経営者が理解しておくべきB2Bの「販促活動」

販促活動

自社の商品が優れていても、適切な販促活動が行われない限り売上げにはつながりません。しかしながら、販促活動の重要性を理解しながらも、特に中小企業においては、効果的な販促活動が行われていない現状もあります。

今回は、販促活動の概要を説明した上で、販促活動の種類とそれぞれのメリットや課題、具体的な事例を紹介します。思うような営業成果が得られていない企業においては、自社のマーケティングや営業活動を見直すきっかけになれば幸いです。

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販促活動とは

販促(販売促進)活動とは、広告活動から営業活動まで含めた販売促進に関するあらゆる活動を表します。販売の促進とは、顧客から望ましい反応を引き出すことで、大きく分けて3つのカテゴリに分類されます。

1. 知ってもらうための活動

自社の商品やサービス、ブランド名などを顧客に認知してもらうための活動です。モノを売るためには、まずは顧客に存在を知られなければスタートしないので、販促のスタート地点とも言えます。具体例としては、CMやチラシ、Web広告などがあります。

2. 買ってもらうための活動

認知されていても、顧客に商品のよさを感じてもらわないと売上げにはつながりません。試供品の配布や実演販売など、実際に商品を手に取って使用してもらうための活動も販促活動の一つです。

3. リピートしてもらうための活動

自社商品を購入してくれる新規顧客が増えたら、顧客をリピーターに育てることで事業を安定させることができます。具体例としては、会員特別キャンペーンや優良顧客限定イベントの開催などです。

これらの一連の活動により、自社の商品やサービスを少しでも多くの顧客に届け、売上げを伸ばすための手法が販促活動です。

販促活動の種類とそれぞれの意味

ネガティブな意見として「販促活動は経費のムダ使い」と言われることもあります。確かに、販促活動にはコストや手間、成約までに時間がかかるため、売上げ向上などの効果が実感できなければ、浪費に感じられることもあるかもしれません。

しかし、一方で販促活動にはブランドイメージの向上や口コミの拡散など、販促活動を通じて起こせるなどの間接的な成約率改善の効果も期待できます。

それゆえ、購買に直結する営業活動と並行し販促活動を行うことは、営業活動結果の改善にも寄与し、中長期的な企業の成長へと貢献する活動です。    

では、販促活動をするにはどこから手をつければよいのでしょうか。主な販促活動の種類とその意味について解説します。

DM

2019年第33回全日本DM大賞の受賞DM

DM(ダイレクトメール)は従来から用いられている紙媒体の広告です。上記画像は、2019年第33回全日本DM大賞の受賞DMです。

不特定多数に配布されるチラシと異なり、DMは個々の顧客宛に直接メッセージを送付することができます。また、開封されずにそのまま削除されやすい電子メールに比べて、アナログのDMは開封して中を見てもらいやすい傾向があります。

個人向けの調査結果ではありますが、2018年に一般社団法人日本ダイレクト協会が実施した「DMメディア接触状況・効果に関する調査」によると、DMの開封率は66%となっています。

その他、DMには以下のメリットが挙げられます。

  • BtoBの場合、相手方のメールアドレスなどを知らなくてもWebページなどから送付先リストが獲得できる
  • 紙媒体なので、送付した相手の同僚などの目にも触れやすい
  • 見込み客に限定して送付できるため、費用対効果が高い
  • 反響を見て、PDCAを回しやすい

DMの効果を高めるためには、送付先の選別(セグメント)や、割引クーポンなどの併用、送付のタイミング、DMや封筒のデザインの工夫を行うと効果的です。また、反響をチェックしやすいように、DMを送付する際には送付リストを作成し記録しておくようにしましょう。

ネット広告

リスティング広告
ディスプレイ型広告

ネット広告には大きく分けて、インターネット上の広告スペースに表示させるディスプレイ型広告と、表示させた広告がクリックされることにより費用が発生するクリック課金型広告があります。

