営業戦略策定に役立つ4つのフレームワーク

営業戦略 フレームワーク

「来週の会議までに、自社の中長期的な営業戦略をまとめてほしい」と上司から依頼されたあなた。普段の営業活動をこなしながら、ゼロから営業戦略を考えることはとても労力がかかりますし、時間も足りません。

そのような時に活用するべきものが「フレームワーク」です。課題解決のために、どのような情報を集めればよいのか、集めた情報をわかりやすくまとめるためにはどうしたらいいのか。そんなお悩みを解消してくれます。

今回は、数あるフレームワークの中から営業戦略策定に役立つ4つのフレームワークについて解説していきます。

フレームワークとは 

フレームワークとは、日本語でいうと「枠組み」という意味です。ビジネスにおいては、問題解決や戦略策定の際に多く使われる「決まった型」のことをいいます。過去の成功パターンを体系化し、誰もが似たような問題を解く際の考え方のヒントとして使えるようにしたものがフレームワークです。

ビジネスの世界では、

  • 市場の大きな流れを掴まなくてはいけない
  • 競合との差別化のポイントを導き出さなくてはいけない
  • どのような方法、経路で商品・サービスを販売したらよいのか

など、さまざまな問題に対処しなくてはいけません。

フレームワークを活用して、正しい問題解決ができるようにしましょう。

営業戦略策定に役立つフレームワーク具体例

以下では、営業戦略策定に役立つ4つのフレームワークの概要を解説していきながら、名古屋を拠点とする社員20名程度の不動動産会社を例としてフレームワークの使い方をみていきます。

3C分析 

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点を分析を行う手法です。

3つの視点に基づき事実情報を集めていきます。3C分析の目的は、KSF(Key Succsess Factor:重要成功要因)を導き出すことにあります。KFSとは、事業を成功させるための重要な要因のことです。KSFを明らかにすることにより、どのようにしたら事業を成功させることができるかという「戦略の方向性」が見えてきます。

単に情報を列挙するのではなく、市場のニーズ(=Customer)を満たし、競合(=Competitor)を上回る魅力で、自社の強み(=Company)を最大限に活かすには、どのようにするべきかを考え、KSFを導き出しましょう。

以下では、3C分析の具体例をお伝えします。

Customer:市場・顧客

まず最初に行うことは、市場の定義です。市場の定義とは、自社がどの顧客層をターゲットにしているのか(していくのか)を決定することです。定義するあたっては、BtoBであれば「役職」や「従業員数」「企業規模」など、BtoCであれば「性別」や「年齢」「エリア」などを基準として、ターゲット層を明確化していくといいでしょう。

また、細分化するだけにとどまらず、その顧客層のニーズを考えることにより、顧客から何を求められているのか、そのニーズに自社がどのようにお役に立てるのかを明確にするヒントになります。

市場の定義

名古屋を拠点とする不動動産会社の例

Competitor:競合他社

次に競合他社の分析を行います。自社の競合となる企業はどこなのか、競合はどんなリソースをどれくらい使って、営業活動を行っているのかを見ていきます。

競合といっても2種類に分けることができます。競合の製品・サービスが、自社の商品・サービスとほぼ同じとなる「直接的な競合」と商品・サービスは違っていても提供する価値が重なる「間接的な競合」が存在します。

競合について分析する際には、「直接的な競合」と「間接的な競合」の両方を意識することが大切です。直接的な競合は、イメージしやすく注意もしやすいですが、間接的な競合は意外と見落としがちです。同じ価値を提供しているということは、自社の商品・サービスの代替品になりかねないので、見落とさないように注意が必要です。

例えば、不動産会社の直接的な競合は他の不動産会社です。しかし、投資用不動産という観点から考えると株やFX、仮想通貨なども競合になりえます。間接的な競合にまで視野を広げてみると、思わぬ会社が競合として浮かび上がってこともあります。

競合他社

名古屋を拠点とする不動動産会社の例

Company:自社

これまで、自社がどのような顧客のターゲットにアプローチしたらよいのか、競合はどこに当たるのかを見てきました。

最後に自社の分析を行います。その際には、これまで明らかにしてきた、市場のニーズや競合の情報を基に自社の強みと弱みを考えていきます。分析にあたっては、商品・サービスの機能の比較だけではなく、企業の組織についても考えてみると良いでしょう。

自社分析

名古屋を拠点とする不動動産会社の例

SWOT分析

SWOT分析とは、自社を取り巻く環境を「強み(=Strength)」「弱み(=Weakness)」「機会(=Oppotunity)」「脅威(=Threat)」の4つの視点で分析を行うことです。

SWOT分析の特徴は、競合他社と比較した自社の強みと弱みだけではなく、外部の環境も視野に入れていることです。例えば、「機会」は自社にとってチャンスとなる外部要因であり、追い風となるものです。一方、脅威は自社に不利益を及ぼしかねない要因であり、対応策を考える必要があります。

それぞれの要素について解説していきます。

Strength:強み

競合他社と比較して、顧客が自社に対して評価している点を考えていきます。直接顧客にヒアリングしてみるのも良いでしょう。

  • 商品、サービスの強みは何か?
  • 営業戦略の強みは何か?
  • リソースの強みは何か?
  • 組織力の強みは何か?

