経営者が理解するべき営業利益を上げるための4つの指標

営業利益

経営者が自社の成長度合いや財務状況を把握するためには、どのような指標に注目するべきでしょうか?

売上高、粗利(売上総利益)、営業利益が挙げられますが、その中で特に注目するべき指標は、営業利益です。いくら企業が売上を上げていても、利益が出ていなければ、企業の存続自体も難しくなってしまいます。

では、営業利益を上げるためにはどのようにすればよいのでしょうか?

今回は、営業利益について説明した上で、営業利益を上げるための方法について解説します。

経営者が考えた戦略を現場が確実に実行する方法を解説したガイドブックはこちら

営業利益とは

営業利益とは、その会社が主として行う事業から生み出される利益のことです。売上から売上原価と販売費および一般管理費(以下、販管費)を差し引くことで算出される利益のことです。自社の営業力を表す指標とも言うことができます。

一見、売上をいうと、それ自体が会社の利益のように感じてしまうかもしれませんが、その売上を獲得するためには、売上原価や販管費といった費用が投下されています。売上の伸びとしての売上の推移を分析することも大切ですが、それ以上に投下費用を差し引いた本当の利益である営業利益も分析することも大切なのです。

例えば、100万円の売上を上げていたとしても、その商品・サービスを製造するために80万円、営業のための販促費や人件費として50万円を投下していたら、30万円の赤字になってしまいます。これでは、企業活動を継続していくことはできません。

営業利益

誤解されやすい「営業利益」と「経常利益」の違い

会計処理上、会社の利益は大きく分けて「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「最終利益」4つに分類されます。ここでは、その中でも誤解しやすい「営業利益」と「経常利益」の2つの利益の違いについて解説します。

営業利益については、先ほど解説いたしました。では、「経常利益」とはどのようなものなのでしょうか?

経常利益とは、営業利益から営業外損益を考慮して算出される利益のことです。ここで出てくる営業外損益とは、通常の営業活動とは関係の薄い「借入利息」や「配当収入」などのことを指します。

つまり、経常利益の指標を見てしまうと、営業外損益が含まれていない営業活動における利益の獲得状況を把握することが難しくなってしまいます。

例えば、もしかしたら営業利益は−100万円で、一時的な配当収入が200万円があったことにより、経常利益が100万円計上されているかもしれません。この場合、配当収入がなくなってしまうと、すぐに会社の利益はマイナスになってしまいます。

このように、営業利益と経常利益の違いとしては、純粋な企業の利益に、営業活動で生み出されていない費用や利益が含まれているか否かが違いになります。自社の営業活動により生み出される利益を見たい場合は、営業利益を見ると良いでしょう。

売上高内訳

利益と言えども、売上総利益・営業利益・経常利益・最終利益は、それぞれ異なる意味を持ちます。企業をどの観点から分析したいかによって見るべき指標は異なります。

(ここで述べなかった「売上総利益」と「最終利益」につきましては以下にて説明します。)

補足:売上総利益(粗利)とは

売上総利益(粗利)とは、売上から売上原価を差し引いて算出される利益です。営業活動でかかった費用を差し引いていないため、商品・サービスの商品力や魅力によって稼いだ利益といえます。

補足:最終利益とは

 最終利益(税引前当期利益、純利益)とは、経常利益に一時的な特別損益を考慮して算出される利益です。特別損益とは、例えば土地や株式などの売買によって発生する損益のことです。多くの場合、営業活動による利益とは関係が薄く、一時的な損益であることが多くなります。

頻繁に株式を売買している企業や多くの土地を持っている企業の場合は、考慮するべき指標になります。

営業利益の構造分析

それでは営業利益を上げるためには、どのようにすればよいのでしょうか。そのためには、まず営業利益を細分化することから始めましょう。以下の式に合わせて、御社の数値を当てはめて見てください。営業利益は、次のように算出できます。

営業利益の算出

(売上原価、販管費は後ほど詳細を解説します) 

営業利益構造をこのように分解して考えることができれば、営業利益を上げるために必要なことが見えてくるはずです。営業利益を上げるために必要なことは、

  • 売上を上げること(販売数量と単価のいづれか、あるいは両方を上げる)
  • 売上原価を下げること
  • 販管費を下げること

の3点であることがわかります。

このように、営業利益をあげるために注目するべき指標は、販売数量・単価・売上原価・販管費の4つの要素になります。それでは、具体的に4つの要素を改善するために、どのようにすればよいのでしょうか。

4つの指標から考える営業利益を上げる方法

 以下では、営業利益を上げていくために、営業利益を構成する4つの要素にについて解説していきます。

① 販売数量を増やす

営業利益を上げるためには、売上自体を上げることも大切です。そのためには、販売数量と単価のいづれか、あるいは両方を上げる必要がありますが、ここでは販売数量について説明します。

