元ライブドア幹部が語る優れた営業マンの「採用される提案」とは?

優れた営業マン 採用される提案

顧客への提案力は、営業マンにとって最も求められるスキルの一つでしょう。
逆を言えば、提案力の優れた営業マンは、それだけで価値のある人材と言えます。
では、成約につながる有効な提案とはどのようなものなのでしょうか。
今回は、ライブドア社の拡大期にメディア・マーケティング担当者としてさまざまな企業から事業提案を受けてきた株式会社CCO代表取締役、ビジネスコーチの石山喜章さんに、提案される側から見て、魅力的な提案の条件についてお話を伺いました。

受けた提案は500件以上!

「当時のライブドアは話題性もあり、さまざまな業種からさまざまな事業の提案を受ける日々でした。現在スカイツリーとして建っている第二東京タワーへの出資や、中央アフリカのある国で国策事業の通信インフラ整備、さらには油田開発に至るまで、100億円規模の大きな事業の話も頻繁に持ちかけられました。そこで感じたのは、相手の立場に立った提案というのは本当に少ないということです。」
急成長を遂げたライブドアには、その資金をあてにした多くの事業提案があったそうです。
石山さんが受けた提案は、実に500件以上。
しかしそのほとんどは「ああ、売りたいんだなあ」という提案者側の都合を強く感じる、こちらのニーズは二の次というものだったそうです。
ライブドア入社前は、ウェブサイト構築大手で提案「する側」の立場だった石山さん。
提案される側に立った事で、かつての自分の提案の良い面、悪い面がよく分かったと言います。
それでは、提案される側にとって魅力的な提案、採用したくなる提案とはどのようなものなのでしょうか。

①簡単なようで難しい「相手の話を聴く」こと

営業マンなら耳にタコができる程聞かされるであろう「相手の話を聴く」というフレーズ。
相手の話をよく聴きニーズを共有することは、魅力的な提案に不可欠です。
提案者から見れば魅力的な提案だと感じていても、相手がそれを「受けたい」と思わなければ成約には至りません。
相手のニーズに合致しない商品を9割引にしたところで、魅力的な提案にはなり得ない、ということですね。
「例えば冷蔵庫を買おうとしているとき。容量を増やしたい、サイズを小さくしたい、電気料金を抑えたい、冷凍室が大きいものにしたいなど、求めるものはさまざまです。このニーズを十分に聞き出せないまま提案に入ってしまうと、いかに金額的な魅力をアピールしても『自分にぴったりな提案だ』と感じてもらえません。営業マンの提案も同じです。」
電気店で、できるだけ安く冷蔵庫の容量を増やしたい!というお客様。
販売員はちょうど在庫セール中の大容量冷蔵庫を更に値引いて薦めます。
一見すると魅力的な提案なのに、お客様は何故か浮かない顔。
後日、別の店で成約してしまったこのお客様、実は家の玄関が狭くてサイズに制限があったのです。

ニーズ共有が不十分なことから起きる提案のミスマッチ

成約に至らないばかりか、「この人はこちらの話を聴いてくれない」という印象まで与えかねません。
また、首尾よく再提案で成約できたとしても、無駄な時間と労力をかけることになってしまいます。
冷蔵庫なら良いですが、企業間のプロジェクトとなると、再提案に要する工数は見過ごせません。
顧客のニーズははっきりしている場合もありますが、顧客自身でも把握していない潜在的ニーズという状態も多いでしょう。
「自分(たち)の求めるものはこれだ!」と感じてもらうためには潜在的ニーズに気付かせる、顕在化する必要があります。
潜在的ニーズを顕在化するためには、営業マンが「思い込み」を持たないことが第一です。
思い込みを持ったまま話を聴いても、相手の話より自分の印象が優先されてしまい潜在的ニーズを見逃してしまいます。

②担当者だけを見てはいけない

もう一つよくあるパターンとして「担当者とは話がまとまっていたはずなのに、契約の段階になって相手企業から見直しを求められる」というケース。
「担当者の求めるものと、組織が求めるものにギャップがあるケースです。担当者個人と所属する部署、更に会社全体と3層くらいの構造で要求が違ってくる場合が多いです。提案をする際には『その担当者の要求は会社の要求と合致しているか』を見極める必要があります。」
例えば個人情報を取り扱う企業と取引をする際、Pマークを取得していない会社がいかに担当者と話をまとめても、企業の方針として取引不可となってしまう場合があります。
先ほどの冷蔵庫の例で言えば、来店した男性と契約寸前まで話がまとまったのに、奥様と電話した瞬間破談になってしまい、実は決済権者は奥様だったと後で分かったというケースです。
「実際に提案を受け入れる人は誰で、その人の方針はどうなのか知っておく必要があります。新築やリフォームなど住宅関連の商談は、壁紙やタイルの質感まで家族全員と細かく確認をとりながら進めていきます。後から変更する場合の労力やコストを考えれば、多少手間はかかっても細かく詰めていく必要があるのです。プロジェクトの提案をする際にも、担当者だけでなく上司の意向まで確認しながら進めていけば、後々余計な労力をかける可能性が低くなります。」
石山さんによると、人は目の前にいる人の印象を大事にする傾向があるため、意識しないと「その場にいない人」のことを軽視してしまうそうです。
相手企業の方針や上司の優先順位を把握できるかどうかで、提案が採用される可能性は大きく変わってきます。
「目の前の担当者を喜ばせるだけ」で終わらないように気をつけたいですね。

今回は、ビジネスコーチの石山喜章さんに「採用される提案」についてお話を伺いました。
今回の二つのポイントは、営業マンの基礎であり奥義であると言えるのではないでしょうか。
単純なことですが、それを徹底できるかどうかが「採用される提案」になるかどうかの分かれ目です。
今日から意識することで、来週、来月、一年後の成績が変わってくるかも知れません。

————————————————– PROFILE ————————————————–

石山 喜章(マインドームコーチ)
鳥取県生まれ。埼玉大学 理学部 物理学科及びデジタルハリウッド 本科 プロデュース専攻を同時に卒業後、IT系の戦略コンサルティング会社にて営業ノルマの3倍を達成しMVPを授与。株式会社エッジ(後のライブドア)にスカウトされ、数々のメディア戦略・マーケティング戦略を統括し、同社の成長を支える。ライブドア事件を機に人材育成業界へシフトし、株式会社CCOを創業。自らの心を経営できる人材を育成する組織開発コンサルティングを提供している。

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川崎 裕介(かわさき ゆうすけ)

慶應義塾大学卒業後、外資系歯科医療機器メーカーを経てコンベックスに入社。プロダクトセールスチームで新規顧客開拓、既存顧客のコンサルティングに従事する傍ら、セミナー企画・運営を担当。現在は「セールスハックス」の運営、「Digima」のプロモーション全般を担当している。

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