従来の広告はテレビCMや折り込みチラシが主流でしたが、インターネットの普及によりネット広告の存在感が高まっています。ディスプレイ型広告とクリック課金型広告の特徴は以下の通りです。

ディスプレイ型広告(Googleディスプレイネットワーク、Yahoo!ディスプレイネットワークなど)

ディスプレイ型広告は、ヤフーなどのトップ画面に広告を出稿できるので、幅広い層のユーザーに訴求できます。また、画像や動画広告を出稿することもできるので、デザイン性やインパクトに優れた広告を出稿することも可能です。

ユーザーの検索キーワードやインタレスト(Webサイトの閲覧履歴など)によってセグメントして、自社サービスのニーズにマッチする見込み度の高い顧客に対して広告を表示させることもできます。

クリック課金型広告(リスティング広告、リターゲティング広告など)

クリック課金型は、ユーザーが広告をクリックして閲覧した際に広告費用が発生する仕組みの広告です。

特定のキーワードで検索した際に、検索結果画面の広告枠に広告が表示されるリスティング広告が最も代表的です。他に、自社のWebページを閲覧したユーザーに対して広告を表示させるリターゲティング(リマーケティング)広告もよく利用されています。

クリック課金型広告は、表示されてもクリックされない限りは料金が発生しないため、購買欲の高いユーザーに対して効率よくアプローチすることができる広告手法です。適切なキーワードの選定や条件設定(ユーザーの地域、性別など)によって、さらに費用対効果を高めることができます。

広告課金型は次に紹介するSEO対策などに比べて、広告出稿後すぐに効果が期待できる点も魅力です。対策するキーワードによって単価が異なり、検索ボリュームが多く競合が多いキーワードほど、単価が高くなるという特徴があります。

SEO

インターネットの利用率の上昇により、顧客がインターネット検索をした際に上位表示されることの重要性も高まっています。検索結果上位表示を目指すための対策のことをSEO(検索エンジン最適化)対策といいます。

アメリカのInternet Marketing Ninjas社が調査し発表した検索順位によるクリック率データでは以下の数値となっています。

CTR

1位:21.12%
2位:10.65%
3位:7.57%
・・・
10位:1.64%

以上のように、検索順位と自社Webサイトを見てもらえる確率は、ほぼ正比例しています。

SEO対策の手法としては、ブログなどのSEOに適したコンテンツを作成したり、Webサイトを適した形式に改善したりするなどの内部対策と、他のWebサイトなどからのリンクを集めるなどの外部対策とがあります。

ただし、外部リンクの購入など不適切なSEO対策を行うと、Googleからのペナルティーにより検索順位が逆に低下してしまうこともあるので、正しい手法で施すことが非常に重要です。

SEO対策はインターネット広告と異なり、結果が現れるまでに一定期間かかりますが、結果が現れれば効果が持続するというメリットがあります。検索ボリュームが多いキーワードほど、上位表示をするための難易度が高く、結果が出るまでに時間がかかりやすい(なかなか上位表示できない)という特徴があります。

オウンドメディア

オウンドメディアとは「自社で保有するメディア」の総称であり、具体的にはコーポレートサイトや自社公式ブログなどのことです。特にブログは「コンテンツマーケティング」として自社のWebサイトの価値を高め、長期的な顧客獲得の手法として重視する企業が増えています。ユーザーの期待に応え、疑問を解消するコンテンツを発信できれば、SEO対策としても効果的です。

例えば、このセールスハックスというブログも株式会社コンベックスが運営するオウンドメディアです。営業担当者や営業責任者、経営者の方達が日々の業務で解決したいと思っている課題を解決できるようなコンテンツを、意識して発信しています。

