内部研修と外部研修、営業力強化にはどっちが有効?

営業力強化 研修

近年は、営業マンに求められる能力が一昔前よりはるかに高くなっています。基本的なコミュニケーション能力、商品知識だけでなく、お客様の課題を見抜く洞察力、マーケティングスキル、プレゼンテーション能力など学ぶべきことは多岐にわたります。

企業はこれまで以上に、営業研修などを通じて営業マンが新しい知識・スキルを身につけられるように支援する必要があると言えるでしょう。

しかし、目標数字をかかえる営業マンにとって、時間のとられる営業研修はなかなか負担でもあります。効率的に営業力強化につながる研修を行うためには、どのような手法が有効でしょうか? 

営業研修には内部研修(OJT)と外部研修(OFF-JT)の2種類がありますが、本記事ではそれぞれのメリット、デメリットを解説していきます。

営業研修の大切さとは?

そもそも、営業研修はなぜ大切なのでしょうか?まず、前述のとおり、昨今の営業マンはコンサルタント並みの知識労働であり、学ぶべきことが増えているという点があります。ところが、営業マンの自主性に学びをまかせてしまうと、残念ながら多くの営業マンが新しい知識を学ぼうとはしない傾向があるようです。もっとも営業マンだけではなく、日本のビジネスマン全体に言えることです。

リクルートワークス研究所の調査では、時間ができても学びに時間を割かないという傾向すら出ています。おそらく、海外のビジネスマンより仕事の負荷が大きいことも影響しているでしょう。企業がある程度は営業研修などをしていかなければ、一部の学ぶ営業マンと学ばない営業マンの格差が広がるばかりであることは想像に難くありません。

現場で学ぶだけでは追いつかない

もちろん、多くの営業マンが現場から経験や知識を学んでいるはずです。お客様との対話を通じてコミュニケーション能力を向上させ、業界の最新情報を吸収し、提案力をブラッシュアップさせているでしょう。

しかし、そのためか本を読んだり座学の講義を聞いたりする勉強を「現場で役に立たない」「大した内容ではない」と軽視する営業マンも少なくないと言えます。実践で学ぶことは非常に重要です。ただ、学ぶ分野が限定的になったり視野が狭くなったりしがちです。

例えば、営業マンにとってお客様の業界の知識は重要なので、お客様の役に立つアドバイスや提案を行うために自分なりに情報収集している営業マンも多いかと思います。しかし、近年はAI、IoTなどの登場により業界の垣根が崩れつつあり、近い未来すらなかなか予測しづらい時代です。

一例をあげると、現在の自動車業界は自動運転技術の登場によって、今や国内海外の自動車メーカー、IT企業、家電メーカーなどの異業種間競争になっており、激変が起こる可能性があります。そうなると、当然各企業の事業方針や人材戦略などにも大きな影響があるはずです。

変化がめまぐるしい時代になっているため、業界知識一つとっても営業マンはこれまでより大きな視野を持ち、素早く情報を収集し、お客様に寄り添っていく必要があります。営業マンにとって重要スキルである課題発見力洞察力クリティカルシンキングのベースにあるものは幅広い情報や知識なのです。常に学んでいなければなりません。

とはいえ個人の力だけでは限界があります。企業側が積極的に研修を行ったり、eラーニングシステムを導入したりするなど、営業マンを支援していくことが望ましいと言えます。

営業力を向上させる営業研修の要素

研修には大きくわけて、内部研修(OJT)と外部研修(OFF-JT)の2つのタイプがあります。

内部研修(OJT)とは

内部研修(On the Job Training)とは、職場で行われる教育や研修を指します。先輩社員への営業同行や日々の指導もOJTに含まれます。人事部門や営業部門が企画して、先輩営業マンや特定の部署の社員が講師となって社内で研修を行う場合もあれば、チーム内で勉強会として研修を実施する場合もあります。

知識、ノウハウ、事例を座学で学ぶ集合形式の研修や、実戦形式のロールプレイング研修、最近ではWeb会議システムを活用したオンライン研修などがあります。

外部研修(OFF-JT)

