継続的に成果を上げる営業チームマネジメントの4つの要素

営業チーム

営業チームを率いているマネージャーは、現場で高い成果を残してきた人であることが非常に多いです。ここで一つ質問です。個人で成果を出すことができる人がマネージャーになれば、チームとしても高い成果を残すことができるのでしょうか?

「名選手が名監督になるとは限らない」

これはサッカーなどのスポーツ分野でよく聞く言葉ですが、ビジネスの文脈でもいえる言葉です。営業の場面に当てはめて考えると、「成績優秀な営業マンが優れた営業マネージャーになるとは限らない」という意味になります。それでは、どうすれば成果を上げる営業チームを作ることができるのでしょうか。今回は、営業チームマネジメントに必要な要素について見ていきましょう。

営業チームマネジメントの重要性

営業マン一人ひとりの役割は「個人の目標をきちんと達成すること」です。では営業マネージャーの役割とは一体何でしょうか。それは「自部門の営業マンが目標を達成し続けるためのサポートをすること」です。営業マネージャーは自部門のチームが最大限のパフォーマンスを発揮できるように、チームをマネジメントしていくことが求められています。

新任営業マネージャーの中には「営業の成果を上げるために、チームマネジメントは本当に必要なのか?」という疑問を持っている人もいるかもしれません。もちろん、短期的に成果を上げるだけでよければ、営業マネージャー自身が現場で成果を上げることで組織の目標を達成できるかもしれません。しかし、それでは営業マネージャーの負担が大きく長続きしないばかりか、チームとしての目標数値が上がった際にはどうしようも出来なくなってしまいます。「目標を達成し続ける機能となること」ことが営業マネージャーの役割ですので、継続的な目標達成にはチームマネジメントが必要になります。

実際、成果を継続的に出すことができている営業マネージャーに、そのコツやポイントを尋ねると多くの人が「チームとしての一体感」や「チーム力」などチームに関することを挙げます。また株式会社リクルートマネジメントソリューションズが2009年12月に実施した「営業組織におけるプロセスマネジメント実態調査」においても、チームとして営業を推進することの重要性が指摘されています。

営業マネージャーが抱えるマネジメントの悩み

営業マネージャーになると、求められる知識やスキルはメンバー時代と比較して大きく変化します。メンバーであれば商品・サービスを拡販するために必要なコミュニケーション力などを求められることが多いですが、営業マネージャーになると戦略策定や部下育成などのマネジメントに関する知識・スキルを求められるようになります。さらに担う職域も広くなるため、メンバー時代と同じ働き方では対処しきれなくなることもあります。

また「マネージャーに求められる期待」も時代とともに変化しており、株式会社リクルートマネジメントソリューションズの「管理職に期待される要件に関する調査」では、「広い視野でものごとをとらえられる人」が2013年の求められる期待の第1位で、第2位が「上位者に対して自らの意思・戦略」を明確に出せる人でした。1985年と1997年では「目標に向かって意欲的に行動する人」が第1位であったことを考えると、目標達成だけでなく組織に対して良い影響を与えることも近年は求められていると言えるでしょう。

このように求められる期待は高くなっている一方で、マネジメント業務だけに専念できるマネージャーは少ないのが現状です。営業マネージャーの多くはプレイングマネージャーとして、チームマネジメントだけでなくプレーヤーとして営業活動もしています。学校法人産業能率大学が実施した「第4回上場企業の課長に関する実態調査」では、調査対象の課長の99.2%がプレイングマネージャーであるという結果が出ています。つまり、個人としての成果も残しながら、自部門の成果も出していかなければいけないことになります。

また同調査の「課長として悩みを感じていることはありますか」という設問では、「部下がなかなか育たない」「部下の人事評価が難しい」という回答の比率が3割を超えており、部下のマネジメントについて課題を感じている人が多い結果でした。

以上をまとめると、営業マネージャーのほとんどは、プレーヤーとマネージャー2つの役割を持つプレイングマネージャーであり、抱えている悩みはマネージャーとしてのマネジメント業務にあります。それではチームを適切にマネジメントしていくためには、何が必要なのでしょうか。次章では、営業チームマネジメントに必要な要素を紹介します。

営業チームマネジメントで必要な4つの要素

営業チームマネジメントは、大きく以下の4つの要素から構成されています。

営業チームマネジメントで必要な4つの要素

では、それぞれの要素の詳細についてみていきましょう。

目標管理

営業チームマネジメントにおける目標管理とは、自部門における売上げや粗利益などの目標を設定し、個々のメンバーの目標に落とし込んでいくことです。この目標管理は、営業チームマネジメントおける最初のプロセスであり、その他の要素のマネジメントにも大きく影響します。例えば、設定した目標数値があまりにも高すぎる場合には、行動計画も実現可能性が低いものになり適切な行動管理ができないだけでなく、メンバーのモチベーションが低下することにもつながってしまいます。