オウンドメディアには以下のメリットがあります。

  • ブランディングに効果的:
    専門的な情報を継続的に配信することで、顧客から専門家としての信頼を得ることができます
  • 顧客のロイヤリティが高まる:
    ユーザーにとってメリットのある情報を提供することで、顧客を自社のファンにすることができます
  • 広告費の節約につながる:
    コンテンツは自製することも可能なので、広告費をかけずに集客や売上げの増加を図ることができます。

ただし、オウンドメディアはWeb広告のような即効性のある対策ではないので、中期的、長期的に取り組む必要があります。

セミナー

自社のブランディングを高め、見込み客を効率よく集める販促活動の手法としてはセミナーが挙げられます。セミナーには、自社会議室や貸し会議室を使って開催する来場型セミナーと、インターネットの動画配信機能を使用して実施するWebセミナー(ウェビナー)があります。

セミナーには、以下のメリットがあります。

  • 少額で購買意欲の高い見込み客を集客できる
  • 指名契約が増えることで、顧客からの無理な要望や割引依頼に応じる必要がなくなる
  • 営業効率が高められる

セミナーが成功し、口コミが拡散した場合には、さらに営業効率が高まりセミナー開催のメリットが大きくなります。

来場型のセミナーとWebセミナーを比較すると、来場型のセミナーはその場で商談や質疑応答を行えることや、特に購買意欲の高い層を集客できるメリットがあります。反対にWebセミナーは気軽に参加できることから、潜在顧客の取り込みや準備コストの削減、顧客が時間や場所を選ばずに参加できる(遠方の見込み顧客にもアプローチできる)点などがあります。

また、セミナー集客の際に集めた顧客情報をDMの送付リストなどに活用し、次回開催のセミナー情報を案内するなど、販促活動を効率よく回していくこともできます。

展示会

商品やサービスを直接顧客に説明するだけでなく、デモンストレーションや実演販売などの体験を提供できる販促活動手法が展示会です。展示会の来場者はニーズや課題意識を持っていることが多いため、短時間で多くのリード(見込み客)を獲得できる可能性があります。

自社や自社商品に関連したノベリティを提供することで集客のアップやブランディング、認知度アップにもつながります。

展示会に関しても、来場者リストを活用し、成約につなげるための分析やDM送付などのPDCAサイクルを回すことでより高い効果を発揮できます。

マーケティングにおける販促活動

マーケティング部門では、営業活動につながるための見込み客の獲得に向けたあらゆる販促活動をおこなうことになります。

商品を選定しているユーザーに対して広告や展示会などにより購入の後押しをすることはもちろんですが、購買意欲が低い顧客や課題・ニーズに気が付いていない顧客に対して、オウンドメディアやセンナ―などで適切な情報提供をすることも必要になります。

マーケティング部の販促活動では、主に以下のような目標設定をおこないます。

1. 見込み客の獲得
マーケティング部では獲得件数が重要になります。

2. 見込み客の定義設定
顧客のパラメータ(業種、企業規模、担当者の役職、決裁者、興味のある商品、ニーズの高さ)などを定義し、PDCAを回す際の材料に用います。

3. リードスコアリング
顧客のパラメータを点数化して、点数に基づいてアプローチの優先順位を決定します。得点の高い企業は営業部に引き継いで顧客獲得につなげます。一方、点数が低い企業については放置するわけではなく、将来的なニーズの顕在化に備えてリードナーチャリング施策(見込み客育成施策)を実施します。

4.営業部との連携
マーケティング部の目標はリードの獲得や育成ですが、企業としての最終的な目標は売上の獲得です。そのためには、営業部と目標や情報の共有、方針のすり合わせなどの連携が重要です。

営業における販促活動

営業部は、受注を獲得することが活動のメインです。

営業の確実性を高めるためには、オウンドメディアのコンテンツや自社が開催するセミナーの内容・世界観、営業部間での獲得成功事例の共有などがポイントになります。上述の通り、マーケティング部門との連携も非常に重要です。

