収することも効果的です。このような高価格設定は「スキミング・プライシング(上澄み吸収価格設定)」とも呼ばれています。

つまり、コストに一定の上乗せをした価格設定をして、上澄みをすくい取るがごとく利益を上げていくという戦略です。スキミング・プライシングはどの時点でも利益が出せるので、売り手としては是非とりたい戦略でもあります。

しかし、この方法には問題点があります。競合商品・サービスが既に出回っている場合、価格面で比較したお客様には選ばれず、結果的に売上につながらない可能性が高いという問題です。

スキミング・プライシングを実施するためには、競合他社との価格競争に勝てるだけの要素があるか、あるいは当該商品・サービスが価格競争に持ち込まれないだけの高機能・高性能か、付加価値がある必要があるでしょう。

継続的に売上を上げていくためには

企業の業績を向上させるためには、売上を一時的に高めるだけでは十分とは言えません。長期的に売上を維持・向上させなければ、企業の成長率は伸び悩む可能性があります。

1人のお客様が生涯にわたってどれくらい購入してくれるのかを具体的な数値で算出し、長期的に利用・購入してくれそうなお客様を自社のファンにすることが重要です。ただし、既存顧客を維持するためにかかる費用は、できる限り抑える必要もあります。

1人のお客様が生涯でどれくらい購入してくれるのかという数値を「顧客生涯価値(ライフタイムバリュー:LTV)」と呼びます。LTVには、「LTV=年間取引額×収益率×取引継続年数」という計算式があります。

この計算式に当てはめてみて、さらにこれまでに顧客が購入した総額からその顧客を維持するために使った費用を差し引いた利益の額を出せばよいのです。ただ、顧客一人ひとりの顧客生涯価値を計算することは困難なため、顧客全体のデータで計算するのが現実的でしょう。

まとめ

元ハーバード・ビジネススクールの名誉教授であるセオドア・レピット氏の名言に、「企業は顧客満足と顧客の創造のための有機体であるべきだ」というものがあります。自社商品・サービスをより多くの人に購入・利用してほしいという気持ちが前提としてあって、売上はその前提についてくるという考え方です。

顧客満足は、購入した商品やサービスが、お客様の期待を満たしていることであり、その期待をどのくらい満たしているかで顧客満足度の高さが分かります。売上を上げるためには、効果的な営業活動だけではなく、安定した顧客満足度も重要であると言えます。

顧客満足度が高い商品・サービスは、SNSなどを通じて拡散されたり、口コミで広がっていくことで、新規顧客の獲得にもつながっていきます。

セオドア・レピット氏の言うように、「有機体(組織)」として時代の流れをいち早く察知し、流れに沿って臨機応変な営業手法を採択していく柔軟性が求められる時代だと考えられます。
営業スキルチェックシート」では、時代に沿った営業スキルを身に着けられているかどうかを確認することができますので、ぜひご利用ください。

    営業スキルチェックシート

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