営業コーチングで営業マネージャーが気を付けるべきポイントとは

営業コーチング

営業マン一人当たりの営業活動の生産性を上げるためには、一人ひとりが自らの頭でやるべきことを見つけて、自発的に行動することができるようになることが重要です。

そのためには、営業マンが日頃から自分で考える癖をつけなくてはいけません。営業スキルやノウハウなどの知識や実際の営業活動の経験などが必要となると同時に、営業マネージャーが「営業コーチング」を通じて、部下に考える癖をつけさせることも大切です。

今回は、営業マネージャーが営業コーチングに取り組む上で気を付けるべき、具体的なポイントについて解説します。

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営業コーチングとは

「コーチング」とは、質問や対話を通して、相手に「気付き」をもたらし自発的な行動を起こしてもらうものです。人材の育成や、スポーツのアスリートの育成などの分野で取り入られられることが多い教育手法です。

コーチングはビジネスの分野でも適応することができ、特に営業マンに対して行うものが「営業コーチング」です。営業マネージャーが営業マンのコーチとしてふるまい、営業活動の振り返りや営業手法の指導を行います。これらを通して、営業マンに自ら「気付き」を与えることができるように導いていきます。

例えば、商談後に振り返りを行う場面では、営業マネージャーが営業マンに対して質問を投げかけます。「商談が上手くいった理由はなんだったと思うかな?」「商談が上手くいかなかった理由はなんだったと思うかな?」など、営業マンの考えを聞き、自ら考えさせることにより自ら答えを見付けることができるように導きます。

営業コーチングでは、営業マネージャーと営業マンがコミュニケーションを取りながら、理解や学びを深めいていく手法と言えます。

なぜ営業コーチングが大切なのか

もう一つ、よく見られる指導方法として「ティーチング」があります。「ティーチング」とは、自分が持っているノウハウや知識などを相手に教えるという手法です。これを営業に適応したものが「営業ティーチング」です。

営業のシーンでは、電話営業のロープレを行なっている際に、営業マネージャーから「このように気持ちを込めた話し方をしたほうがいい」「ここでは◯◯の提案をしたほうがいい」などのように、具体的に営業マンの改善すべき点を教えてあげることが挙げれます。

このように営業マンに直接的に答えを教える「営業ティーチング」は、営業マンの中にある答えを自ら引き出させるように導く「営業コーチング」とは全く異なる手法です。

営業ティーチングは、ノウハウや知識を短期間で簡単に落とし込むことができます。一方で、営業マン側は受け身になってしまうので、自発的に考える力を伸ばすことはできません。営業マネージャーからの一方的な指示として捉えられてしまう恐れもあります。

営業コーチングは、営業マンは自分の力だけでは気付くことができないが、営業マネージャーの導きにより自らの頭で考えて行動に移すことができるようにするものです。

デジタル技術の発展により、お客様は自ら多くの情報や課題解決策を調べることができるようになりました。それに伴い、これまでお客様の課題に忠実に解決策を提示してきたソリューション営業の価値は、低くなってしまったと言えます。そのような環境の中で、自発的に考える能力は営業活動のシーンでも必要性が高まってきています。

ティーチングとコーチングの違い

気をつけるべき営業コーチングの3つのポイント

次に、営業マネージャーが営業コーチングを行う上で、気を付けるべき3つのポイントを紹介します。

営業コーチングの3つのポイント

営業マンの考えを聞く

営業マネージャーが、徹底的に営業マンの考えを聞くことは重要です。なぜなら、営業コーチングの目的は、営業マン自身に解決策を考えさせることにあるからです。営業マンには、問題の事実関係だけではなく、それに対して本人がどのように感じているかも聞く必要があります。また、営業マンも自分自身の中にある情報を自分の考えとしてアウトプットすることで、その情報の持つ意味をしっかりと認識できるようになるのです。

また、営業マンの考えを聴く姿勢も大切になります。正しい問題解決を行う場合には、営業マンに自分の考えを素直に話してもらう必要があります。そのために営業マネージャーは、タイミングよくうなずいたり、相づちを打つなどして、営業マンの話をきちんと聞いていることを感じてもらうことが重要です。