多くの中小企業においては、マーケティング専任者が在籍していないケースもあります。株式会社イノーバがおこなった調査によるとBtoB商材を取り扱う企業の66%は「マーケティング専任者が特にいない」という結果になっています。その場合、マーケティング作業に多くの時間を割けないため、外部業者の活用や効果的な営業手法を考え実践する必要があります。

例えば、販促活動の情報を少人数で効果的に活用するための手法として、近年インサイドセールスの手法が注目されています。インサイドセールスとは、従来の外回りスタイルの営業ではなく、インターネット技術などを用いて遠隔で営業活動をする手法のことです。

特に中小企業においては、限られた人員体制でいかにマーケティング情報を活用し、売上に落とし込める仕組みづくりをすることが販促活動の大きなポイントになります。

参考すべき販促活動の事例

参考にしていただきたい販促活動の事例について紹介します。

株式会社チャットワークの事例

チャットワークス

限られた予算と人数で運営しているにもかかわらず、リリースから約1年半で10万ユーザー突破に成功したのが株式会社チャットワークです。主な販促活動として、以下の取り組みをされています。

(正式リリース前~リリース直後)

  • チャットワークの正式リリースに先駆けて既存顧客に対してモニター募集を行う → リリース直後には口コミが広がり、スタートダッシュに成功
  • 口コミによる紹介案件獲得が落ち着いたタイミングでオンラインプレスリリースの発行やブログメディアへの紹介記事の依頼

(ユーザー数増加後)

  • スマホアプリの開発や未読メッセージ通知機能などサービスのバージョンアップを実施 → 一気にサービス拡大に入る前に既存顧客の声に耳を傾けることで、ユーザーの支持を得ることに注力

(サービス拡大期)

  • ターゲットを絞った広告プロモーション・・・既存顧客の分析に基づいて全国に複数拠点を持つ企業、コンサルタント、IT系企業をセグメントし、「nanapi」「Facebook」「SOHO」でプロモーションを行う。
  • オンラインでの販促活動に加え、セミナーの開催やさまざまなイベントに協賛企業として参加するなどのアプローチを実施

以上のように、短いサイクルでPDCAを回し、タイミングに応じて効果的な販促活動を実施することで、チャットワークは顧客の拡大に成功しています。

(参照元:https://corp.chatwork.com/ja/

株式会社システムスクエアの事例

システムスクエア

株式会社システムスクエアは電子機器、検査機器の開発・製造を行っている企業です。従業員数約160名の中小企業ですが、「脱下請け」志向で高品質なオリジナル製品の開発に取り組まれています。その上で重視されているポイントは以下の点です。

  • 顧客ニーズの洗い出し

営業先での顧客の声から課題や潜在的な悩みを吸い上げ、従業員同士で共有する仕組みを取ることで「5年先のニーズ」を察知し、同業他社との差別化を図っています

  • 展示会への積極的な出店

国内外の展示会に積極的に出店し、新商品をデモンストレーションしながら顧客とコミュニケーションをとることで新たなニーズの発見につなげる

顧客からの声を直接販促活動に結びつけている事例です。

(参照元:https://www.nico.or.jp/file/syuppan/NICOpress144.pdf

まとめ

多くの企業で課題となっている販促活動について概要や事例を紹介しました。

販促活動には今回紹介した手法以外にも、さまざまな手法があります。また、近年インサイドセールスの注目が高まるなど、新たな営業手法も登場しています。しかしながら、出発点として重要なことは、販促活動の手法の基本的な考え方やメリットを知り、自社の商品・サービスに上手く当てはめることです。

今回紹介した種類や事例などを参考に、ぜひ自社の販促活動・営業手法についての見直しを図ってみてください。
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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

B2Bマーケティングを幅広く経験。外資系ソフトウェア企業の日本支社立ち上げを行い、創業期の全マーケティング活動を責任者として行う。現在、東京と海外を行き来しながら場所にとらわれない働き方を通じ、日本企業のマーケティング支援の戦略立案から実行までの支援を行なっている。

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