外部研修(OFF-JT)とは社外で行う研修を指します。一般に研修サービスを提供している企業が用意したカリキュラムを受講します。非常に幅広いカリキュラムがありますが、いずれも世間一般で通用する汎用的な知識やスキルを体得できます。

社外の会場で、半日~終日かけて行う研修が一般的です。講師は外部の専門家が務めることが多いです。研修の目的によって、階層別(新人層、リーダー層、マネジメント層)、営業組織別(新規開拓、既存顧客フォロー、インサイドセールス)、具体的なスキル別に研修を実施します。

営業力に直結するスキル研修としては、以下のカリキュラムがあります。

マーケティングスキル研修

3C分析、SWOT分析等のマーケティング戦略を策定する際に使うフレームワークを学び、実際の営業活動に応用できるようにする研修

営業戦略策定研修

どのように自分あるいは自分の組織の営業戦略を策定していくのかを学ぶ研修(目標達成のために「どの業界」に「どのような切り口」で、新規開拓営業するか、既存顧客に「いつ」「何を」提案するかなどを明確化していく)

営業研修、営業トーク研修

新規開拓営業先のリストアップや優先順位のつけ方、傾聴やラポール形成、ヒアリングの仕方などの営業トークの研修

提案書作成の研修

お客様の課題を解決するための説得力のある提案資料の作成やお客様に見やすい資料の作成の仕方などを学ぶ研修

営業力に直結するスキル研修

上記以外にも、ロジカルシンキング、コーチング、チームビルディングなど多岐にわたるカリキュラムがあります。自社の営業マンのスキルに照らしあわせて選択するとよいでしょう。

内部研修のメリット、デメリット

ここでは、自社で行う内部研修(OJT)のメリット、デメリットを説明します。

内部研修のメリット

  • 自社の商品や組織特性に見合った内容でカリキュラム設計ができる
    社内で行う研修は、一般の研修会社が提供しているような紋切型の研修内容ではなく、明日から自社の営業現場で活用できる内容にカスタマイズができます。現場や自社の商品・サービスの文脈に合わせやすいことがメリットです。
     
  • 社内で講師手配と資料作成を行うため、研修直前まで変更が可能
    営業マンは日々の営業活動(新規開拓、顧客対応など)で多忙を極めているため、運営する側は研修の参加者や講師のスケジュールが事前に確定させにくいものです。内部研修の場合、突然の時間変更や参加者の増員などの調整がしやすく運営が容易なところが大きなメリットです。
  • 受講者のレベルに合わせたきめ細やかな研修が可能
    ロープレ形式の実践的なスキルを学ぶ研修の場合、研修参加者のレベルや習熟度ごとに内容をアレンジしていく必要があります。たとえば、その年の新卒営業マンが、XX基礎研修を受けていないので、この研修ではこういうトークを冒頭にした方がいいなどの細やかな調整がしやすいのもメリットです。
  •  外注した場合に発生する講師料、会場費用、飲食費用などのコストが削減できる
    一般に、集合型の座学研修を外部企業に委託すると最低20~30万円程度はかかります。そこに会場手配費用、当日の備品や飲食経費などが追加で発生します。社内研修であれば、この費用を削減することができます。
     
  • 社内の会議室で実施すれば、受講者の移動時間の削減ができる
    多忙な営業マンを社外の研修会場に集まってもらうための調整が難しく、研修実施の課題になるケースは少なくありません。全国に支社が分散している企業などは特にそうです。研修を社内の会議室で実施できると移動時間が効率化できます。Web会議システムを活用すると社内で移動する必要すらなく、かなりの業務効率化が可能です。
     
  • 教える側の社員も成長する
    内部研修のメリットは受ける営業マンが成長するだけでなく、講師役を務める社員も成長することです。ほかの社員に教えるためには知識を体系立てて説明するために、講師も勉強し直す必要があるからです。営業マンが順番で講師を務めるなど学びあう環境ができると、相乗効果も生まれていくでしょう。

内部研修のデメリット

  • 新しい知見が得難い
    自社の社員が講師をつとめるため、外部からの新しい情報が入ってきづらく内容がマンネリ化する傾向があります。
     
  • 社内のリソースがかかる
    講師の事前準備に膨大な時間がかかるケースがあり、見えない人件費コストが発生します。特に企画をする担当者が人事部などの間接部門の場合、営業部門から講師リソースを借りることになるので、常に費用対効果はシミュレーションしておく必要があります。
     