日頃から営業マンが「話しかけやすい」と感じる雰囲気づくりも大切となります。普段から威圧的な印象を与えるような営業マネージャーだと、部下も意見を言いづらくなってしまいます。

営業マネージャーの方から明るく挨拶するなど、日々の小さなコミュニケーションの積み重ねでも印象は変わってきます。

営業マンに考えてもらえるような質問をする

営業マンに自発的に考えてもらうためには、営業マネージャーが投げかける質問にも意識する必要があります。営業コーチングにおいて「知っているか、知らないか」のような知識のあり・なしを聞くような質問では意味がありません。知識を伝えたい場合であれば営業ティーチングを行いましょう。

営業コーチングでは、営業マンに新しい視点を持たせたり、アイディアを発展させることが目的となります。そのため、いかに営業マンに自分の考えを話しやすく質問できるかが大切です。

質問の内容を工夫する

たとえば、5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように)を活用して、答える内容を特定して質問してみましょう。

  • (Who )この案件の進捗を誰に共有しておけばよかったのかな?
  • (When)いつまでにお客様に連絡をして日程調整をしておけばよかったのかな?
  • (Why)なぜこのプレゼンテーションの反応がよくなかったのかな?

など、営業マネージャーから答えてほしい情報を提示してあげると、営業マンも答えやすくなり考えを言いやすくなります。

営業経験が浅く自ら答えを見つけて回答することが難しそうな場合は、営業マネージャーからいくつかの回答の選択肢を提示してあげるとよいでしょう。

例えば、

質問:なぜこのプレゼンテーションの反応がよくなかったのかな?

選択肢:資料がお客様にわかりづらかったのかな?それとも、話し方が早口で十分に理解されなかったのかな?

のように、回答と考えられそうな答えを営業マネージャーが提示してあげることで、「漠然としていたけど、これが原因かも」と気付くことができるようになるかもしれません。

質問の時には、営業マネージャーはどうしても先回りをして、口を出してしまいたくなってしまうかもしれません。しかし、サポート役として営業マンが自分の考えに自分自身でたどり着けるように導くことが大切です。

質問の仕方を工夫する

質問の仕方にも工夫する必要があります。営業マネージャーからの質問が矢継ぎ早で、且つ筋が通っていればいる程、営業マンは詰められているような印象を受けてしまいます。このような状態では、質問に正しく答えてもらえないだけでなく、お互いの信頼関係にも影響が出てきてしまいます。

質問をする際には、質問の語尾に気を付けて「◯◯についてどう思うかな?」「◯◯のような考え方もあるのではないかな?」のように提案形式の質問を投げかけてみるとよいでしょう。

質問は、営業マンの意見を正しく理解し、成長へ結びつける重要な手段です。感情的になって否定したり、自分の考えを押し付けることのないように、営業マンが主体的に考えられる状態をつくり出していきましょう。

事実ベースで確認する

営業マネージャーが営業コーチングをする際に意識したいのが、「営業マンのヒアリングをした内容だけが事実であるとは言い切れない」ということです。

人間はどうしても物事を主観で見てしまいがちです。特に営業は、案件の手応えや見込み度合いなど営業マンの経験のあり・なしや、営業センスによって個人差が大きく出てきます。営業マンが見込み度合いが高いと考えていても、実際に営業マネージャーが商談同行してみると、長年の経験から「この案件は、受注に繋がらないのではないか?」と感じることも多いかと思います。

そのため、営業マネージャーが営業コーチングをする際には、そのような主観だけではなく「事実」も踏まえた上で行いましょう。

現在では、営業支援システムの普及により、営業活動を事実ベースで確認できるようになっています。例えば、営業マンがメールを送った際に「お客様がそのメールを開封したのか、メール内のリンクをクリックしたのか」であったり、「自社のHPのどのページに来訪しているのか」といった、デジタル上の情報を事実情報として確認することができるようになっています。