行動管理

行動管理はプロセスマネジメントとも言われ、営業マンの行動をプロセスに分解し、それぞのれプロセスについて実績を管理していきます。1の目標管理で設定した売上げなどの目標はKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)と言われ、ビジネスの最終目標を表した指標です。この行動管理では、KGIを達成するための中間指標であるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を定めて、現場への浸透や効果検証を行います。

案件管理

自部門のメンバーが商談を行い見込みとなった案件を、契約に向けて進めていくためのマネジメントが案件管理です。個々の案件に対して、確度や進捗状況、次回のアクションなどを確認し、契約に向けて適切に進んでいるかを確認していきます。メンバーとして高い成果を出してきた営業マネージャーだからこそ気づける視点があると思いますので、これまでの経験を存分に発揮してください。

モチベーション管理

「ここまでやる必要があるのか?」と感じる営業マネージャーの方もいるかもしれませんが、チームとして成果を出していくためにはモチベーション管理も必要な要素の一つです。定期的にメンバーと面談をすることで、一人ひとりが抱えている悩みや課題に対してフォローをしていきましょう。

これら4つの要素はどれか一つだけ出来ればいいというものではありません。4つの要素をすべてマネジメントすることで、はじめて継続的に成果を出すチームを作ることができます。自身のマネジメントを振り返り、欠けている要素はないかをぜひ確認してみてください。

売上げアップに繋げるためには

営業マネージャーに求められる役割は「自部門の営業マンが目標を達成し続けるため機能となること」です。つまり、どんなに頑張ってマネジメントをしていても、売上げアップにつながっていなければ意味がありません。それでは、継続的に目標を達成し続けるためには何が必要なのでしょうか。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「営業部長実態調査」の中では、継続的に業績が向上している営業組織の特長について以下のようにまとめられています。

継続的に業績が向上している営業組織の特長

これらの特長は、紹介した営業チームマネジメントにおける要素と関連しています。

1つ目の「顧客に提供する価値が明確である」は、適切な案件管理を行うことで実現することができます。個々の案件に対して、顧客が抱えている課題とその課題に対して提供できる価値が何かをメンバーに確認するようにしましょう。場合によっては、自社のサービスが顧客のニーズと全く合わないこともありますので、そのときには引き際を指示することも案件管理においては重要です。

2つ目の「営業活動の標準形が決められ実践されている」は行動管理と関係しています。行動管理で最初に行うべきことは「自社の理想的な営業プロセスを見える化」することであり、まさに営業活動の標準形(営業導線)を定めることと同義です。そのうえで、適切なKPIを設定することができれば、売上げアップにつながる行動管理を実現することができるでしょう。

3つ目の「営業担当同士で営業のやり方・知識・スキルに関して相互に学びあう風土がある」については、モチベーション管理を行うことで学びあう風土を醸成することにつながります。そもそもモチベーションが下がっている状態では、相互に学びあう風土を作ることは難しいため、チーム全体のモチベーション管理は必要不可欠です。またメンバーとの定期的な面談の中で、営業マネージャーからみた各メンバーの強みや成長したポイントを伝えることで、自身が身につけた知識やスキルに気づかせることもできます。

最後に4つ目の「営業活動で得た顧客の声を営業活動の改善に活かしている」については、3つ目同様モチベーション管理と関係しています。適切なモチベーション管理によって、学びあう風土が根付いていれば、自ずと顧客の声を組織に共有するようになります。その共有された声を営業マネージャーがしっかりと拾い上げ、営業活動の改善へと活かしてください。

このように営業チームマネジメントを適切に行うことができれば、継続的に売上げアップを実現できるチームへと近づけることができます。それぞれの管理のポイントを押さえ、短期的ではなく継続的に成果を上げることができるチームを作り上げていきましょう。

まとめ

継続的に成果を上げるためには、営業チームマネジメントは極めて重要です。ご紹介した4つの要素のうち一つでも欠けてしまうと、成果を上げることが困難になってしまいます。

特に営業マネージャーが陥りがちなのが「目先の結果」のみに着目してしまい、「行動管理」が疎かになってしまうことです。プロセスごとのKPIを設定していないケースやKPIは設定しているもののKGIにつながっていないケースでは、行動管理は適切に機能しません。そうならないためにも、本当に意味のあるKPIを設定することが求められます。
KPIの設定にお役立ていただける資料として「本当に使える、意味のある営業活動KPI集」もご用意しておりますのでぜひ活用してみてください

    営業KPI

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。