  • 研修内容が講師の力量に依存する(属人的になりがち)
    毎年同じベテラン社員が担当しているカリキュラムは属人的な内容になりがちです。内容が受講する営業マンの本質的なニーズを満たしているのか確認することが必要です。

外部研修のメリット、デメリット

次に、外部研修のメリット、デメリットを説明します。

外部研修のメリット

  • 短期集中で多くの営業マンを教育できる
    外部の専門家による最新の知識やメソッドを、一斉に大人数に教育できるため、営業マンごとの知識のばらつきが大きくならないことがメリットです。
     
  • 新しい知見やメソッドが得られる
    社内講師が行う内部研修よりも、研修参加者にとって新しい気づきを得られやすいのが外部研修の魅力です。体系的にまとめられた資料やワークシートが手に入るため、いままで営業現場でボトルネックになっていた課題が解消できるきっかけになることも多くあります。
     
  • モチベーション向上につながる
    さまざまな企業で研修を行っている講師やトレーナーは、話の展開や受講者の意欲を引き出すことが実に巧みです。受講生のモチベーション向上につながりやすいのもメリットの一つです。

外部研修のデメリット

  • コストが高い
    内部研修に比べて外部研修は経費負担が大きくなります。また、会場手配を業者に委託できない場合は、社内で会場手配と調整業務を行う必要があるなどの事務的な負担も発生します。
     
  • 費用対効果が不明瞭
    研修内容がパッケージ化されたカリキュラムの場合、投資に対するリターンが見えにくいあるいは測れないというデメリットがあります。外部研修を継続的に行う場合はPDCAが回せるKPIを設定しておくとよいでしょう。
    例)参加率、参加者のパフォーマンスの変化、研修満足度など
     
  • 現場に応用しにくい
    外部の研修には、高度な専門知識を体系的に学べる反面、明日から現場でどのように応用したらよいのかわかりにくいカリキュラムも多いのは事実です。自社で実践できそうにないカリキュラムは研修委託先と相談の上、変更や廃止をすることも必要です。費用対効果を検討し内部研修に切り換えたほうがよい場合もあるでしょう。

内部研修か外部研修か選択するポイントは?

研修には以下のように、内部研修(社内での集合会議、オンライン研修)で実施可能なカリキュラムと、外部研修で行ったほうがよいカリキュラムがあります。

どちらを選ぶべきかは、各企業や組織によって異なります。では、どのような基準で判断したらよいのでしょうか? 以下では、各研修で身につけやすい情報を簡単にまとめています。

内部研修向きのカリキュラム

  • 業界・企業内に特化した知識・スキルの情報
    例)業界独特のソリューション提案の手法、顧客との関係構築スキル、自社商品・サービス理解など
  • 社内講師でないと受講者に伝わらない情報
    例)成功事例共有、ロールプレイングなど 

外部研修向きのカリキュラム

  • 汎用的な知識・スキルの情報
    例)マーケティング基礎理解、マネジメント、ファイナンス基礎など
  • 外部講師でないと受講者に伝わらない情報
    例)社内ではクレーム対応ノウハウを体系的に話せる人がいないケースなど
  • 最近の動向やトレンド情報
    例)業界の動向、トレンド、近未来の予測など

まとめ

内部研修も外部研修も、それぞれにメリット・デメリットがあります。研修の目的や対象の層によって、その都度選択していくことになりますが、場合によっては、内部研修と外部研修を両方組み合わせたハイブリッド型研修を実施することもお薦めします。

IT化とグローバル化によって、今後のビジネス社会はさらに変化していきます。学ぶべき知識、身につけるべきスキル、扱えるようになるべきツールは非常に多くなっていきます。手軽に行える内部研修や外部の知見を得られる外部研修を上手に活用して、営業マンのスキルアップを支援していきましょう。

研修をきっかけに営業マンがより学びを深めていけるように、図書費用などを補助することも有効です。企業が営業マンを支援する姿勢を見せることが、営業マンの成長意欲やモチベーション向上につながっていくでしょう。

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佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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