【前編】教育者志望の学生がインターネット通販プラットフォーム大手の黎明期、海外進出を支えるスーパー営業マンになるまで

教育者志望 学生 スーパー営業マン

営業マンとしての目標にはどういったものがあるでしょうか。
売り上げ・成約目標の達成、海外進出、人脈の形成……。同じ営業マンでも目指すところはひとつではないでしょう。
今回はそんな「営業マンの目標」と言えるような経歴を持った営業のプロフェッショナルにお話を伺いました。
インターネット通販プラットフォーム大手R社の黎明期を支え、海外進出を成功させ、独立して「多足のわらじ」を履くバイタリティ溢れる営業マンの「成功の秘訣」とは、一体どういったものなのでしょうか。
前編はインターネット通販プラットフォーム大手R社の急成長を支えた営業のプロフェッショナルの方法論についてのお話です。

営業職志望ではなかった

「学生時代は教師を目指していました。大学院で学んでいた時、『社会に揉まれないまま教師になって生徒にものを教えて良いのだろうか』と思い、三年間だけ会社勤めをやってみようと考えました」
なんとプロフェッショナルのスタート地点は教育者志望だったというのです。
三年間だけ、というつもりで入った会社。
そこで大きく人生が変わります。

カスタマーサポート担当からスーパー営業マンへ

「入社当初はカスタマーサポートなどを行う部署でした。マーケティングや企画には興味がありましたが、営業マンになるつもりはありませんでした。しかし入社して3ヶ月後、あるベンチャー企業に会社が買収されてしまいます」
この時会社を買収したのが、当時林立していたベンチャー企業のなかでも異彩を放っていた、そして現在ではインターネット通販プラットフォーム大手となったR社です。
このベンチャー企業での経験こそが、一人のスーパー営業マンを生み出したわけですね。

出店数を4倍以上に。企業も急成長

新会社では営業部署へと配属されます。
ここで、彼のチームが当初5000店ほどだった出店数を22000店以上にまで押し上げ、企業の急成長の立役者となります。
そんなプロフェッショナルも、もちろん初めは他のスタッフと同じイチ営業マンだったわけです。
どうやって成功を掴んだのでしょうか?ここでは1つの具体的な方法を伺いました。
「営業という仕事のあらゆる部分を《仮説を立て、実行し、検証する》というプロセスで行いました。一件の商談から一本の電話に至るまで徹底的に。そうすることで、失敗しても成功してもその理由を明確にできます。意図した通りにうまくいったら、今度はそれをシステムとして標準化します。こうして仕組みをうまく作れれば、一つの事案にかける労力を何分の一にも下げることができるのです」
徹底した「仮説→実行→検証」というプロセス、成功例を「仕組み」として定着させる。
成功と失敗をもれなく検証し、うまくいった理由を見つけてそれを標準化するということです。
電話の1本や商談のトークひとつまで、事前にストーリーを描き、それに基づいて行動し、結果の検証を行う。
それによってケースに応じた最適な解法をあらかじめ見つけ出し、チームで標準化することが可能になります。
その結果、当初「10」の労力を割いた事案も「1」以下の労力でこなせるようになり、効率的に成果を上げられるようになったそうです。

1件あたりの労力が10分の1になれば、今までと同じ労力で10倍の案件を進められる

10倍の見込み客にアタックしたから結果が10倍になるとは限りませんが、営業マンにとって成約の可能性を増やすことが重要なのは言うまでもありません。
「1件あたりの労力が減ったから仕事が楽になって良かった」という所で止まってしまえば、このような成果を得ることは不可能です。
目標達成まで立ち止まらないハングリーさも求められます。座右の銘は「闘魂」だというプロフェッショナル。
立ち止まることなく成果を上げ続けて、イチ営業マンから部下を率いる立場になります。
延べ800人以上の部下を指導し、その経験を生かして業務フローからトークスクリプトに至るまで標準化を推進。
やがて100人規模のチームを冒頭にある出店4倍という大きな成果へ導きます。当然ながら、上手くいくことばかりではありません。
このプロセスは数万回という膨大な試行回数の積み重ねによって成立するものです。
試行回数の9割は失敗だと言います。失敗したら、仮説を組み替えてまた実行。できるまで実行。上手くいったら標準化して件数を増やす。
そんな泥臭いまでの「血と汗と涙の積み重ね」、それが彼とこのチームに比類なき成果をもたらしました。

かなりの「体育会系」な空気を感じますが………

実際、当時のこの企業は「超アタマの切れる体育会系」という雰囲気だったそうです。
しかしその中身は体育会系と聞いて想像するような根性一辺倒ではありません。
数字と論理に裏打ちされたシステムを構築しながら、膨大な試行を繰り返す根性も併せ持つ。
これを100人のチーム一丸となって行えるのであれば、成果が出ないはずがありませんね。
こうして、教員になるつもりだった急造営業マンは、いつしか100人の部下を率いる立場に。
その過程では数え切れない失敗を経験してきました。
チームが上手く回り出し成果を上げ始めると、顧客が「数字」にしか見えなくなってしまう時もあったと言います。
「そういった空気は顧客に伝わってしまうものです。付き合いの長い顧客にたしなめられることもありました」
目標達成意識が強すぎる余り、自分を追い込んでしまい体を壊すこともありました。
それでも前に進めるのは、この仕事が「自分のゴール」に繋がっている、という確かな実感があるから。
「人間ですから、必ずぶれます。ぶれた時に立ち戻る場所を描けているか。難しいことでも、それが自分の目指すゴールに繋がっているという実感が得られれば、やれるものです」
自分のゴール、描けているでしょうか。
営業マンとしての目標だけでなく、それを通して人生に何を求めるか。
なかなかの難題ですね。ゆっくり考える必要がありそうです。

いかがでしたか?
後編は海外進出を成功させたお話からです。お楽しみに!

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原誠

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