売上を上げるための方法の1つとして、多くの量を売ることが挙げられます。多くの企業では、商品・サービスの価格を引き上げることはなかなか難しいのではないでしょうか?また、コモディティ化も進み、商品・サービスの差別化を打ち出しにくくもなってきています。

そのような中で、販売数量を増やしていくためには、営業力の向上が方法の1つとして考えられます。商品力も大事ですが、営業力も大事です。しっかりターゲットを絞り、お客様のニーズを把握した上で作られた商品・サービスであれば売れるはずです。

高額商材になればなるほど、営業マンによる営業アプローチは大切です。会話から感情やニーズを読み取り、臨機応変な対応ができたり、リアルタイムでお客様の興味・関心のある内容を伝えることができます。

また、Webマーケティングを行い、効率よく見込み度合いの高いお客様を獲得したり、お客様のデジタル上の行動(Webサイトのどのページを見たのか、メールの開封、リンクのクリックなど)を把握することができる営業支援ツールを活用することで、さらに効果的で効率的な営業活動を実現することもできます。

② 単価を上げる

売上を上げるためのもう1つの方法が、単価を上げることです。

商品・サービスの値上げをすることは、難しい一面もあります。なぜなら、単純に値上げをすると顧客が離れていってしまう場合があるからです。そのため、値上げをする場合は、お客様の納得のいくような理由やさらに魅力的な商品・サービスになるような理由が必要となります。

例えば、株式会社オリエンタルランドのディズニーリゾートのパスポートの値上げやヤマトホールディングス株式会社の値上げなど、値上げをしたもののお客様に受け入れられ、更に売上を上げている企業もあります。

値上げを行う場合は、現在提供している商品・サービスがその金額に見合う価値をお客様が感じているのか。また、値上げにより更なる付加価値を提供できるようになるのかも考える必要があります。

③ 売上原価を下げる

売上原価とは、商品・サービスを作るにあたっての費用になります。例えば、製造業などでは原材料の仕入れ値であったり、システムなどでは開発にかかる費用と考えることができるでしょう。

自社の商品・サービスを提供するためには必要となる費用ですが、当たり前なだけにコスト削減策がおざなりになっていないでしょうか。

2001年にカルロス・ゴーン氏が日産のCEOに就任した際、まず着手したのが従来型の系列を無視した大胆なコストカットでした。多くの企業においても長期的な取引の中で、関係性が構築されている取引先もあると思います。場合によっては、コスト削減のために価格を交渉する必要が生じる場合もあるかもしれません。

また、取引先を一箇所に集中させて、定期的かつ大量の仕入れを約束することで、ボリュームディスカウントを適応してもらうなどして、自社の売上原価を下げる方法もあります。この場合、取引先との信頼関係がさらに強固になることが多いでしょう。

④ 販管費を下げる

販管費を構成する主な費用は、人件費や家賃、プロモーション費用になります。人件費や家賃などをイメージするとわかりやすいかと思いますが、売上に応じて金額が変化しない固定費としての性質があります。

販管費は、固定費としての性質を持つため、販管費を大きく下げるということは難しい場合があります。抑えやすいところとしては、営業活動におけるプロモーション費用が考えられます。

自社のプロモーション施策の費用対効果を分析してみると良いでしょう。リードの獲得率が低い広告の費用を下げたり、契約率の低い展示会への出展は抑えるなど、効果が出ていない施策を抑えることができます。

まとめ

売上は、非常にわかりやすい指標なため、どうしても売上の推移に注目してしまうかもしれません。しかし、売上を作り上げる中には、さまざまな費用がかかっています。費用も考慮しなくては、「気がついたら赤字になっている……」なんてこともありえます。

営業利益は、企業の営業活動から生み出された純粋な利益です。企業の営業力とも言い表せるかもしれません。企業活動を継続していくためには、この営業利益が一番重要です。

営業利益を上げる方法、それは販売数量や単価の増加、売上原価や販管費の削減が挙げられます。まずは、自社の財務状況を見直してみて、少しでも自社の営業利益を上げられる施策はないかを分析してみてはいかがでしょうか?

デジタル時代の「売上げ拡大戦略と実行」ガイドブック」では、中小企業の経営層が策定すべき戦略の策定方法から、実際に現場に落とし込むまでのSTEPを5つに分けてお伝えします。巻末のワークシートを埋めることで、御社の戦略と実行を明確にできますので、是非ご活用ください。

    売上げ拡大戦略と実行ガイドブック

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

関連記事

  • 目標管理

    売上目標を達成するためには?売上目標を達成し続ける戦略のポイント

  • 目標管理

    売上目標の正しい立て方とは?

  • 目標管理

    売上予測とは?営業マネージャーが理解しておくべき売上予測の立て方