営業マネージャーは、営業コーチングを行う際には、このようなデジタル上の情報を確認した上で、営業マンが持っている認識は正しいのかを判断するようにしましょう。間違って認識していたら正す必要があります。その際には、実際に事実情報を踏まえた上で営業マンに改善点を気付かせてあげるのがよいでしょう。

経験の浅い新人営業マンの場合、見込み客に合わせた内容を伝えたり、難易度の高い商談を対応することが難しい場合があります。その場合は、営業マネージャーと営業マンが営業コーチングによって十分に話しあった上で、営業マネージャーが案件を引き継ぎましょう。

営業マンのモチベーションを高めるためには

営業マンは、厳しい営業目標やノルマを抱えています。その中で、営業に対するモチベーションの管理は非常に難しい課題でしょう。

営業ティーチングや営業コーチングは、足りないところ、悪いところを克服するための手法としてのイメージが強いかもしれませんが、部下のモチベーションを上げることもできます。

よかったところを具体的に伝える

営業マンが営業活動でよい動きをした場合には、まず初めにしっかりとよかった点を褒めましょう。信頼している上司に褒められることは、営業マンにとって非常に嬉しいことです。その際にも「具体的にどのような点がよかったのか」を伝えてあげましょう。

例)
「今日のプレゼンとてもよかったね。特に、お客様の課題点を提示するところでは、お客様も大きく頷いていたよ。それは、◯◯さんが正しくお客様の課題感を捉えられていたからだと思うな。自分ではどのような点がよかったと思う?」

このように、詳しく伝えることにより、何がよかったのかがはっきりされ、営業マン本人もその後の営業活動で意識できるようになり再現性も高まります。

また、営業マンによっては、褒めるのと同時に課題点も伝えてあげるとよい場合もあります。

例)
「今日のプレゼンとてもよかったね。特に、お客様の課題点を提示するところでは、お客様も大きく頷いていたよ。それは、◯◯さんが正しくお客様の課題感を捉えられていたからだと思うな。よりよいプレゼンにするために強いていうならば、お客様の反応に合わせて話すスピードを調整できると、魅力的なプレゼンになると思うけど、どう思う?

このように、足りなかった課題点についても気付かせてあげることで、次の目標を見つけることもできます。向上心の高い営業マンに有効です。

営業ティーチングと営業コーチングを組み合わせる

経験の浅い営業マンでは、経験の乏しさや知識が不足していることにより、営業コーチングの質問に上手く答えられない場合があります。この場合、答えられないことにより、営業マンのモチベーションの低下に繋がりかねません。

営業マネージャーは、営業マンのスキルレベルに合わせて営業ティーチング、コーチングを組み合わせる必要があります。経験が浅い段階では、営業スキルやテクニックなどの知識やノウハウを営業ティーチングで伝えつつ、営業活動を行なってもらいます。

営業スキルも身につき、ある程度成果を出せるようになってきてモチベーションも上がります。また、経験も積めてくることにより、自分で考える余裕が出てきます。その段階になってから営業コーチングにて営業マンの成長を促すことで、更に成長させることができるようになります。

まとめ

営業コーチングでは、営業マンが営業マネージャーと日々の営業活動を一緒に振り返ることを通して、自らの頭で考える訓練を行い成長に結び付けていきます。

そのためには、営業マネージャーは営業マンが答えやすい、考えやすいような質問を投げかけて、正しい思考の方向へ導いてあげられる質問力を磨く必要があります。営業コーチングのポイントを理解して、自身の営業組織のさらなる強化に役立ててください。
セールスハックスでは、営業ティーチングやコーチングで部下とのコミュニケーションのきっかけとなる「営業スキルチェックシート」を用意しています。営業スキルの具体的なチェック項目を載せておりますので、参考にしながら営業ティーチングやコーチングを実践してみてください。

    営業スキルチェックシート

佐原 業平(さはら なりひら)

中央大学商学部を卒業後、2016年に新卒で株式会社コンベックスに入社。 新規開拓営業を経験した後、eBook・セミナー・研修のコンテンツの作成に従事。 そこで培った営業とマーケティングの知見を生かし、「セールスハックス」の運営に取り組む。 経営者から営業マンまで、ビジネス現場を理解したお役に立てる情報を発信。

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