Weakness:弱み

競合と比較して、顧客が自社に対して不足・不満に思ってる点を考えていきます。

  • 商品、サービスの弱みは何か?
  • 営業戦略の弱みは何か?
  • リソースの弱みは何か?
  • 組織力の弱みは何か?

Oppotunity:機会

自社の商品・サービスにとっての追い風となるような環境変化や、顧客ニーズの変化を考えていきます。市場機会は、自社の強みを生かして更に伸ばしていける部分です。

  • 市場規模や成長性は高いか?
  • 競合はいない(少ない)か?
  • 景気や経済状況は安定しているか?
  • 規制は緩いか?

Threat:脅威

自社のサービスや商品にとってのハードルになる環境の変化や、競合他社の動きをみていきます。脅威については、早めに対策を打ち、問題が大きくなる前にクリアしていくことが大切です。

  • 市場規模や成長性は低いか?
  • 競合は多くないか?
  • 景気や経済状況が低迷ていないか?
  • 規制が厳しくないか?
脅威分析

名古屋を拠点とする不動動産会社の例

4P分析

4P分析とは、フィリップ・コトラーが発展させた分析方法で、「どのような商品・サービスを(=Prooduct)」「いくらで(=Price)」「どのような経路で(=Place)」「どのように売るか(=Promotion)」を考えるためのものです。

3C分析やSWOT分析で定めた自社の強みと弱みを踏まえて、より具体的に商品・サービスの営業方法を固めていき、実行プロセスへつなげていきます。

Product:製品・サービス

自社の商品・サービスは誰のどのようなニーズを満たすためのものなのか、提供する価値は何かをみていきます。品質、デザイン、商品名、アフターサービスなどもここに含まれます。

Price:価格

いくらだったら顧客は買ってくれるのか、適正な利益が得られる価格なのか、競合と比較して価格差はどうかということを分析していきます。

Place:流通

確実にターゲット層に商品・サービスを届けられるのかを考えていきます。適正な立地はどこかや店舗数はどれくらいか、競合はどこに店舗を構えているかなどを販売経路について分析していきます。

Promotion:販売促進

「市場に認知してもらうための最も効果的なプロモーションを展開する」

自社の商品・サービスについての情報を、ターゲット層に確実に届けるにはどうすべきかを考えてきます。例えば、CMやSNS活用の投稿や広告、チラシ・DM、看板等が挙げられます。

4P分析

名古屋を拠点とする不動動産会社の例

「選択」と「集中」戦略

「選択と集中」とは、マイケル・ポーター氏が競争戦略の3つの戦略の中でも伝えている戦略です。企業が行う事業領域の中から、自社が最も強みとする領域を選択することです。そして、選択した領域に自社の経営資源を集中投入することで、高い成果を期待する経営手法になります。

なぜ有効なのかというと、勝てる分野に経営資源を集中的に投下することで、限られたリソースでも効果を得やすいと考えられているからです。

例えば、この不動産会社であれば、広告出稿量や営業マンの数では大手の不動産には勝つことは難しいでしょう。しかし、リノベーション企業との提携により、自社の得意とするエリアで、リフォーム前の中古物件をインスペクションすることで、安心して買っていただける「サービス」も提供することができます。大手の不動産にも負けない強みを発揮できる可能性もあります。

ここで注意するべきことは、いくらナンバーワンが見込めそうな市場だとわかっても、市場自体に十分な規模や利益が見込めなければ、その市場は選ぶべきではありません。

フレームワークを活用する上で気を付けること 

フレームワークは、活用すれば確実に成功する「魔法の杖」ではありません。あくまで、戦略を練るための道具ということを忘れてはいけません。

フレームワークを使って戦略を立てる上での要素を抽出することは大切ですが、緻密な分析をすることに時間を使いすぎることもよくありません。なぜなら、分析したことが全て正しいということはないからです。

ビジネスの現場はさまざまな物事によって、想定できなかった課題が多く出てきます。そのため、まずは分析から構築した営業戦略を実際の営業現場で試してみて、うまくいくこと、いかないことを明らかにしていくことが大切です。改善していくことで、より精度の高い営業戦略を構築できるはずです。

フレームワーク思考は鍛えることができます。例えば、ニュースで話題になる企業を選んで、成功要因は何か、また自分がこの企業の営業あるいはマーケティング責任者だったら、どのような戦略を立てるかなどの視点でフレームワークを使って分析し、自分の言葉でアウトプットしてみましょう。それをSNSやブログなどで共有してみると、反応もあって面白いでしょう。

まとめ

営業戦略を策定するためのフレームワークを4つご紹介しました。フレームワークの目的は、質の高い戦略をスピーディーにつくるためです。しかし、営業戦略はあくまで「仮説」であることも事実です。

より現実に沿った営業戦略を作成するためには、完璧でなくとも良いので実行・検証し、改善をしていくことが大切です。
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佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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