メール対応、資料作成、プレゼン……、営業活動に欠かすことができない道具であるパソコン。
しかし、バッテリー切れ、突然の故障、謎の不具合などが発生し、顔面蒼白になったことはないでしょうか。
そこで役に立つアイテムが、いまやPCに迫る性能を持つようになったスマートフォン。
スマホによるPCレスの営業活動を行うためのポイントをご紹介します。
スマホによるPC代替、営業改善の具体的事例
CASE1・スマホのメールチェックで営業効率改善
A社ではパソコンにインストールされているメーラーでしかメールのやり取りができませんでした。
そのため直行直帰が可能なアポイントであっても、わざわざメールチェックのために帰社をしなくてはならず非効率な状況でしたが、メールをクラウド化したところスマートフォンでメールのやり取りが可能となり、営業マンの稼働率改善につなげることができました。
CASE2・スマホ×コンビニプリントで最新資料を調達
B社は短期キャンペーンが多く、営業マンは大量のペライチ資料を持ち歩いたり自宅で最新資料を印刷しなくてはならなかったりという課題がありました。
そこで最新のPDF資料をクラウドサーバーで管理し、スマートフォンからコンビニのネットプリントですぐに印刷できるようにしたところ、持ち歩く資料は減り、急なアポイントへも最新資料を持参できるようになりました。
CASE3・スマホの平時活用でPCトラブルから開放
A社やB社のように、業務ツールをクラウド化したりスマートフォン活用をしたりすると、基本的な業務をPCレスで行える様になります。
すると日々の業務改善につながるだけでなく、突然PCが故障した際にデータを失うことがなくなり、かつスマホがあれば必要な情報をすぐに取り出すことができるようになるため、トラブルによる業務停滞というリスクを大きく減らすことにつながります。
スマートフォンで行える業務
インターネットに接続されたスマートフォンがあれば、パソコンで行っている様々な営業作業を代替することが可能です、具体例をご紹介します。
営業メール対応
会社のメールシステムがクラウドメールであれば、パソコンなしでどこからでもメールチェック・送信をすることができます。
クラウドメールは自分のPCやスマホではなくサーバーにメールデータを保管するため、PCが突然故障した場合でも即座にスマホでメール対応を引き継ぐことが可能です。
グループウェア・業務システムの利用
業務カレンダーや社内SNSなどのグループウェア、営業用の顧客管理システムなどがクラウド化されている場合も、スマートフォンで情報の閲覧や編集が可能です。
スマホアプリが用意されているサービスであればより快適に利用できます。
またファイルサーバーもクラウド化していたり、VPN(Virtual Private Network)に対応させておくことで、社内の業務ファイルを外出先で扱うことができます。
営業資料の印刷
セブンイレブン・ローソン・ファミリーマート・ミニストップなどのコンビニエンスストアに設置してある、ネットワークプリント対応のコピー機を利用することで、スマートフォンからファイルの印刷を行うことができます。
スマートフォンからアプリやWebサイトを通じてファイルを転送することで、ワード・エクセル・パワーポイント・PDF・画像ファイルなどが印刷可能です。
クラウドサービスとネットワークプリントの連係
クラウドメールやクラウドファイルサーバーが利用できれば、スマートフォンとコンビニのネットワークプリントを組み合わせることで、必要な業務ファイルの閲覧と印刷がどこでも行えるようになります。
外出先で急に紙の資料を用意しなくてはならなくなった、営業資料が急遽差し替えになった、会社のプリンターが急に故障した、といった場合でもPCレスで対応が可能となります。
営業プレゼンテーション
スマートフォンの機種が限られますが、映像の外部出力ができるHDMI端子を持つスマホを保有していれば、プロジェクターやテレビを使ったプレゼンを、PC無しで行うことが可能です。
またHDMI端子がなくても、無線LAN接続が可能なプロジェクターであれば、やはりスマホのみでの映像出力ができますので、機種を確認してみるとよいでしょう。
スマートフォンをPCの代用する際に便利なアイテム
上記でご紹介したスマートフォン活用は、スマホ単体でも行うことができますが、いくつかのアイテムを追加することでさらに快適な利用ができるようになります。
Bluetoothマウスとキーボード
メールや書類の閲覧だけであればスマートフォン単体でも問題ありませんが、資料の修正や長文のメール返信などをスマホで行う場合には、マウスとキーボードがあると作業がはかどります。
パソコンであればUSB接続をすることが多いですが、スマホの場合はBluetooth(ブルートゥース)が利用できますので、対応機器を用意すればすぐに接続して作業を行うことができます。
モバイルバッテリー
スマートフォンをパソコン代わりに利用する場合、バッテリーを急激に使用することになりますので、予備のモバイルバッテリーや乾電池式の充電器を用意しておくとよいでしょう。
営業活動に欠かせない長電話や、緊急時の電源確保においても予備バッテリーは重要ですので、営業アイテムのひとつとして常備することもおすすめです。
スマートフォンで作業をする際の注意
スマートフォンを業務に用いる場合、会社から専用端末を支給する方法と、個人の端末を業務に用いる方法があります。
最近では後者の方法を「BYOD(Bring Your Own Device)」と呼称し、個人スマホの利用を推奨する企業も増加していますが、セキュリティ面の対応が欠かせないため、ポイントをご紹介します。
セキュリティソフトの導入
スマートフォンは常時インターネットに接続して利用することが前提となるため、ウィルス・トロイの木馬・スパイウェアなどの脅威にさらされやすくなります。
そのため、スマホ向けのセキュリティソフトの導入が欠かせません。
ただし、セキュリティソフトも万能ではありませんので、業務にも用いるスマホでは「なんだか怪しいWebサイトやアプリ」を不用意に利用しないという意識も重要です。
紛失時の対応アプリの導入
スマートフォンはパソコンよりも小型軽量であるため、紛失をしやすいというデメリットがあります。
そのため紛失や盗難に備えた対策アプリを導入しておくことがオススメです。
スマホを素早く見つけるという目的はもちろんですが、遠隔で端末にロックをかけたり、アプリの利用を停止させるような機能を用いることで、情報流出リスクを低減させましょう。
クラウドサービスを積極的に活用
また紛失や盗難時、スマートフォン内部に業務ファイルが保存されていると情報流出のリスクが高くなります。
そこで、業務システムやファイルサーバーをクラウド化することで、端末に情報を保存することなく情報の閲覧ができるようになり、紛失時のリスクを低減させることができます。
クラウドサービスのパスワードを遠隔で変更してロックするといった対応も可能です。
スマートフォンによるPC代替作業のまとめ
外出先で、様々な資料を閲覧したりお客様と連絡を取り合ったりすることが多い営業マンにとって、スマートフォンの積極的な利用は効果の高い営業改善手法といえます。
また、スマホはパソコンと比較して非常時にも使いやすいため、営業マンのリスク管理施策においても有効です。
ただし個人スマホを業務に用いる場合、セキュリティ対策も各個人に委ねてしまうのは情報流出リスクが高まる要因になりますので、利用のルールを定めたり、スマホ向けのセキュリティソフトを会社側で用意したりといった対策を取り、安全性を高めることが重要です。
高荷 智也(防災・危機管理アドバイザー)
「死なないための防災対策」と「経営改善にもつながるリスク管理」のポイントを解説するフリーの専門家。自然災害や社会的リスクに対する事前対策と事後行動を詳しく紹介。分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、テレビ・新聞・メディアなどへの出演多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド(2015/Nanaブックス)』あり。
運営サイト:備える.jp(http://sonaeru.jp/)